2018年に17年ぶりとなるフルモデルチェンジを遂げたホンダの「ゴールドウイング」シリーズ。ホンダが誇るラグジュアリープレミアムツアラーの実力を徹底紹介する!

※この記事は、月刊『オートバイ』2018年6月号で掲載したものを一部加筆・修正しています。

ホンダ「ゴールドウイング ツアー」解説&試乗インプレ(宮崎敬一郎) 

巨体が嘘のように「化ける」軽快な走りと抜群の快適性

画像: Honda Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission ※写真は2018年モデル、2020年モデルでは一部仕様・設定が変更されています。

Honda Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission

※写真は2018年モデル、2020年モデルでは一部仕様・設定が変更されています。

たぶん、ゴールドウィングというバイクは誤解されている。巨大で、そのマスが生み出す重厚さで、優雅なツーリングに特化した鈍重なバイク……と思われていることだろう。

大きくハズしてはいないが、ゴールドウイングだって「大きい」「鈍重」というイメージに甘んじてきたわけではない。前モデルが2001年に登場したとき、機動性の「枷」となる巨大なサイズや重量を改善。

ハンドリング特性を根本的に改善するため、ツアラーとしては革命的なアルミツインチューブフレームを導入。ツーリングスポーツたちが侮れないほどのスポーツ性を手に入れた。自分でも走るまで思いもよらなかったが、巨大なバイクが峠で普通のバイクに「化けた」のだ。

画像1: ホンダ「ゴールドウイング ツアー」解説&試乗インプレ(宮崎敬一郎)

前モデルを念入りに紹介したのにはワケがある。2018年の新型ゴールドウィングは、その前モデル以上に普通のバイクに「化けられる」のだ。峠道では優秀なツーリングスポーツに変身し、快適さはサルーンカーのように上質。これをいきなりコトバで伝えても、単に詐欺師だと思われるだけ。だから、ゴールドウィングの「素顔」を紹介したのだ。

新型のシャシーはフロントサスが前向きに配置されたWウィッシュボーンというのが特徴。これは重いが、頑丈で接地性はフォークタイプの比でなく優秀。逆にリアのスイングアームは柔軟な片持ち式だ。

画像2: ホンダ「ゴールドウイング ツアー」解説&試乗インプレ(宮崎敬一郎)

開発陣は念入りにこの難しい剛性バランスを整えた。結果、前モデルより強い衝撃に耐え、しっとりとした独特の節度とともに軽快に身を翻すようになったのだ。

遠隔操作できるショックのアジャストも設定幅が広い。様々な走行条件に即座にフィットできるが、基本的な作動フィールはオフ車のようなしなやかさ。快適この上ない。

今回試乗したのはDCTの7速モデル。ATモードとシフトボタンを使った任意シフトをシンクロさせれば、マニュアルよりアグレッシブな走りも可能だ。ただ、一度これを覚えると、後戻りができないほどの甘美な堕落ライディングへ誘い込まれる。

画像3: ホンダ「ゴールドウイング ツアー」解説&試乗インプレ(宮崎敬一郎)

エンジンは低中回転域でのパワー特性にメリットが多いユニカムのフラット6。振動もなく、四輪車なみの粘りと、吠えるような咆哮とともに爆発的な瞬発力を発揮する。このエンジンやサス、ABSにトルクコントロールをパッケージで切り替えられるライディングモードには4種類の走行モードがあるが、多用したのは「ツアー」モードだった。

「レイン」や「エコ」モードだと、スロットルレスポンスは鉛のようにダラリとしてしまう。トルクコントロールもしょっちゅう作動するから、よほど滑るとき以外は使わなくていい。「スポーツ」だと瞬発力がダイレクト過ぎ、SS気分でスロットルを操作しないとならない。

これはここ一番、のときに使うべき。気楽な走りのサポートとは少し違う演出だ。だから「ツアー」を常用していた。

試乗の舞台となったのは静岡県・日本平周辺。路面が凸凹したクイックな峠道から高速コーナー、高速道路も「ツアー」のまま。この手のバイクにしては深めの許容バンク角があって峠道は過度に慎重にならなくていい。

画像4: ホンダ「ゴールドウイング ツアー」解説&試乗インプレ(宮崎敬一郎)

エンジンブレーキも強力で、この車格を下りコーナーでワンパクに走らせても、ブレーキの制動タッチが変わらない。旧型にはなかったタフさがある。

ライバルはBMWのK1600あたりだろう。キャラも似ているが、ゴールドウイングの方が価格がまだ手頃。グランドツアラーの居住性と、普通のバイクに「化ける」変身能力のすばらしさは一級品。とにかく扱いやすい。

この種のバイクの説明に使うとは思わなかったが、コストパフォーマンスも光る、豪華で元気なツアラーなのだ。

文:宮崎敬一郎/写真:南 孝幸

画像5: ホンダ「ゴールドウイング ツアー」解説&試乗インプレ(宮崎敬一郎)

ホンダ「ゴールドウイング」シリーズ 2020年モデルの価格

Gold Wingメーカー希望小売価格(税込)
マットバリスティックブラックメタリック 【新採用】2,787,400円
マットマジェスティックシルバーメタリック2,787,400円
Gold Wing Dual Clutch Transmissionメーカー希望小売価格(税込)
マットバリスティックブラックメタリック 【新採用】2,930,400円
マットマジェスティックシルバーメタリック2,930,400円
Gold Wing Tourメーカー希望小売価格(税込)
パールグレアホワイト(ストライプ) 【新採用】3,018,400円
ダークネスブラックメタリック3,018,400円
キャンディーアーダントレッド3,018,400円
パールグレアホワイト3,018,400円
Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission <AIRBAG>メーカー希望小売価格(税込)
パールグレアホワイト(ストライプ) 【新採用】3,381,400円
ダークネスブラックメタリック(ツートーン) 【新採用】3,381,400円
キャンディーアーダントレッド(ツートーン)3,381,400円
パールグレアホワイト3,381,400円

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