日本が誇る二輪車メーカー4社は世界各地で高い評価を得ている。そして日本市場では正規販売されていない機種が海外では数多く展開されてもいる。この連載では、そんな知る人ぞ知るモデルをフィーチャー。今回は世界中に散らばったヤマハ・セロー250の遺伝子を追いかけてみよう!
文:小松信夫

あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

画像: ヤマハ セロー250ファイナルエディション (国内仕様)

ヤマハ セロー250ファイナルエディション
(国内仕様)

速さではなくて扱いやすさや自然への影響の小ささを重視し、多くのライダーに親しまれてきたセロー。昨年、セロー250が生産終了となり、最終モデルとして用意されたファイナルエディションが人気になったのは記憶に新しいんですがぁ!

画像: YAMAHA XT250 総排気量:249cc エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 シート高:810mm 車両重量:132kg

YAMAHA XT250

総排気量:249cc
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
シート高:810mm
車両重量:132kg

実は今もアメリカ向けとか、「セロー250」と非常に良く似たXT250とゆーモデルが、堂々と売られてますな。2022年モデルまで出てるしね。「これはセローじゃなく、あくまでXTなのだ」ということなんですか? なーんて意地の悪いことはいいません。巷間言われているように、日本国内では法規によってABSが義務化されたから、ABS仕様が用意できないセロー250の販売が終わっただけ。そのまんま売れる国では売るよねそりゃ。車名もよく考えれば、以前セロー250のモタード版みたいなXT250Xってのを国内でも売ってしなぁ。その昔、そのまんまXT250ってのも国内で売ってたけど、そっちは直接の関係はないか。

画像: XT250(海外仕様)

XT250(海外仕様)

画像: セロー250ファイナルエディション(国内仕様)

セロー250ファイナルエディション(国内仕様)

北米向けのXT250とセロー250ファイナルを見比べると、当たり前ですがメカニズムはほとんど同じですわね。カラーリングや細部の仕上げ、諸元上の差は置いといて、目立つのはヘッドライト周りとテールランプ周りが違うことくらい。

画像1: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

XTは2018年以前の折れ曲がったリアフェンダーのセローがベースになってるのね。

画像2: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

さらにセローはリアホイールにフランジリムを使って、スポークホイールなのにチューブレスにしてるけど。

画像3: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

こちらXTは普通のリムだから、チューブタイヤを履いてるようで。チューブの方が修理やメンテがしやすいという、アメリカのユーザーの声を汲み取った質実な選択なんでしょうか。あとリム自体もセローは軽量なアルミ製だけど、チューブレス化もしてないXTだから、少々重くても頑丈さ重視で鉄リムでしょう(これは憶測)。

とはいえ、違いはそれくらい。日本の林道で愛されたセロー250=XT250のオフロードでの基本的な扱いやすさは、雄大な大自然の中を走るアメリカンなオフロードライダーたちからも今だに評価されてるってことなんでしょうかね。

画像4: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

世界は広くてですね、セロー250やXT250をそのまま売るんじゃなく、あの粘り強くて頑丈な250cc2バルブ空冷シングルを搭載した、使い勝手の良いデュアルパーパスモデルが他にも存在しておりました。それが南米大陸のアルゼンチンやブラジルなどで売られてる、XTZ250シリーズでございます。

画像: YAMAHA XTZ250A 写真はブラジル仕様のランダー250 総排気量:249cc エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 シート高:820mm 車両重量:152kg

YAMAHA XTZ250A

写真はブラジル仕様のランダー250

総排気量:249cc
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
シート高:820mm
車両重量:152kg

こちらがXTZ250A、というかこの写真はブラジル仕様なのでランダー250と言うべきか。おとなしいスタイルのセローから一転、クチバシ状のフロントフェンダーとか、全体に割とモダンなスタイリング。しかし、クチバシとは別にダウンフェンダーを備え、やや舗装路向けの性格らしいタイヤや足つきを考慮したと思われる形状のシートなど、どちらかといえば街乗りを意識した(?)モデルのようで。152kgとXTよりちょっと重いのは玉に瑕。燃料タンクが14Lもあって航続距離が長いし、アドベンチャーツアラー的に使われてるのかも。

画像: YAMAHA XTZ250 総排気量:249cc エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 シート高:830mm 車両重量:142kg

YAMAHA XTZ250

総排気量:249cc
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
シート高:830mm
車両重量:142kg

一方、こっちはアルゼンチンではXTZ250Aと併売されてる、無印のXTZ250。ある意味、セローの異母兄弟的なモデル。足回りも似た感じだしね。こちらは無味無臭な、いかにもオフロードモデルっぽいシンプルなスタイル。タイヤもオフ向けで燃料タンクもコンパクト(でも11Lも入る)で、オフロード走行重視らしい。ただしエンジンをはじめ、極めてオーソドックスな造りのフレームやサスペンションは基本的にAと同じ。Aよりは軽いけど、やっぱりXTよりは重い。

画像5: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

そのフレームにしても、トップチューブがエンジンに近い位置を通っているセロー独特なものとは完全に別物の、オフロードモデルによくある一般的なフレーム形状になってるのが大きな違い。セローのフレームは結構凝ってるから、生産工程に手間がかかるんだろうね。当然、お値段にも響いてくるから、フレームが別のモデルを開発した、ということでしょう多分。でも機能的には必要にして十分なんだろうな、日本でもコレ売ればいいのに…確かランダーにはABS仕様あるし! でも、セロー人気が強烈すぎて売れないか。

画像6: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

あと、セローとの関連とか全く関係ない余談ですけど、ちょっと気になったことが。無印の方のXTZ250の、現在アルゼンチンで売ってるモデルのボディカラーなんですがね。この青いのはヤマハカラー。

画像7: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

で、このブラックはちょっと置いといてですね。

画像8: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

こちらのホワイトをベースに、青いグラフィックを組み合わせたの、なんかどっかで見た様な気がしませんか? 10年くらい前のどっかのモタードがこんなだったかな?

画像9: あの空冷2バルブシングルを受け継ぐ、現役モデルたち

で、トドメはこれ、レッドなんですけど。さらに強烈な既視感に襲われます。これも昔、どっかで見たようなデザイン。グラフィックの色使いとか。音叉マークに違和感を感じちゃう。 もう、ここまできたら、ブラックじゃなくてグリーンを用意すれば全部揃う(何が?)のに、と思ったり思わなかったり。

文:小松信夫

画像: 【ブラジル仕様のランダー250の動画】LANDER 250 ABS - Vá com tudo! www.youtube.com

【ブラジル仕様のランダー250の動画】LANDER 250 ABS - Vá com tudo!

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画像: 【アメリカ仕様のXT250の動画】The 2013 Yamaha XT250 www.youtube.com

【アメリカ仕様のXT250の動画】The 2013 Yamaha XT250

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