YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

画像1: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

YDS-2 1962〜1964

画像: YDS-2 1962〜1964 写真のレッド/ホワイトのカラーリングは、ヤマハカラーを象徴したオリジナルで、レッド部分は本来は本来の日本向けではメタリックブルーかグリーンが出回っており、少数だが、ブラックもあった。

YDS-2 1962〜1964
写真のレッド/ホワイトのカラーリングは、ヤマハカラーを象徴したオリジナルで、レッド部分は本来は本来の日本向けではメタリックブルーかグリーンが出回っており、少数だが、ブラックもあった。

YDS-1の弱点を補う意味で、各部がリファインされたのがYDS2である。全体のイメージは変えず、ブレーキ系やエンジンに手を加えることによって、他社のスーパースポーツをリードするまでになった。

ヨーロッパでの人気も高く、S3のデビュー後も、そのシンプルなデザインが好まれていた。ちなみに、車重は装備でS1=151kg、S2=156kgとされたが、海外のデータによると、両者とも乾燥で140kgという数値もあり、実質的に車重は同一とみてよいだろう。

加えて、ロードクリアランスも、国内では、S1=140mm、S2=130mmであったが、輸出仕様ではともに130mmと発表された。ホイールベースも同様で1290mmとなっている。

画像2: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

非常に美しくレストアされているのがわかるステアリングビュー。一見S1と同じようだが、メーターリム下に防振ゴムが厚く敷かれている。メーターのグラフィックを変更、放射状のデザインとなった数字のために、若干読みづらくなっている。

ただ初期生産車に関しては、S1と同じメーターが用いられた。ヘッドランプハウジングのインジケーターランプはチャージ用で、充電されると消える。

反対側にはメインスイッチがあり、①停止②昼間走行③夜間走行④バッテリー上がり時の応急始動⑤夜間パーキングとなっている。ただし、応急始動といっても、3速で押しがけするもので、ジェネレーターが充電開始する1600rpm=15km/hでクラッチミートしなければならない。タンクキャップ近くの袋ナットはブリーザーである。タンクには音叉マークがつけられている。

画像3: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

アルミシリンダー風の塗装が功を奏して、なかなかの質感を醸し出している。シート下のツールボックスはS1と互換性がありそうだが、プレスの型も異なり、ドンピシャリとはつかないとメーカーが公言した、いわく付きのものである。

スペースも広くタイヤレバー付の29mmスパナ、23/19と16/14mmボックス、+ (た)ドライバー、プライヤー、そしてグリースガンが収納される。タンク下にはエアポンプもある。つまり、工具は13点!

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TD-1のイメージを持つエンジンは、S2に至って大幅な変更を受けている。クランクケース、クランク、シリンダー、シリンダーヘッドが見直され、一次圧縮比が増大、ポートタイミングも変わり始動性が向上している。

国内仕様は、23ps/7000rpmだが、輸出仕様では、より高い出力を求め、φ20mmキャブで25ps/7500rpmを発揮するという。だが、S2の最大の変更点は、左クランク側のクラッチである。

高回転におけるトルクアップを狙ったS1の亜鉛ダイキャストハウジング(フライホイール効果は高いが、吹けが悪い)が、より軽量なアルミダイキャスト製になっている。また、レーシングキットパーツはS1を利用するが、シリンダーやヘッドは異なるものもある。

メーカーによれば、VM 24HからM276にしてレーシングキットを組むと30psをマークするという。電装系はS1と同一と考えてよい。

画像5: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

S2では、キャブレターのマニホールドが姿を消した。ヤマハがピストンバルブのエンジンの中に大きな自信を持った証拠といえよう。キャブは、S1と同じVM20 SH、#80メインジェット。

このS1タイプのエアクリーナーは初期の一文字ハンドル仕様のものだ。後期型のTD-1型エアクリーナー+アップハンドル使用には、スターター付きのVM22SC大口径キャブを装着したモデルも出荷された。

画像6: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

バッテリーは、6V7.5AのGS、MZ3-6Aタイプで、YM1まで同じサイズ。クランクケース後端にあるボルトはミッションオイル注入孔。3000キロ毎の交換で、オイルは#20W-40を1~1.1ℓ入れる。

こうしてみるとS1よりも全てが上手に収められているようだが、メンテナンス性は多少落ちているかもしれない。YDS系には多くのグリスニップルがあるが、注入は3000km毎でよく、メーターケーブルは6000km毎である。

画像7: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

チェーンケースの取り付けがスイングアームになり、落ち着いた雰囲気になるのもS2以降の特徴。スタイリング優先よりもチェーンオイル飛散を防ぐ、実用的な変更だ。

リアブレーキはφ200mmと体系化された。2次減速比は2.438で、ドリブンスプロケットは初期化されている。この車は、オーナーの好みによって、アルミリムに換装されている。ちなみに、装着タイヤはミシュランM38Sで、フロントが2.75S18、リアが3.00 S18。

S3は前後ともコンチネンタルで、フロントがRB2の3.00S18、リアがKI12の3.25S28。S1は、フロントがコンチネンタルRB2 3.00 S18、リアはダンロップK703.25-18 4PR。

画像8: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

車体の造作はS1と同じであるが、クランクケース及びカバー類が別物となっているのがわかるだろうか。チェーンケース部の関連、ワイヤ、ハーネス類にも差異が見られる。

画像9: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

フロントブレーキは、YA5やYD3で立証済みの防水式φ200mm大口径ドラムになったが、これはアッセンブリーでそっくりS1にも装着できる。

ヤマハによれば、2リーディングの採用によって制動力はS1の1.5~2倍になったという。ホイールベアリングも2重にシールされ、耐久性も向上している。防水の手法はドラムとプレートに2重の溝を設け、プレートの排水孔から水を外に出すもの。

プレート最下部の突起部分がその排水孔である。また、スピードメーターユニットもフローティングタイプである。ヤマハのS2以降のメカニズムは、ホスク、クルーザーの昌和製作所スタッフの参入で、大きく飛躍したのである。

画像10: YDS-1の弱点をない、各部がリファインされた「YDS-2」

リアブレーキのワイヤーエンドの割りピン、チェーン引きのワイヤーロックに、オーナーの想いが込められている。タイヤのエア圧は、1人乗りで前1.5、後ろ2.0kg/平方センチメートル、2人乗りでは後ろ32.3kg/平方センチメートルとなる。

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