まとめ：オートバイ編集部
ヤマハ「TZR250」特徴・歴史
YAMAHA TZR250
総排気量：249cc
エンジン形式：水冷2スト・クランクケースリードバルブ並列2気筒
車両重量：126kg（乾燥）
軽量化とハンドリングを武器に、一気に市場を掴んだレプリカ
突然変異が進化の過程で原動力となることがある。初代TZR250は、まさにその進化の原動力となったモデルと言える。
ヤマハのレーサーレプリカの元祖と言えばRZが浮かぶが、フロントカウルがあるレーサースタイルのレプリカと言えば、1983年に発売されたスズキRG250ガンマで異論はないはずだ。RG250ガンマの登場はセンセーショナルでショッキングだった。250らしからぬ贅沢な作りとパワフルなエンジン、そして、アルミフレーム。その後の250スポーツの在り方を変えたと言っても過言ではないだろう。
RZにより、2ストローク250スポーツカテゴリーを確立したヤマハであったが、RG250ガンマに対抗するモデルを1985年に登場させる。RZ250RRの後継機種となるが、明らかに突然変異となるTZR250の誕生である。
クラス上限の最高出力を誇ったコンパクトな2ストロークパラツインエンジン。アルミデルタボックスフレームの軽くてコンパクトな車体に、シャープなハンドリング。TZR250の登場はライバルたちを一瞬で古臭いものに変えてしまった。
それまではレーサーレプリカと言っても重心が高く、見た目と装備をレーサーのようにしたものだったが、TZR250はよりレーサーに近づいた走行性能を手にしていた。優れた旋回性、コントロールが容易で安定したコーナーリング、エンジンに負けないブレーキと車体…etc。
時代を変えたTZRは販売も成功し、ワインディングでも、サーキットでも走る車種の勢力図を一変。新たなベンチマークとなったのだった。
ショートストロークの水冷2ストローク並列2気筒エンジンは完全新設計。クランクケースリードバルブを採用し、RZ系のエンジンより単体で約7kgもの軽量化。ミッションケースだけはドライサンプ。それによりオイル量も減る。
ヤマハ「TZR250」主なスペック
| 全長×全幅×全高 | 2005×660×1135mm |
| ホイールベース | 1375mm |
| 最低地上高 | 135mm |
| シート高 | 760mm |
| 車両重量 | 126kg（乾燥） |
| エンジン形式 | 水冷2スト・クランクケースリードバルブ並列2気筒 |
| 総排気量 | 249cc |
| ボア×ストローク | 56.4×50.0mm |
| 圧縮比 | 6.4 |
| 最高出力 | 45PS/9500rpm |
| 最大トルク | 3.5kgf・m/9000rpm |
| 燃料供給方式 | キャブレター（TM28SS） |
| 燃料タンク容量 | 16L |
| 変速機形式 | 6速リターン |
| キャスター角 | 26°00' |
| トレール | 96mm |
| タイヤサイズ（前・後） | 100/80-17・120-80-17 |
| ブレーキ形式（前・後） | ディスク・ディスク |
| 当時価格 | 54万9000円 |
※この記事は月刊『オートバイ』2021年9月号別冊付録「RIDE」の特集から一部抜粋し、再構成して掲載しています。当特集のスタッフ 文：濱矢文夫、深澤誠人、宮崎健太郎／写真：小平寛、関野温、盛長幸夫、山口真利
