BMWモトラッドは2021年8月、新型車「R18B」と「R18トランスコンチネンタル」を発表。この秋から国内発売がスタートした。それに先立ち「R18B」の国際試乗会がドイツ・フランクフルトで開催された。ここではそのインプレッションをお届けする。

BMW「R18B」インプレ(河野正士)

画像: BMW R18B 総排気量:1801cc エンジン形式:空油冷4ストOHV4バルブ水平対向2気筒 シート高:720mm 車両重量:398kg 税込価格:341万8500円〜

BMW R18B

総排気量:1801cc 
エンジン形式:空油冷4ストOHV4バルブ水平対向2気筒
シート高:720mm
車両重量:398kg

税込価格:341万8500円〜

ビッグボクサーを搭載した人気のバガースタイル

「R18B」の〝B〟は、アメリカで生まれ、いまや世界中で人気となっているクルーザーのスタイルであるBagger=バガーの頭文字だ。それは長距離走行を容易にする大型フロントカウルと、大容量のサイドケースの装着が特徴。それでいて短くカットしたスクリーンと、リアフェンダーのラインとリンクするサイドケースが造り上げる美しいストリームラインを持ち、それは美しいボディラインを誇らしげに見せつけながら街を流す、ストリートバイク的要素も含んでいる。

先に発売されたR18R18クラシックで、BMWモトラッド(以下BMW)の伝統的なディテールを強調しながら、王道のビンテージ・クルーザースタイルを造り上げたBMWは、この「R18B」でクルーザースタイルのトレンドに乗ってみせた。

それは、発売開始から約1年で4000台以上を売り上げたR18ファミリーの販売台数を加速させ、クルーザーカテゴリーでのシェアと存在感を高めるというBMWの宣言のようなものである。「R18B」はBMWクルーザーカテゴリーの本丸である。今回の試乗会参加でBMW二輪部門の責任者や開発者たちの話しを聞くと、それを強く感じた。

画像: BMW「R18B」インプレ(河野正士)

見た目に反する軽快なハンドリング

フロントフォークにマウントした大型カウルは「R18B」の、パフォーマンスとキャラクターの核である。カウル内側にはメーター類や大型TFTディスプレイを装備。英国の音響ブランド/マーシャル社とのコラボにより、2つの大型スピーカーも装備している。しかし、それらは高いウィンドプロテクション効果を持つが、走行風を受ければハンドリングに悪影響を及ぼしかねない。

それを考慮し、R18シリーズ共通のフレームは、フレーム上部をパイプ材から板金成形材に変更し剛性をアップ。ステアリングヘッド位置を前方に延ばし、ヘッドアングルも立てている。またフロントフォークを、ステアリングヘッドよりも後方に配置するネガティブオフセットを採用。キャスター角を立てながらトレール量を稼ぎ、軽快なハンドリングと走行安定性の両立が図られている。

サイドスタンドから車体を起こすときにはそれなりの車重を感じるが、タイヤが転がり始めるとその重さはなくなる。出発地のホテルの駐車場から一般道へ、そして朝の混雑した街中や交差点をユルユルと走らせても動きも軽く、意に反するハンドルの切れ込みもない。そして高速道路では、日本よりも速い巡航速度ながら抜群の安定感を示し、そこからのレーンチェンジの反応は素早くて軽かった。この軽快さはワインディングでも変わることはない。

モデル名「B」の語源であるバガーとは、ツーリング性能とともにスポーツマインドを高めたカスタムスタイルであることが「R18B」でしっかりと表現されていた。さらに追加されたACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)はシステムの習熟が進めば高速道路以外でもそのメリットを発揮できることも理解できた。

スポーティな車体と電子制御技術を採用した「R18B」は間違いなくクルーザーカテゴリーの台風の目になる。そしてそのパフォーマンスは、クルーザーファン以外にも驚きを与えるだろう。もし試乗チャンスがあれば、トライする価値は大いにある。

