スズキ新型「ハヤブサ」に触れた宮崎敬一郎の感想
最強の性能を堪能できる「しなやかな進化」
第3世代と言われるこの新型ハヤブサ、ベースとなっているのは前モデル・第2世代のハヤブサではあるが、全てに手が入っており、実質オールニューと言っていい。外観が大きく変わり、エンジンからフレーム、足回りにいたるまで、細かく多岐にわたって改良の手が入っている。
今回初めて実車に触ったわけだが、走らせたわけではないので、分かったことは限られている。意外に上品な風格を手に入れていることと、またがっただけで分かるほど車体が軽くなっていること。そして、サイドカウルの中にある整流フィンの張り出しで、ちょっとだけボリューム感が増したことだ。
ライディングモードも6種類用意されたし、電子制御アシスト群の種類も多くなっている。慣れるまでは、メーターパネルの液晶パネルとにらめっこすることになるだろう。
その電子制御ライディングアシスト群、実際に走らせてみないと分からない装備だが、ターゲットにしているライディングスタイルは想像がつく。
発表資料によると、どうやら新型は「常用域から超高速域まで、リニアにコントロールでき、歴代ハヤブサ最強のパワフルな走行性能をイージーに」というバイクらしい。
具体的に説明すると、派手な最高速データや加速データを謳うのではなく、どんな速度域からでも、ハヤブサならではの無敵レベルの動力性能を活かした、ストレスのない走りが楽しめるということだ。
前後連動ブレーキやトラコン、ABSにいたるまで、IMUと連動してリーンアングルや路面の勾配まで配慮した「効き加減」を提供してくれるようだ。これは最新のアドベンチャーやスーパースポーツが手に入れている装備だが、問題はそのサジ加減とクオリティ。
もともと、スズキが採用する電制アシスト群の機能は優秀だ。スムーズな作動のトラコンや、スポーティなABSを、より幅広い速度レンジで、作動レベルにも幅を持たせて装備しているのではないかと思っている。
これで得られるのは、親しみやすさやバイクとの人車一体感。今回ハヤブサが受けた進化は、もともと持っている「ハイスピードツーリングスポーツ」という顔を化粧直ししたものではない。たとえるなら、単に男っぽく力こぶで威圧するのではなく、色っぽい魔性の走りに誘うような、キャラクターのしなやかな変化なのだ。
スズキ新型「ハヤブサ」ライディングポジション・足つき性
シート高:800mm
ライダーの身長・体重:176cm・68kg
タンクエンドから車体へのフィットが少しスリムというか、ピッタリしていて、ホールド感はアップしている。ハンドルの垂れ角といい、前傾の強めなハヤブサらしい、ちょっと戦闘的な配置だが、ハンドルが12mmほど近くなったので、上体を支えるのはずっと楽になっている。
スズキ新型「ハヤブサ」主なスペック
全長×全幅×全高 | 2180×735×1165mm |
ホイールベース | 1480mm |
シート高 | 800mm |
車両重量 | 264kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 1343cc |
ボア×ストローク | 81×65mm |
圧縮比 | 12.5 |
最高出力 | 188PS/9700rpm |
最大トルク | 15.2kgf-m/7000rpm |
燃料タンク容量 | 20L |
変速機形式 | 6速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・190/50ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・ディスク |
文:宮崎敬一郎/写真:南 孝幸