水冷並列3気筒エンジンを積んだトライアンフのミドル・アドベンチャーツアラーの最新モデルとして、2020年に登場したタイガー900シリーズ。GTプロはキャストホイールを備えオンロードを重視したモデルであるGTの上級版となる。
文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

トライアンフ「タイガー900GT プロ」インプレ・解説(濱矢文夫)

画像: TRIUMPH TIGER900GT Pro ※撮影車両はオプション装着車 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 最高出力:70kW(95.2PS)/8750rpm 最大トルク:87N・m(8.87kg-m)/7250rpm シート高:810-830mm 車両重量:223kg 税込価格:186万5000円

TRIUMPH TIGER900GT Pro
※撮影車両はオプション装着車

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
最高出力:70kW(95.2PS)/8750rpm
最大トルク:87N・m(8.87kg-m)/7250rpm
シート高:810-830mm
車両重量:223kg
税込価格:186万5000円

厳選電子デバイスをふんだんに装備 !

まず惹かれたのはサイズである。トライアンフも含めて各メーカーの旗艦アドベンチャーモデルよりひとまわり小さい。日本人の体格が大きくなったと言われて久しいけれど、まだまだ欧米の人と肩を比べるほどではない。

筆者の身長は170cm。有り余る体力はなく、いつでも最高のバランス感覚を発揮できないから、機種によっては大きさを持て余す。テクニックや工夫でオートバイに自分を合わせていくこともできるが、自分にあったオートバイを選ぶのも選択肢として妥当だ。

乗る時間が長くなると“慣れる”という現象もあるが、合わせていくより合ったものを選ぶほうがその過程が短くでき安心。このミドルタイガーは私にとって後者だ。乗り出して短い時間ですぐになじんだ。

シート高の低い方で810mm。足裏ぜんぶべったりとはいかないが両足は届く。個人的に足つきがすべてだとは思っていない。されどつくならそれがいい。はじめて訪れた街で不意に入った路地の先が行き止まり。方向転換をする時にはより簡単。傾斜地に停めないといけない時や、お気に入りのカフェの駐輪場からバックで押し出す時に億劫にならない大きさだ。

画像1: トライアンフ「タイガー900GT プロ」インプレ・解説(濱矢文夫)

加えて19インチ、17インチのキャストホールを履いたGTの上位版であるこのGTプロは、トップモデルに見劣りしない豊富な装備がついているところがミソだ。サイズダウンになっていても、そこは妥協をしていない。

スマホだけでなくウェアラブルカメラのゴープロともコネクトできる7インチTFTカラーディスプレイ。Googleのターンバイターン方式のナビやミュージックプレイヤーも使える。

コンチネンタル社のIMUを使ったコーナーリングABSやコーナーリングトラクションコントロール。6種類のライディングモード。グリップヒーターと前席と後席で独立したシートヒーター。タイヤの空気圧をモニターでリアルタイムに知ることができるタイヤ空気圧モニタリングシステム。クルーズコントロール。ミドルクラスのアドベンチャーモデルとしては指折りの装備だ。

画像2: トライアンフ「タイガー900GT プロ」インプレ・解説(濱矢文夫)

最後の特徴は、トライアンフのお家芸である直列3気筒エンジンにつきる。各気筒の排気ポートから伸びた3本のエキゾーストパイプが出てすぐの場所で連結されて、前から見るとトライデント(三叉の槍)に見えるところがおもしろい。

オンロードモデルのトリプルのように回して加速に拍車がかかるのとは違い、アドベンチャーらしく全体をならしてトルク変動幅が小さくしている。

それでもエンジン回転数を上げながらGTプロに標準で装備されたクラッチレバー操作なしでアップ、ダウンができるシフトアシストを使い高いギヤに上げていくと直列3気筒らしく滑らかさと荒々しさが共存したなかなかの加速で速度は簡単にイリーガルな世界へ突入してしまう。

タイガー900にはフロントに21インチワイヤースポークホイールを履いたラリーシリーズがあるから、比較してGTはよりオンロードツーリングに軸足を置いている。そうであっても、フロント180mm、リア170mmのホイールトラベルがあるから、オフロードモードにしてダートに突入してもフラット林道くらいで困ることなく走破していける実力。

GTプロはリアショックのプリロードとリバウンドの減衰は電子制御で、ライディングモードにあわせ変えてくれる。フォークの標準セッティングは当たりに角がなくソフトに沈み込みながら減衰がきっちり効く。

ライディングモードをもっともレスポンシブルなスポーツにするとバーグラフで表示されるリアの減衰は最大より1段下げただけのハード設定。これでフロント反応が機敏になって、舗装路ワインディングでスポーティーな動きが楽しめる。

けれども高荷重向きすぎる様子はなく低速でもしっかり動いている。荒れた路面になるとややピッチングモーションを意識する場合があるので、ひとつ下のロードモードにするといい。

リアサスペンションがさらに動きやすくなるだけでなく、制限速度より遅いクルマのあとをついてゆっくり走るときなどスロットル操作によるトルクの出方がスポーツよりも気を使うことが少なくなる。左手のスイッチで走りながらリアサスペンションをはじめ設定を任意に変更も可能だ。

タイガー900GTプロはトップモデルにも見劣りしない仕様で、日本の道と日本人にフィットしやすい大きさのオールラウンダー。だから自然と行動範囲を広がっていく。

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