先月、急に思いついてスタートした「webオートバイ」オリジナル企画。
オートバイ編集部のパイセン・中村浩史と、コーハイ西野てっぺーが、なんか疑問を解消するのにひとまずバイク乗ってどっか遊びに行っちゃおうというツーリングです。
「ねぇ、パイセン」
てっぺーが言う。パイセンてのは「先輩」をひっくり返した言葉なんだけど、どーも「先輩」に込めるべきリスペクトのニュアンスが足りねぇなぁ、このやろ。
「そろそろまた行きましょうよ、パイセンツーリング」
――い、いつそんな名前ついたんだよ(笑)。
 
(※以下、会話文の「」部はコーハイてっぺー、――部はパイセン中村のパートです)
文:中村浩史/写真:伊勢 悟

軽二輪クラスに「150」と「250」をラインアップ。2台のジクサーの狙いとは?

――今回はなに乗ってくんだ?

「ジクサー乗りましょう。ぼく気になって気になって」

――おぉ、いいね。ジクサーはいいぞ。250ccクラスのライバルの中でも、ジクサーだけオリジナルの方向むいているバイクだ。

「でしょ。乗り比べしたいっす」

――うーん、比較はなぁ……。CBRとかニンジャと比べちゃうと、そこんとこが『オリジナルの方向』なんだよな。比べるべき対象じゃないんだよな。

「いや、CBRとかニンジャとは比べないっす。ジクサー150と250で行きましょう」

画像: SUZUKI ジクサー150 総排気量:154cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 発売日:2020年3月4日 メーカー希望小売価格:税込35万2000円

SUZUKI ジクサー150

総排気量:154cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
発売日:2020年3月4日
メーカー希望小売価格:税込35万2000円

画像: SUZUKI ジクサー250 総排気量:249cc エンジン形式:油冷4ストSOHC4バルブ単気筒 発売日:2020年6月17日 メーカー希望小売価格:税込44万8800円

SUZUKI ジクサー250

総排気量:249cc
エンジン形式:油冷4ストSOHC4バルブ単気筒
発売日:2020年6月17日
メーカー希望小売価格:税込44万8800円

コーハイの狙いはなかなかの直球だ。154ccと249cc、1.5倍以上の排気量差があるとはいえ、どっちも軽二輪、ピンクナンバーじゃないし、車検もない、いわば同じ250ccクラス。なんでわざわざ同じようなクラスにモデルを投入するんだろう、って疑問がスタートみたいだ。

「あれですかね、KTMでいうDUKE200とDUKE250ですよね」

――お、それは分かりやすいな。同じ免許枠、近い排気量カテゴリーにいるんだけど、わざわざ別のモデルをラインアップする、って点では似てるかもな。

同じ免許枠、近い排気量カテゴリーに違うモデルを投入するっていうのは、日本のオートバイ史でもなかなか珍しいこと。今まで何があったっけ、スズキだと大型免許枠にGS550と750とか、GT550と750とか、200と250のΓとか、200と250のDJEBELなんてのがあったけれど、そもそも125ccの次は250ccで、150ccや200ccってモデルがなかなか定着していない。

その意味では国内発売していないモデルを入れると、これまたスズキが125と150のGSX-Rをラインアップしていたっけ。でもそれは、125ccだけ小型免許で乗れるから、同じ免許枠ではないかぁ。

用意された2台を前に、パイセンちょっと困惑。この2台、お、同じじゃないか……?

画像1: 手前がジクサー250。奥がジクサー150。

手前がジクサー250。奥がジクサー150。

画像: 手前がジクサー150。奥がジクサー250。

手前がジクサー150。奥がジクサー250。

「いや、あちこち細かいところが違います。センタースタンド、アンダーカウル、オイルクーラーの有無、ディスクローター径とかマフラー出口のデザインも違いますよ」

画像: 左がジクサー250。右がジクサー150。マフラーエンドに注目!

左がジクサー250。右がジクサー150。マフラーエンドに注目!

――ホントだ。ホイールも250の方がゴージャスだな。ミッションも250だけ6速なんだよな。パワーも倍近いからフレームだって強化されてて、重量も250の方が15kg重い。

画像: 左がジクサー250。右がジクサー150。フロントブレーキディスクの直径は250が300mm、150が266mm。どちらもABS搭載(ジクサー150はフロントのみABS搭載)。

左がジクサー250。右がジクサー150。フロントブレーキディスクの直径は250が300mm、150が266mm。どちらもABS搭載(ジクサー150はフロントのみABS搭載)。

ジクサーはまず、2017年1月に150ccが登場。インド(スズキモーターサイクルインディア社)生産モデルで、現地で13ものバイクアワードを受賞した、という触れ込みでのデビューだった。