▶▶▶次ページ:足つき・各部の解説・スペック

BMW「R18B」ライディングポジション・足つき性

シート高:720mm
ライダーの身長・体重:170cm・70kg

画像1: BMW「R18B」ライディングポジション・足つき性

日本仕様は、テスト時と同じシート高720mmのスタンダードシートを標準装備。両足のカカトをしっかりと地面に着けることができる。短くカットされたスクリーンによって軽快なサイドシルエットを造り上げている。

画像2: BMW「R18B」ライディングポジション・足つき性

BMW「R18B」各部装備・ディテール解説

画像: フロントカウルから、容量を24Lに増やした燃料タンクやヒーター付きの専用のシート、そしてリアフェンダーとサイドケースの後端まで美しいラインが繋がる。

フロントカウルから、容量を24Lに増やした燃料タンクやヒーター付きの専用のシート、そしてリアフェンダーとサイドケースの後端まで美しいラインが繋がる。

画像: 大型のフロントカウルはフロントフォークにマウントされる。それにともないキャスターアングルを立て、フロントフォークは逆オフセットで装着し軽快感と安定感を両立。

大型のフロントカウルはフロントフォークにマウントされる。それにともないキャスターアングルを立て、フロントフォークは逆オフセットで装着し軽快感と安定感を両立。

画像: これは2021年8月の「R18B」と「R18トランスコンチネンタル」が発表されたときに公開されたフレームのデザイン画。すべて鋼管で構成されているR18とは違い、フレーム上部が板金成形材となり、ネック位置も前方に伸びているのが分かる。

これは2021年8月の「R18B」と「R18トランスコンチネンタル」が発表されたときに公開されたフレームのデザイン画。すべて鋼管で構成されているR18とは違い、フレーム上部が板金成形材となり、ネック位置も前方に伸びているのが分かる。

画像: ハンドル中央に10.25インチのカラーTFTディスプレイを配置。スマートフォンアプリBMW Motorrad Connectedとのリンクも可能。ディスプレイ上には燃料/速度/エンジン回転/パワーリザーブの4連メーターを配置。

ハンドル中央に10.25インチのカラーTFTディスプレイを配置。スマートフォンアプリBMW Motorrad Connectedとのリンクも可能。ディスプレイ上には燃料/速度/エンジン回転/パワーリザーブの4連メーターを配置。

画像: 燃料タンク容量を24Lに拡大。エンジンはR18シリーズ共通の排気量1801ccのビッグボクサー。3つのライディングモードのマッピングも同じ仕様になっている。

燃料タンク容量を24Lに拡大。エンジンはR18シリーズ共通の排気量1801ccのビッグボクサー。3つのライディングモードのマッピングも同じ仕様になっている。

画像: シンプルな表皮デザインのスタンダードシート。表皮デザインが異なるOption719のベンチシートや、高さ740mmのハイシートもオプションパーツとしてラインアップされている。

シンプルな表皮デザインのスタンダードシート。表皮デザインが異なるOption719のベンチシートや、高さ740mmのハイシートもオプションパーツとしてラインアップされている。

画像: 大型サイドケースの容量は、それぞれ27L。防水性を高めるためにやや厚めのライナーを装備する。ストリームラインを形成するため複雑なデザインが施されている。

大型サイドケースの容量は、それぞれ27L。防水性を高めるためにやや厚めのライナーを装備する。ストリームラインを形成するため複雑なデザインが施されている。

BMW「R18B」主なスペック・価格

全長×全幅×全高2560×1040×NAmm
ホイールベース1695mm
シート高720mm
車両重量398kg
エンジン形式空油冷4ストOHV4バルブ水平対向2気筒
総排気量1801cc
ボア×ストローク107.1×100mm
圧縮比9.6
最高出力67kW(91hp)/4750rpm
最大トルク158Nm(16.1kgf・m)/3000rpm
燃料タンク容量24L
変速機形式6速リターン
キャスター角62.7°
トレール量183.5mm
ブレーキ形式(前・後)Φ300mmダブルディスク・Φ300mmディスク
タイヤサイズ(前・後)120/70R19・180/65B16
メーカー希望小売価格341万8500円~(消費税10%込)

文:河野正士/写真:BMW

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