画像1: RZシリーズ Part.2「RZ250R/RR」市販モデル初の可変排気バルブ「YPVS」を搭載したRZの最終形態 -1983〜1988年-【心に残る日本のバイク遺産】2サイクル250cc史 編

RZ250の系譜で最終型となる第5世代は、1988年7月に写真の赤×白と青×白を発売。この2台の機種コードNo.は3HM1だが、同年8月に追加されたヤマハブラックでは3HM2と異なる。

RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

RZ250R(3HM1)1988年

画像1: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

エンジン形式:水冷2サイクル並列2気筒ピストンリードバルブ
総排気量:247cc
点火方式:デジタル進角C.D.I
キャブレター:VM26SS
始動方式:キック式
ミッション:6段リターン
全長/全幅/全高:2070/665/1065mm
タイヤ前:100/80-17(52H)
タイヤ後:120/80-17(61H)
ブレーキ前:油圧式Wディスク
ブレーキ後:油圧式シングルディスク
乾燥重量:136Kg
パワーウエイトレシオ:3.02kg/ps
低地燃費:42km/litter (50km/h)
発売当時価格:38万4000円

先代となる1XGとの違いは、前後輪を中空3本スポークの17インチに変更、点火機構をデジタル進角式CDIを採用。アルミ製セパレートハンドルの製法を鋳造から鍛造に、フロントのブレーキディスクをフローティングに改めるなどである。

画像2: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

軸距は初期型より30㎜長い1385㎜で、全長/全幅/全高の2070/665/1065㎜のは、10㎜短く、75㎜狭く、20㎜低い。乾燥重量は-3㎏の136㎏を公称。当時の価格は38万4000円。

画像3: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

第2世代RZ250R/29Lでディスクに換わった。ドライブチェーン調整部は、アクスルが貫通するコの字型のステーを後部のボルトでスライドさせる構造。スイングアームもフレームと同様に鋼管製である。

画像4: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

水冷並列2気筒は、ボア×ストローク:54×54㎜、排気量:247.3㏄は最初期型から不変だが、1983年登場のRZ250R/29LでYPVSを採用、この機構は最終型まで継続された。

画像5: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

シリンダー前方のラジエターは、初代に比べて周囲を覆うカバーが大幅に簡略化されている。パワージェットを備えるφ26㎜強制開閉式キャブは1984年登場の3世代目、51Lから変わらぬ装備だ。

画像6: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

1984年登場のRZ250RR/51Lでハンドルはアルミのセパレートになったが、最終型では鋳造→鍛造に変更。φ35㎜正立式フロントフォークは上端部でプリロードが可変。水温計を右端に置く3連メーターは29Lからの装備だが、細部の造形が変わる。

画像7: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

ダブルシートを取り外したところで、燃料タンクの左後方に見える白いタンクはオイル用だ。収納スペースはほとんどない。

画像8: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

高回転域では高出力、低回転域では高トルクという2種の特性を持たせるのが狙いで、V型4気筒のRZV500RやRZ250に続く2サイクル250㏄スポーツのTZR250シリーズ、トレールモデルのDT200シリーズなど、高性能を求めた多くの2サイクル車に装備されたシステムだ。

画像9: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

新設計の並列2気筒エンジンに、市販モデル初となる可変排気バルブ「YPVS」、電子進角式CDI点火を採用し、クラス最高の43PSと好燃費を実現。YPVSを示すイラストで、左右気筒の排気ポートをまたぐように装着された筒状のパーツ(図で黄色の部分)がバルブ本体となる。

画像10: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

CDIユニットから発せられるエンジン回転数の信号をコントロールユニットが受け、前述したバルブの左端に連結されたワイアをサーボモーターで引いて回転させ、排気タイミングを変化させる。

メインスイッチをオンにするとバルブが全開になり始動性を高めるとともに、その際にカーボンを除去するセルフクリーニング機構も装備された。

画像11: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

チャンバー後端部に別体式サイレンサーを配備。1984年登場のRZ250RR/51Lから継続されており、外観も大きく変わらず。

画像12: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

フロントのブレーキキャリパーは、1984年登場のRZ250RR/51Lで片押し式シングルピストンから対向式2ピストンへと変更、最終型もこれを継承するが、ディスクをφ267㎜ソリッド→φ282㎜フローティングに換装。

画像13: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

リアブレーキは、φ220㎜ソリッドディスク+対向式2ピストンキャリパーの構成を1983年のRZ250R/29Lから受け継ぐが、キャリパーの造形が変化。

画像14: RZシリーズの最終型となった1988年デビューの5世代目「RZ250R(3HM1)」

モノショックを備えるリアサスペンションは、2世代目となるRZ250R/29Lでリンクを追加、ショック本体の配置も変化した。上端部をシート真下のステーに連結、下端部はくの字形のリンク中央に接続される。

リンクの一方はスイングアーム、もう一方はフレームの下部にボルト留めされており、スイングアームが下から押されるとリンクがショックを押し縮めて衝撃を吸収する構造。写真は29Lだが、最終型も基本は同じである。

1984年には大型カウルを身に纏った「RZ250RR」も登場

画像: 1984年には大型カウルを装着する派生モデル「RZ250RR/51L」をリリースするとともに、カウルなしのRZ250Rはフロントフェンダーの造形を見直し、方式も1ARに改められた。

1984年には大型カウルを装着する派生モデル「RZ250RR/51L」をリリースするとともに、カウルなしのRZ250Rはフロントフェンダーの造形を見直し、方式も1ARに改められた。

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