ツインスパーに並列2気筒を積むレースを視野に入れたフルカウルスポーツ

画像1: ツインスパーに並列2気筒を積むレースを視野に入れたフルカウルスポーツ

KR250/KR250Sは本格的なスポーツモデルだったが、年を重ねるごとにこのクラスの性能競争は過熱し、後塵をあびることになり競争力は低下した。その状況を打開するために1988年1月に登場したのがKR-1だ。

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フルカウルにツインスパーというレーサーレプリカに求められる条件をクリアした結果、KR250とは大きく異なる姿を得た。並列2気筒のエンジンも専用品で、レース対応のキットパーツも用意された。

画像3: ツインスパーに並列2気筒を積むレースを視野に入れたフルカウルスポーツ
画像4: ツインスパーに並列2気筒を積むレースを視野に入れたフルカウルスポーツ

KR-1(KR250B)

画像: KR-1(KR250B) 1988年1月5日発売 56万3000円(3%税込)

KR-1(KR250B)
1988年1月5日発売 56万3000円(3%税込)

全長/幅/高:2005/690/1115mm
シート高:750mm
車軸距離:3165mm
車体重量:123kg(乾)
燃料容量:16.0L
エンジン:水冷2サイクル2気筒
総排気量:249cc
最高出力:45ps/10000rpm
最高トルク:3.7kg-m/8000rpm
変速機:常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ:前100/70R17(48H) 後130/60R18(60H)
スプロケ:前14|後41
チェーンサイズ:520|リンク98
発売当時車体価格:55万9000円(税別)

塗色は、ファイヤークラッカーレッド×ポーラホワイトとポーラホワイト×ライムグリーンの2種で、17/18インチの前後輪を外装に合わせて塗り分ける。

56万3000円の価格は、90度Vツインを積んで登場した初代RGV250Гや初モデルチェンジを実施したNSR250の56万9000円より6000円安く、細部を見直し熟成したTZR250の55万9000円より4000円高かった。全長/全幅/全高:2005/690/1115㎜、軸距/シート高:1365/750㎜を公称。

カタログ記載の乾燥重量は、NSR250の127㎏より4㎏、TZR250の126㎏より3㎏、RGV250Гの128㎏より5㎏軽量な123㎏だった。前後タイヤはラジアルで、F:100/70R17、R:130/60R18を標準に指定。

フロントブレーキは、φ280㎜フローティングディスク+ピンスライド片押し式2ピストンキャリパーの構成。

リアは、φ210㎜ソリッドディスクにフロントと同形式のキャリパーをフローティングマウントで組み合わせる。

インナーチューブがφ41㎜と極太な正立式フロントフォークはプリロード可変、リアショックはプリロード無段階、伸び側減衰力を4段階に調整できる。燃料タンクは16ℓ容量、シートカウル下側に荷かけフックを装備する。

KR-1(KR250B)1988

画像: KR-1(KR250B)1988

KR-1(KR250B)1988

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シリンダーを50度前傾させて搭載する水冷2サイクル並列2気筒はクランクケースリードバルブで、56×50.6㎜のボア×ストロークから249.3㏄を得る。

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クランク前方にバランサーを配して過大な振動を軽減。6段ミッションはカセット式だ。5.5ℓと大容量なエアボックスからPWK28キャブ、カーボン製リードバルブまでを直線的に配して吸入効率を向上。

2サイクルオフロード車で多用した排気バルブ、KIPS:カワサキインテグレーテッドパワーバルブシステムをオンロード車で初採用。低回転域の扱いやすさと高回転域での力強さを両立。

最高出力:45ps/10000rpm、最大トルク:3.7㎏-m/8000rpmを発揮した。

画像: メーターは、左から速度、回転、水温の3連式で、右下に各種警告灯を並べる。アルミ製セパレートハンドルを三ツ叉の下に固定。

メーターは、左から速度、回転、水温の3連式で、右下に各種警告灯を並べる。アルミ製セパレートハンドルを三ツ叉の下に固定。

画像: e-BOXと命名されたアルミツインスパーフレームは、ヘッドパイプとピボットプレートが鋳造製、左右レールに120×30㎜の角断面押し出し材を使用。スイングアームの左右レールも押し出し材で、サイズは80×35㎜だ。

e-BOXと命名されたアルミツインスパーフレームは、ヘッドパイプとピボットプレートが鋳造製、左右レールに120×30㎜の角断面押し出し材を使用。スイングアームの左右レールも押し出し材で、サイズは80×35㎜だ。

