四輪には「キャンピング・カー」が定着しているが、バイクにはない。AT限定大型二輪免許で乗れる「X-ADV」と、AT限定普通二輪免許で乗れる「ADV150」。この2台はキャンピング・バイクと呼んでもいいのではないだろうか? そう思う理由を2台の特徴と共に詳しく解説しよう!
文:西野鉄兵/モデル:葉月美優/写真:松川 忍

ホンダ「X-ADV」車両解説

画像: ホンダ「X-ADV」車両解説

高速巡航もスポーツ走行も楽しい

車体の剛性が高く、高速道路を走っているとリッタークラスにも負けないほど快適だと感じた。スクリーンは手動で5段階の高さ調整が可能。もっとも高くすると、少しかがめば頭の高さまでカバーし、雨天走行でも安心。下半身も走行中はほとんど濡れないので、何日も走るロングツーリングでは非常にありがたい。

オートマチックでギアチェンジを行なう「DCT」の性能向上も感じた。ライダーに衝撃をほとんど与えることなくスムーズにシフトアップ・ダウンを行なってくれる。燃費のいいDモードでの時速100km時は3200回転ほど。高速域からの加速も鋭く、時速120km区間でも交通の流れを軽々とリードできる。燃費は、キャンプ道具を満載にして、高速&一般道を半々程度で約250km走り、約26km/Lだった。

ニーグリップはできないものの、くるぶしでがっちりとグリップでき、峠道も安心して走れた。DCTをSモードにすれば、高回転までひっぱりスポーツバイクのようなエキサイティングな走りも楽しめる。

ネガな点は、シート高の数値以上に足つきがキツく感じたことと、取り回し時の重さだ。運転にあまり自信のない方は、まず試乗してから購入を検討することをおすすめしたい。

画像: DCTのモード切り替えは右手親指で行なう。ドライブモードの「D」と低いギアでスポーティな走りが楽しめる「S」。Nはニュートラルで、エンジンをかけるとまずNに入る。

DCTのモード切り替えは右手親指で行なう。ドライブモードの「D」と低いギアでスポーティな走りが楽しめる「S」。Nはニュートラルで、エンジンをかけるとまずNに入る。

画像: トラクションコントロールを搭載。介入度は2段階でカットも可能。グリップヒーターも標準装備。「+」と「-」のスイッチはギアチェンジを自分で行ないたいときに使う。

トラクションコントロールを搭載。介入度は2段階でカットも可能。グリップヒーターも標準装備。「+」と「-」のスイッチはギアチェンジを自分で行ないたいときに使う。

画像: 大型の液晶メーターには燃費計や気温計、カレンダーまで備わる。メーター下のG-スイッチは、DCTのクラッチ制御をレスポンス重視の特性に切り替えるもので、オフロードで役立つ。

大型の液晶メーターには燃費計や気温計、カレンダーまで備わる。メーター下のG-スイッチは、DCTのクラッチ制御をレスポンス重視の特性に切り替えるもので、オフロードで役立つ。

画像: フロントブレーキはCRF1000Lアフリカツインにも採用されているダブルディスク。タイヤサイズは前17・後15インチ。スポークホイールのチューブレス仕様。

フロントブレーキはCRF1000Lアフリカツインにも採用されているダブルディスク。タイヤサイズは前17・後15インチ。スポークホイールのチューブレス仕様。

画像: パーキングブレーキ。スクーターと同様ギアを入れて駐車できないため、傾斜の付いた場所ではこれを使って止める。こういった細部までデザインのこだわりを感じる。

パーキングブレーキ。スクーターと同様ギアを入れて駐車できないため、傾斜の付いた場所ではこれを使って止める。こういった細部までデザインのこだわりを感じる。

画像: スマートキーを採用しており、キーはポケットに入れているだけでいい。シート下ラゲッジスペースに入れても反応するので、インロックしてしまう心配もなく安心だ。

スマートキーを採用しており、キーはポケットに入れているだけでいい。シート下ラゲッジスペースに入れても反応するので、インロックしてしまう心配もなく安心だ。

画像: シートは跨ると硬く感じるかもしれないが、長時間の走行に最適化されたもの。リアシートからグラブバーまでフラットな形状をしており、シートバッグを積みやすい。

シートは跨ると硬く感じるかもしれないが、長時間の走行に最適化されたもの。リアシートからグラブバーまでフラットな形状をしており、シートバッグを積みやすい。

画像: ラゲッジスペースの容量は21L。キャンプではサイトまで使わないもの (テントや寝袋)を入れるといい。内部にはETC車載器と電源ソケットが標準装備されている。

ラゲッジスペースの容量は21L。キャンプではサイトまで使わないもの (テントや寝袋)を入れるといい。内部にはETC車載器と電源ソケットが標準装備されている。

画像: 標準的なソロキャンプの道具は、シート下の収納+容量40L程度のバッグがあれば余裕で収まるだろう。荷物を分散して入れられるのでパッキングもラクラク。

標準的なソロキャンプの道具は、シート下の収納+容量40L程度のバッグがあれば余裕で収まるだろう。荷物を分散して入れられるのでパッキングもラクラク。

ホンダ「X-ADV」主なスペックと価格

全長×全幅×全高:2230×910×1345㎜
ホイールベース:1580㎜
最低地上高:135㎜
シート高:790㎜
車両重量:238㎏
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
総排気量:745㏄
ボア×ストローク:77.0×80.0㎜
圧縮比:10.7
最高出力:54PS/6250rpm
最大トルク:6.9㎏f・m/4750rpm
燃料タンク容量:13L
変速機形式:電子式6段変速(DCT)
タイヤサイズ(前・後):120/70R17M/C 58H・160/60R15M/C 67H
ブレーキ形式(前・後):ダブルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格:マットビュレットシルバーは税込126万3900円/グランプリレッドとマットアーマードグリーンメタリックは税込129万6900円

