トヨタの水素エンジンレーシングカーに水素の提供をしたばかりのカワサキだが、独自の水素エンジン研究もすでにスタートしているようだ。2021年10月に公開されたイメージスケッチや開発中の直噴ユニットなどを見ていこう。

カワサキは水素を燃料としたバイクのイメージスケッチを公開

画像: Kawasaki HYDROGEN CONCEPT コンセプトモデル

Kawasaki HYDROGEN CONCEPT
コンセプトモデル

内燃機関の良さも残すクリーンな次世代燃料

カーボンニュートラル時代に向けて注目されている技術の一つが水素燃料。基本的に従来のエンジンを転用可能で、燃焼しても水(H2O)を排出するだけなので、クリーンな次世代エネルギーとして研究されている。

上のスケッチは、カワサキがイメージする近未来の水素エンジン搭載車。スポーツツアラーのニンジャH2 SXによく似ていて、すぐにでも市販されそうなカタチだ。

すでにトヨタは水素エンジンをカローラに搭載したレーサーでレースの場を通じた実証実験を行っているが、カワサキも2021年10月に水素エンジンのイメージスケッチと同時に、それにつながる研究となる、直噴ユニットの実物も公開。燃料噴射ユニット以外はほぼ従来のエンジンと同じ、という利点を生かして、内燃機関ならではの官能的なフィーリングとクリーンな環境性能を両立するバイクが開発されることに期待したい。

画像: 今回カワサキが公開した、水素エンジンのイメージスケッチ。スーパーチャージャー付きの、ニンジャH2シリーズ用過給エンジンを水素燃料対応にしたもので、ブルーの部分が水素燃料用のインジェクターとなっている。

今回カワサキが公開した、水素エンジンのイメージスケッチ。スーパーチャージャー付きの、ニンジャH2シリーズ用過給エンジンを水素燃料対応にしたもので、ブルーの部分が水素燃料用のインジェクターとなっている。

画像: 従来のエンジンが液体であるガソリンを霧化して噴射するのに対し、水素燃料は基本的に気体で燃焼速度も速いため、高圧で、かつすばやく噴射する必要があり、そのためインジェクターが非常に重要になる。

従来のエンジンが液体であるガソリンを霧化して噴射するのに対し、水素燃料は基本的に気体で燃焼速度も速いため、高圧で、かつすばやく噴射する必要があり、そのためインジェクターが非常に重要になる。

水素エンジンへの懸け橋となる「直噴ユニット」も登場

画像: ニンジャH2シリーズ用の過給エンジンをベースとした、直噴技術の研究用エンジンも公開された。水素エンジン開発のための技術につながる、貴重なユニットだ。

ニンジャH2シリーズ用の過給エンジンをベースとした、直噴技術の研究用エンジンも公開された。水素エンジン開発のための技術につながる、貴重なユニットだ。

画像: 自然吸気ではなく、あえて過給エンジンをベースに選択するところにカワサキのこだわりが窺える。

自然吸気ではなく、あえて過給エンジンをベースに選択するところにカワサキのこだわりが窺える。

画像: 真ん中に見える、ソレノイドバルブ付きの物体は高圧ポンプ。ここから燃料を高圧でインジェクターへと送る。

真ん中に見える、ソレノイドバルブ付きの物体は高圧ポンプ。ここから燃料を高圧でインジェクターへと送る。

画像: 中央に見える極太のステンメッシュホースを通じて、エンジン背後にマウントされたインジェクターが燃料を直噴。

中央に見える極太のステンメッシュホースを通じて、エンジン背後にマウントされたインジェクターが燃料を直噴。

画像: シリンダー脇とエアクリーナー上にある従来のインジェクターはそのまま。噴射状況の比較実験用と思われる。

シリンダー脇とエアクリーナー上にある従来のインジェクターはそのまま。噴射状況の比較実験用と思われる。

川崎重工は「水素社会」の実現に貢献

画像: 川崎重工は「水素社会」の実現に貢献

川崎重工業はJ-POWERや岩谷産業などと共にHySTRA(CO2フリー水素サプライチェーン推進機構)に参画、大規模な水素サプライチェーンの構築を目指しており、2021年度にはオーストラリアで製造した褐炭由来の水素を日本へと海路で運ぶ実証実験を開始する。

イラストは将来運用されるであろう、液体水素の巨大運搬船をイメージしたもの。水素時代が到来したとき、水素を安定して供給してくれるのも、またカワサキなのだ。

まとめ:オートバイ編集部

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