画像: デビュー時の試乗会で展示されたF3レース仕様で、多くのキットパーツを用意し、レースに出たいというユーザーの夢を後押しした。

デビュー時の試乗会で展示されたF3レース仕様で、多くのキットパーツを用意し、レースに出たいというユーザーの夢を後押しした。

メインボアを拡大したキャブレタークロスミッションや強化クラッチを持つR

KR-1R(KR250C)1989

画像: KR-1R(KR250C)1989 1989年4月10日発売 59万9000円+消費税3%

KR-1R(KR250C)1989
1989年4月10日発売 59万9000円+消費税3%

前後ホイールを5本スポークとし、4ピストンキャリパーをフロントに装備

KR-1S(KR250C)1989

画像: KR-1S(KR250C)1989 1989年4月10日発売 55万9000円+消費税3%

KR-1S(KR250C)1989
1989年4月10日発売 55万9000円+消費税3%

デビューから1年後に前後足まわりを主体とした改良を実施し、車名を改めて登場

画像1: デビューから1年後に前後足まわりを主体とした改良を実施し、車名を改めて登場

KR-1の登場から1年3カ月が経過した1989年4月、カワサキ250㏄レーサーレプリカは車名を改めて登場。標準仕様はKR-1S、新たに用意されたスポーツプロダクション仕様はKR-1Rを名乗った。

画像2: デビューから1年後に前後足まわりを主体とした改良を実施し、車名を改めて登場

KR-1との相違点は前後足まわりに多く見られ、ホイールは5本スポークに変化、リアタイヤをワンサイズ太くしている。フロントブレーキはフローティングディスクを20㎜大径化、キャリパーを対向式4ピストンに置き換えるなどで制動力を強化。乾燥重量は8㎏増の131㎏となった。

画像3: デビューから1年後に前後足まわりを主体とした改良を実施し、車名を改めて登場

標準モデルとの相違点は、クロスミッションや強化スプリングを組み込んだクラッチ、ケーヒン製キャブレターをPWK28からPWK35に変更している点。

画像4: デビューから1年後に前後足まわりを主体とした改良を実施し、車名を改めて登場

諸元上の相違点は6段ミッションの変速比(S/Rの順で、①2.533/2.357 ②1.727/1.700 ③1.315/1.409 ④1.086/1.208 ⑤0.962/1.120 ⑥0.862/1.043)と2次減速比(2.928/2.666)で、131㎏の乾燥重量やKS-1から微妙に変化した車体関連の諸寸法などはSと同じ。

画像5: デビューから1年後に前後足まわりを主体とした改良を実施し、車名を改めて登場

標準モデルのKS-1Sは、エボニー×メタリックゼウスブルーと、KS-1Rと共通のエボニー×ライムグリーン(左)の2カラーを用意。SとRの外観の相違点は燃料タンク側面の車名ロゴのみだ。

2005㎜の全長を維持するが、全幅は695→690㎜、全高は1105→1115㎜に変化。ホイールベースは+5㎜の1370㎜に伸ばされ、24度のキャスターはそのままにトレールを93→90㎜に短縮している。

前後ホイールは3→5本スポークに換装され、フロントは2.75×17の寸法を変えずにタイヤを100/70→110/70にワンサイズ拡大。リアも3.50×18はそのままに130/60→140/60と太くしている。

画像: カタログはKS-1SとKS-1Rをまとめて紹介しており、全6ページだが車両の右斜め後ろを大きく掲載したページを省略。左上に大きく掲載したページには多くの部分写真が並ぶ。

カタログはKS-1SとKS-1Rをまとめて紹介しており、全6ページだが車両の右斜め後ろを大きく掲載したページを省略。左上に大きく掲載したページには多くの部分写真が並ぶ。

φ210㎜ソリッドディスク+片押し式2ピストンキャリパーのリアブレーキを従来モデルから継承するが、フロントはフローティングディスクをφ280→300㎜に外径を大きくし、キャリパーを片押し式2ピストンから対向式異型4ピストンに置き換えて制動力を高めている。

また、リアショックユニットはリザーバータンクをホースで連結する構造にグレードアップされた。

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