もちろん、海外生産ってこともあって。日本ではデビュー当初、少し引いた目で見られていたけれど、125ccにはないパワフルさ、250ccにはないコンパクトさが評価され、徐々に徐々に販売台数を伸ばしてきた。
日本での販売累計台数も、今では3000台を突破。押しも押されもせぬ人気モデルだ。

画像2: 手前がジクサー250。奥がジクサー150。

手前がジクサー250。奥がジクサー150。

250ccは、2020年のニューモデル。カウル付きジクサーSF250が4月に、ネイキッドのジクサー250が6月に発売開始となった。150と250は、基本的に同じ車体に排気量の違うエンジンを積むバリエーションモデルで、250には新設計の「スズキ伝統」の油冷エンジンが搭載されているのだ。

画像: 左がジクサー250。油冷4ストSOHC4バルブ単気筒 249cc 最高出力:26PS/9000rpm 最大トルク:2.2kgf・m/7300rpm 右がジクサー150。空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 154cc 最高出力:14PS/8000rpm 最大トルク:1.4kgf・m/6000rpm

左がジクサー250。油冷4ストSOHC4バルブ単気筒 249cc
最高出力:26PS/9000rpm 最大トルク:2.2kgf・m/7300rpm

右がジクサー150。空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 154cc
最高出力:14PS/8000rpm 最大トルク:1.4kgf・m/6000rpm

「油冷ってのも新しいですよね」

――ばかもん。油冷エンジンってのは由緒正しきスズキのオリジナルな技術で、水冷エンジンが当たり前になりつつあった1985年に実用化して、イッキにスーパースポーツトップの座に上り詰めたんだぞ。あれから35年てことになるなぁ。

「85年すか! ぼく86年生まれです」

――うぐぐぐぐ……。なんたるジェネレーションギャップ……。

「そういうスゴいエンジンなんですね」

画像: ジクサーSF250、ジクサー250に搭載されている油冷エンジンの仕組みはこちらの動画で! GIXXER SF 250 Technical Presentation Video | Suzuki www.youtube.com

ジクサーSF250、ジクサー250に搭載されている油冷エンジンの仕組みはこちらの動画で!
GIXXER SF 250 Technical Presentation Video | Suzuki

www.youtube.com

――いや、35年前の油冷エンジンって言うのは、確かに性能最重視で生まれた技術だったんだけど、その後にもいろんなエンジンに油冷技術が使われて、決して高性能ばっかりを狙わない、スタンダードな技術になったんだ。4気筒だけじゃなくて、250ccクラスの単気筒なんかにも使われたんだぞ。NZ250っていう、あれはいいバイクだったなぁ。

「それでオイルクーラーがついてるんですね。って、僕のトライアンフ・ボンネビルにもオイルクーラーついてるってことは……僕のも油冷なの?」

――ちがうわ! 油冷って言うのは、基本的に空冷で、オイルを冷却媒体にしているのは普通の空冷も油冷も同じなの。油冷は、ピストンジェットとか冷却経路も専用に設定して『積極的に』オイルでエンジンを冷やしてるエンジンのことなんだよ。

画像: ジクサー250のエンジン。電動冷却ファンを装備したオイルクーラーが見て取れる。

ジクサー250のエンジン。電動冷却ファンを装備したオイルクーラーが見て取れる。

ジクサー150は、2017年に初期型がデビューして、20年3月にマイナーチェンジした2型が登場した。この2型も出足好調で、125にはないパワー、250にはない気軽さがウケている。そこに250が追加された、というわけなのだ。

<後編につづく>

文:中村浩史/写真:伊勢 悟

画像: 次回は走り心地の違いを中心に2台を比較検証!

次回は走り心地の違いを中心に2台を比較検証!

スズキ「ジクサー150」主なスペックと価格

全長×全幅×全高2020×800×1035mm
ホイールベース1335mm
最低地上高160mm
シート高795mm
車両重量139kg
エンジン形式空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
総排気量154cc
ボア×ストローク56.0×62.9mm
圧縮比9.8
最高出力10kW(14PS)/8000rpm
最大トルク14N・m(1.4kgf・m)/6000rpm
燃料タンク容量12L
変速機形式5速リターン
キャスター角24゜50’
トレール量100mm
タイヤサイズ(前・後)100/80-17M/C 52S・140/60R17M/C 63H
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格35万2000円(税込)

スズキ「ジクサー250」主なスペックと価格

全長×全幅×全高2010×805×1035mm
ホイールベース1345mm
最低地上高165mm
シート高800mm
車両重量154kg
エンジン形式油冷4ストSOHC4バルブ単気筒
総排気量249cc
ボア×ストローク76.0×54.9mm
圧縮比10.7
最高出力19kW(26PS)/9000rpm
最大トルク22N・m(2.2kgf・m)/7300rpm
燃料タンク容量12L
変速機形式6速リターン
キャスター角24゜20’
トレール量96mm
タイヤサイズ(前・後)110/70R17M/C 54H / 150/60R17M/C 66H
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格44万8800円(税込)

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