ホンダ「ADV150」車両解説

画像: ホンダ「ADV150」車両解説

ゆったり乗れて旅でも快適

発売と同時に年間販売計画台数を大きく上回り、早くも大ヒットとなっているADV150。エンジンは水冷単気筒149ccで、完全なオートマ車だ。最高速が気になり時速120kmの高速道路で試したところ、時速115kmでリミッターが働いた。それでも、時速110kmくらいまでの加速はスムーズで巡航する分には何の問題もない。燃費は、高速&一般道を半々程度で約250km走り、約37km/Lと、非常に経済的。

共有部品の多いPCX150との大きな違いは、サスペンション。フロントはクラス最長の130mm、リアは120mmのストローク量を確保し、リザーバータンクまで備わっている。ただ、荒れたダートをガンガン走れるというわけではなく、あくまでも軽い未舗装路を想定した仕様だ。

ハンドルの切れ角が大きく小回りも得意で、Uターンもラクラク。特筆すべきは、ポジションの快適さ。身長175cmの僕の場合、窮屈感はまるでなく、ハンドルの位置もフットボードの距離感もジャストフィットと思えるものだった。

収納スペースはX‐ADV以上の容量を誇り、さらにリアシートへの積載もしやすい。そして電源ソケットを標準搭載するなど、キャンプに役立つ装備が満載されている。

画像: PCX150をベースとした力強さと燃費性能を両立したePSエンジン。エンジンの吸排気系チューニングによって低中回転トルク上げているとのことで、PCXよりも加速感が強い。

PCX150をベースとした力強さと燃費性能を両立したePSエンジン。エンジンの吸排気系チューニングによって低中回転トルク上げているとのことで、PCXよりも加速感が強い。

画像: 乗車時のミッション車に乗っているような感覚は、このアドベンチャーバイクのような幅広のバーハンドルによるものが大きい。ハンドルが驚くほど切れ、小回りもラクラク。

乗車時のミッション車に乗っているような感覚は、このアドベンチャーバイクのような幅広のバーハンドルによるものが大きい。ハンドルが驚くほど切れ、小回りもラクラク。

画像: ブレーキは前後シングルのウェーブディスクを採用。フロントのみABSを搭載している。タイヤは専用デザインのブロックパターンで、サイズは前14・後13インチ。

ブレーキは前後シングルのウェーブディスクを採用。フロントのみABSを搭載している。タイヤは専用デザインのブロックパターンで、サイズは前14・後13インチ。

2人乗りや荒れた路面での走行も想定されたサスペンションは、リザーバータンク付きのしっかりしたもの。これにより未舗装路走行だけでなく、高速巡航も快適になる。

画像: 反転液晶の多機能メーターを採用。瞬間燃費や平均燃費、バッテリー電圧、気温、日付などまで表示する。撮影時の平均燃費表示は155㎞走り41.5㎞/L。リッター40㎞越えも可能なのだ。

反転液晶の多機能メーターを採用。瞬間燃費や平均燃費、バッテリー電圧、気温、日付などまで表示する。撮影時の平均燃費表示は155㎞走り41.5㎞/L。リッター40㎞越えも可能なのだ。

画像: X-ADVと同様にスマートキーを採用している。キーの上のボタンを押すとウインカーが点滅し、自車の位置が分かるアンサーバック機能も搭載。

X-ADVと同様にスマートキーを採用している。キーの上のボタンを押すとウインカーが点滅し、自車の位置が分かるアンサーバック機能も搭載。

画像: 便利なフロントインナーボックスは左手側に備わっている。しかもこの中に電源ソケットを標準装備。スマホの充電ができるのは、キャンプツーリングでもありがたい!

便利なフロントインナーボックスは左手側に備わっている。しかもこの中に電源ソケットを標準装備。スマホの充電ができるのは、キャンプツーリングでもありがたい!

画像: シートは硬め。だがやはり、長時間乗っていると快適に思えるもの。X-ADVと同じく、グラブバーとリアシートがツライチになっており、シートバッグを積載しやすい。

シートは硬め。だがやはり、長時間乗っていると快適に思えるもの。X-ADVと同じく、グラブバーとリアシートがツライチになっており、シートバッグを積載しやすい。

画像: ラゲッジスペースの容量はX-ADVを上回る27L。テントのポールなど長物を入れやすい形状をしているのが魅力。ヘルメット+αで荷物が入るので普段の買い物でも大活躍。

ラゲッジスペースの容量はX-ADVを上回る27L。テントのポールなど長物を入れやすい形状をしているのが魅力。ヘルメット+αで荷物が入るので普段の買い物でも大活躍。

ホンダ「ADV150」主なスペックと価格

全長×全幅×全高:1960×760×1150㎜
ホイールベース:1325㎜
最低地上高:165㎜
シート高:795㎜
車両重量:134㎏
エンジン形式:水冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量:149㏄
ボア×ストローク:57.3×57.9㎜
圧縮比:10.6
最高出力:15PS/8500rpm
最大トルク:1.4㎏f・m/6500rpm
燃料タンク容量:8L
変速機形式:無段変速式(Vマチック)
タイヤサイズ(前・後):110/80-14M/C 53P・130/70-13M/C 57P
ブレーキ形式(前・後):シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格:45万1000円

文:西野鉄兵/モデル:葉月美優/写真:松川 忍

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