細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現
![画像: YAMAHA YZF-R7 総排気量:689cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:835mm 車両重量:188kg](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/2887d589a0dd2e90d97a8ab214e133b5dec86bbc_xlarge.jpg)
YAMAHA YZF-R7
総排気量:689cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:835mm
車両重量:188kg
先日正式に公開され、今年冬以降には日本国内での販売も予定されているヤマハ・YZF-Rシリーズのニューモデルで、「扱いきれるスーパースポーツ」を目指して開発されたのが「YZF-R7」。
基本メカニズムこそネイキッドスポーツ新型「MT-07」と多くの部分を同じくするが、単にフルカウルを装着したMTではなく、スーパースポーツらしい走りを実現するため、各部に「YZF-R7」独自の改良が施されている。
今回はそんな「YZF-R7」ならではのメカニズムについて、詳しく紹介してみたい。
![画像1: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/f3bb66d2f6501a61d18f6b4cac89094361016569_xlarge.jpg)
「YZF-R7」でMT-07からメカニズム的に変わっている部分といえば、まずフレームをはじめとする車体周りだろう。スチール製のバックボーンフレームそれ自体は、素直で軽快なハンドリングを備えるMT-07と共通のものだ。
しかし、アルミ製のセンターブレースをリジッドマウントするなど、各部の締付剛性を最適化することでピボット廻りのねじり剛性を向上するのと同時に、全体の剛性バランスを見直してよりシャープなハンドリングを狙っている。
![画像2: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/9cdd51b980811678eec913c9a8761f4eaf4876a4_xlarge.jpg)
前後サスペンションも大きく変更された。フロントフォークは、MT-07ではインナーチューブ径φ41mmの正立構造だったが、「YZF-R7」は同じくインナーチューブ径φ41mmではあるものの、専用に開発された剛性の高い倒立構造のものを採用して同時にステム周りも変更。これらの改良により、ロードホールディングを向上させ、ハンドリングに高レベルの安定性ももたらしている。
![画像3: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/8643e6ac5ea004626cd8f39c99157dc074382cf3_xlarge.jpg)
フロントブレーキも新しくなり、MT-07では一般的なアキシャルマウントだったキャリパーが、スーパースポーツらしくラジアルマウントに変更されている。ローター径もφ282mmだったMTから、「YZF-R7」ではφ298mmへと大径化。マスターシリンダーもラジアルマウントタイプを採用する。
![画像4: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/3c5a2d6d336341761b4294510d0fc44a292bec41_xlarge.jpg)
この倒立フォークはプリロード調整に加え、左側フォークに圧側、右側フォークに伸側の減衰力調整機能も備え、ライダーの好みに合わせてセッティング変更も可能。フォークはレーシーなデザインの鋳造トップブリッジと鍛造トリプルクランプを介して車体に取り付けられ、バーハンドルだったMT-07に対し、セパレートハンドルがフォーク上部に直接マウントされる。
![画像5: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/44c656a6b2c92cb27968e3eb4b37d3c497fdd1de_xlarge.jpg)
リアサスペンションも、マスの集中化に効果的な水平方向配置を採用したリンク式のモノクロスサスペンションという基本的な構造はMT-07から踏襲。
しかしリンク比やショックユニットの減衰特性、スプリング設定を変更したものとなっていて、プリロードと伸側減衰力の調整機能も装備。またスイングアームやリアブレーキに関してはMT-07と同じものを使用しているようだ。
![画像6: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/722f37bb400e454ebcd9aeb0aa4a056c984f464c_xlarge.jpg)
車体のディメンションを見ると、フォークの車体に対するキャスター角は23.7度で、24.5度のMTよりもやや立ち気味にされている。トレール量は両モデル共に90mmだ。ホイールベースはMTの1400mmから、1395mmへと僅かに短縮されている。
このディメンションや前述の変更点などからも分かるように、「YZF-R7」は単にフルカウルを装着したMT-07ではなくて、スーパースポーツらしくクイックで機敏な操縦性を狙った車体が与えられているのが理解できる。車重もフルカウルを装着しながら、国内仕様の従来型MTとの比較で約5kgしか重くなっていない。
![画像7: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/f24a43abd4f68dbacec65ebbc8feacfdfbbd078d_xlarge.jpg)
クロスプレーンコンセプトに基づいて不等間隔爆発となる270度クランクを採用、独特の鼓動感と共にシャープで力強い走りを味わえる689ccの水冷並列2気筒エンジンは、最高出力の発生回転数が少し低くされているが、基本的にはMT-07と同スペックのようだ。
![画像8: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/d6ffd961d19954d512057b7f5c2d9940d509e54d_xlarge.jpg)
しかし、スプロケットの組み合わせを変更して2次減速比を変えている。MT-07では43:16=2.687だったものを、「YZF-R7」では42:16=2.625へと、ドリブンスプロケットを1丁小さくして僅かにロング方向へ変更し、高揚感ある走り、スポーティな乗り味に仕立てられた。
さらにMT-07系エンジンでは初めて、クラッチレバーの操作荷重を低減し、シフトダウン時などの大きなバックトルクによる車体への影響や、急激なエンジンブレーキ発生を抑えるアシスト&スリッパークラッチも採用。クイックシフトシステムもオプションとして用意されているのもスーパースポーツらしい。
![画像9: 細かな改良を積み重ねてスーパースポーツらしい機敏な走りを実現](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/05/20/2396378776c550e625300d4b2b00bf85cbb66f41_xlarge.jpg)
短く切り詰められた形状で、マスの集中化に大きく貢献するデザインのマフラーは、MT-07用と同様のものに見える。しかし最新のスーパースポーツスタイルにも違和感なく収まっている。
【動画】2021 Yamaha R7 - Where R/World Meets Yours
www.youtube.comヤマハ「YZF-R7」(EU仕様)の主なスペック
全長×全幅×全高 | 2070×705×1160mm |
ホイールベース | 1395mm |
シート高 | 835mm |
車両重量 | 188kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 689cc |
ボア×ストローク | 80×68.6mm |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 73.4PS/8750rpm |
最大トルク | 6.8kgf・m/6500rpm |
燃料タンク容量 | 13L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 23°40′ |
トレール | 90mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・180/55ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ298mmダブルディスク・Φ245mmディスク |
まとめ:小松信夫