Honda NC750X Dual Clutch Transmission(2020)
アドベンチャーバイクの快適性能と、前後17インチホイールによるニュートラルなハンドリングでの運転する楽しさを両立するクロスオーバーモデルがNC750X。
搭載される直列2気筒エンジンはロングストローク設計のため低~中速が実にトルクフルで扱いやすい特性。
それでいてライダーを飽きさせない鼓動感やサウンドも備えています。
アドベンチャースタイルのバイクとしては車体の大きさもほどほどなので、ツーリング中でも大きさを持て余すことがないジャストサイズ感が好感触。
ABS、トラクションコントロール、ETC2.0、グリップヒーターなど必要なものがすべて標準装備されていながら、100万円アンダーの価格に抑えられていることも特徴のひとつです。
NC750Xにはマニュアルトランスミッションの設定もありますが、ここで紹介するのはホンダ独自のオートマチック機構であるDCT(Dual Clutch Transmission)を装備したモデル。もともとNC750Xは気軽さと快適性能を併せ持つバイクですが、そこにDCTが組み合わされることで『他に比べるものがない』存在となります。
■車両価格(10%税込)96万8000円
NC750Xのライディングポジションや足つき性は?
ライダー身長176cmの場合、背筋はまっすぐ直立させることができ、かつ膝の曲がりもキツくない。『快適』をそのまま具現化したようなライディングポジションを取ることができます。最もスタンダードでありながら、ロングツーリングで疲れないお手本のような乗車姿勢です。
大排気量のアドベンチャーバイクは持て余すほどの巨体を誇るバイクが多いのですが、NC750Xは日本人にジャストフィットするサイズ感。
またがってみたときの『しっくりくる』感じに嬉しくなります。
足つき性に関しても同様で、日本人の体格でも無理がないのが最大の特徴です。
シート高は800mmで、身長176cmのライダーの場合は両足カカトがべったりと接地。足つき性はかなり考慮されているようで、両足を接地させても軽く膝が曲がるほどの余裕がありました。
おかげで跨ったままのバックも余裕です。日本人の平均的な体格の男性であれば、安心して扱うことができるでしょう。
NC750X<DCT>の燃費は?
NC750XはMT・DCT共にリアシートの下に給油口があります。
使用燃料はレギュラーガソリン。燃料タンク容量は14Lとなっています。
高速道路7割、一般道3割の割合でトータル504.7km走行した場合の給油量は18.1Lでした。
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満タン法で計測した燃費はガソリン1Lあたり27.8km。
750ccクラスという排気量を考えると、かなり良好な燃費性能だと言えます。走り方によってはリッターあたり30kmという燃費も現実的な範囲でしょう。
NC750X<DCT>の試乗インプレ記事はこちら
NC750X<DCT>の主要装備を解説
NC750Xの心臓部は総排気量745ccの直列二気筒エンジンです。最高出力は54馬力ながら、最大トルク6.9kgf・mを4750回転という低めの回転数で発生するトルキーな特性で、実用速度域がとても扱いやすいキャラクターにまとめられています。
ボア×ストロークが77.0mm×80.0mmとストロークが長めに設計されているため、2気筒エンジンならではの鼓動感も堪能できます。
また、マフラーからのサウンドは重厚さを感じる低音。長時間のライディングでも耳に心地よく、音に疲れることがありません。
どこまでも走り続けることができるような、テイスティなエンジンフィーリングもNC750Xの魅力のひとつとなります。
通常ガソリンタンクとなる部分が容量22Lのラゲッジスペースになっているのが、NC750Xの大きな特徴のひとつです。
ラゲッジボックスリッド上部にはタンクバッグなどを装着しやすくするユーティリティレールも設置されています。
ラゲッジスペースはちょうどフルフェイスヘルメットひとつが収納できるくらいの容量(※注:大きさや形状によっては入らないヘルメットもあります)があるので、1泊2日のツーリングであれば、このラゲッジスペースだけで事足りてしまうほど。
また、標準装備となるETC2.0の本体は、ラゲッジスペースの底面にあるフタを開けると、その内部に配置されています。
ラゲッジボックスはロックもできるので、旅先のセキュリティ面でも安心感があります。
給油口はリアシートの下にあります。ガソリンタンクはシートの下部分に配置されており、重量マスの集中化にも貢献。軽快なハンドリングにひと役買っています。
NC750Xにはグリップヒーターが標準装備されているので、寒い時期でも快適。
純正アクセサリーとしてにナックルガード(1万4300円・10%税込)が設定されているので、冬でもガンガン走りたいタイプのライダーはそちらも併用すると真冬でも指先の冷えに苦しむことは無くなるはずです。
シートは前述の通り、パッセンジャーシートの下部が給油口になるので、前後が分割されています。ライダーが座る部分はシート前方がスリムにカットされているため、足が下ろしやすく、シート高800mmという数値以上の足つき性を実現。
座り心地はやや固めで、長時間乗車でもお尻が痛くなりにくいのが嬉しいポイントです。
導光ライン採用のヘッドライトはLEDで現代的な洗練と高級感を感じさせるデザイン。光量も申し分なく、夜間の走行でもクリアな視界を確保してくれます。
大型のウインドスクリーンは、体格にもよりますがヘルメット下部あたりまでの走行風をカットしてくれるため、高速道路のクルージングが非常に快適。
スクリーン中央部に乱流を防ぐための穴が開けられ、快適さを徹底的に追及しています。
メーターはフルデジタル表示でスピードメーターやタコメーターの他、燃費計やギアポジションなど多彩な機能を備えています。
トラクションコントロールは2段階の介入度、もしくはOFFが選択可能となっています。
スタイルこそアドベンチャー風ですが、前後に17インチホイールを採用によってニュートラルなハンドリングを実現。ワインディングでは純粋なオンロードバイクとして軽快な走りを味わうことができます。
【文/北岡博樹】