オートバイの洗車や錆落とし、磨きといった「ケア」を自分で行う人は多い。web記事や動画を参考にすれば手順は判るだろう。しかし、「メンテナンス」となれば話は別。見よう見まねの作業は重大なトラブルや事故を招きかねない。正確な作業には、適切に対処できる知識と技術、経験が欠かせない。
文:太田安治/写真:南孝幸/取材協力:(株)モーターサイクルドクターSUDA

車検前にチェックしておきたい重要なポイント3項目

ここまで解説してきた点検・整備の内容は排気量に関わりなく必要なものだが、排気量が250ccを越えるオートバイが2年に1度(新車の場合は最初の一回のみ3年)受ける車検(正式には自動車検査登録制度)時には、排気騒音(年式により規制値が異なる)、排気ガス、ヘッドライトの状態も検査される。

無改造の純正状態でも劣化や調整不良によって不合格になる場合があるので、ユーザー車検の場合は事前にチェックしておきたい。


チェック1:排気騒音

画像1: 車検前にチェックしておきたい重要なポイント3項目

排気騒音はほとんどの場合、最高出力回転数の50%の回転数で、排気口の後方45度、50cmの距離で測定する。純正マフラーやJMCA認証品ならほぼ大丈夫だが、外国車やSSモデルの一部には純正マフラーでも不合格になるケースがある。


チェック2:排気ガス

画像2: 車検前にチェックしておきたい重要なポイント3項目

2000年式以降の車両はマフラー内に専用の測定装置を差し込んで排気ガス中の一酸化炭素、炭化水素の量を検査するので、レース用マフラーなどのキャタライザー(触媒)が入っていないマフラーは不合格になる。純正マフラーならほとんど心配ない。


チェック3:光軸・光量・光色

画像3: 車検前にチェックしておきたい重要なポイント3項目

ヘッドライトは光軸(上下左右の向き)、光量・光色が検査対象。中でも光軸は不合格になる場合が多い。タイヤやサスペンションを換えると光軸に影響するので、その都度調整することが基本。年式の古い車両、オフロード系モデルは光量不足と判定されることがあるのでバルブ交換や配線の工夫といった対策が必要になる。

知ってた?装着が義務化されたOBDⅡ

新型車への装着が義務化されたのがOBDⅡ(オン・ボード・ダイアグノーシス)と呼ばれる車載式故障診断装置。オートバイのECUに記録されている各種センサー(特に吸排気関係)のデータ、異常値(エラーコード)を読み出す。電子制御を採用している車種のトラブル発見、対策に絶大な威力を発揮する。

画像4: バイクの「点検整備」とは? プロによるメンテナンスの一例を紹介|ユーザー車検の前にチェックするべき重要なポイントも!

ユーザー車検を受ける時に必要な『分解整備記録簿』

画像: ユーザー車検を受ける時に必要な『分解整備記録簿』

これが分解整備記録簿。車検の際はこの書類の提出が必要になる。今回は整備のみを行ってもらい、数日後にユーザー車検を受けた。

安心して安全に走行するためには、専門家による整備は必須

画像: 安心して安全に走行するためには、専門家による整備は必須

省略した部分もあるが、以上が2年定期点検整備の主な内容。プロの作業内容を知れば知るほど、掛かる費用と時間の意味が納得できるはずだ。整備後、最寄りの陸運事務所に自走していって検査を受けたが、もちろん一発合格。プロの整備による安心感は絶大だ。

新車のオートバイにはオーナーズハンドブック(マニュアル)や点検整備記録簿が付属している。整備項目や各種の数値が記載されているので、かならず目を通しておこう!

文:太田安治/写真:南孝幸/取材協力:(株)モーターサイクルドクターSUDA

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