サイドカーの名門、サクマエンジニアリングが新たに特製したのは、トライアンフ・ボンネビルT120のサイドカー。モダンクラシックモデルに合わせた、レトロで品のあるフォルムと上質な仕上げが特徴だ。
文:宮崎敬一郎、木川田ステラ、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

サクマエンジニアリング「ボンネビルT120サイドカー」インプレ・解説(宮崎敬一郎)

画像: SAKUMA ENGINEERING BONNEVILLE T120 SIDE CAR 総排気量:1200cc エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒 車両重量:390kg

SAKUMA ENGINEERING BONNEVILLE T120 SIDE CAR

総排気量:1200cc
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
車両重量:390kg

トルキーな特性が生む極上のクルージング!

今回のT120のサイドカーはサクマエンジンニアリング製。オーナーがトライアンフのボンネビルT120を持ち込み、サイドカーは同社の「レジェンド」に近いスタイル。側車側のホイールも駆動する2WDだ。

デフ付きで、本体と側車側のサスの動きの差で駆動用のプロペラシャフトがよじれないよう、途中にユニバーサルジョイントまで組み込まれている。そのおかげで、側車側の懸架方式は動きのスムーズなトレーリングアーム式としている。

デフはT120の後輪ハブをオリジナルに変更してその中に遊星ギアタイプのコンパクトなシステムを組み込んでおり、一見するとどこにあるか解らない。カスタムの2WDサイドカーにしてはスッキリした構造だ。

これでハンドルフルロック時の低速S字の切り返しなどの際、パワーの掛け方でハンドルを取られるようなこともなく、自然に取り回せる。しかも電動のバックギアも装備し、小回りしながら後退することもできる。

画像: ▲ベースマシンのボンネビルT120に合わせたコーディネイトで、シルバーとキャンディレッドのカラーリングを側車にも採用。

▲ベースマシンのボンネビルT120に合わせたコーディネイトで、シルバーとキャンディレッドのカラーリングを側車にも採用。

また、このサイドカーはT120というトルキーなパワー特性のマシンをベースモデルに選択したことで、走りが結構機敏だ。

ふつうのサイドカーと違い、操作には独特なものがいくつかある。簡単に言うとセンターがオフセットされたトライクに乗っているようなものなので、元気よく走る時のコーナリングはアウト側の動輪に荷重を乗せつつ、乗り手はイン側に体重移動してイン側のホイールリフトを避けるような操作になる。2WDなので、どちらかがリフトしてホイールが空転すると推進力がなくなるからだ。

サイドカーらしく、前後ブレーキの作動と、その際の挙動も独特だが、これをバランスよく使えれば、2輪では不可能な短い距離で減速できる。独特な特性も理解した上で使えば武器になり、非常にクイックな身のこなしで元気に曲がって、キビキビ走れるのだ。

T120ベースゆえに走りもパワフルで、高速巡航時のゆとりや加速力は並みのサイドカーとは大きな差がある。タンデムライダーと共に極上の快適ライディングが可能だ。

オーナーの好みだと思うが、この試乗車は高速道路のクルージングに的を絞ったセッティングが施されているようで、操縦性はこの速度域でいちばん光っていた。技術のある専門店がサイドカーを作ると、希望する速度レンジや、好みのハンドリングまで仕立てることができるといういい例だ。

サクマエンジニアリング「ボンネビルT120サイドカー」側車の乗り心地(木川田ステラ)

画像: サクマエンジニアリング「ボンネビルT120サイドカー」側車の乗り心地(木川田ステラ)

側車内はヒザを伸ばしても奥に荷物が置けるほど広々としていました。シートは腰に振動が伝わりにくいフワフワのクッションで、まるでソファのような座り心地。

乗り込みやすいようにステップが設置されているし、グラブバーなどの掴む所もたくさんあるので、走行時も体を固定させやすく、安心感は抜群でした。

低い視点から見える景色、風を切って走るオープンカーのような爽快感は比べ物にならない楽しさです!

This article is a sponsored article by
''.