7月最終週の鈴鹿8時間耐久に向け、公式事前テストが始まりました。
今回のテストは6月3~4日の2日間で行なわれ、初日は4メーカー合同テスト、2日目はタイヤメーカーによるテスト。このセッションの間には、特別スポーツ走行の枠もあり、8耐参戦を予定するチームも走ることになります。

この時期のテストは、もちろん鈴鹿8耐に向けたマシンのセットアップを行うのはもちろん、もうひとつの狙いがあります。それが、ライダーのオーディション。
今の段階では、すでに鈴鹿8耐の体制発表を済ませたいくつかのチームを除くと、まだライダーの選択をしている段階のチームもたくさんで、ワークスチームを含め、まだライダー体制を発表していないトップチームもあります。だから、マシンのセットアップと同時に、ライダーのオーディションを進めているチームも多い、というわけです。

画像: 昨年は負傷で本選出場できなかった中須賀克行 今年の大会に燃えているライダーのひとり

昨年は負傷で本選出場できなかった中須賀克行 今年の大会に燃えているライダーのひとり

この鈴鹿8耐テストで注目されたのは、やはりトップチーム、それもTeamHRCの動向。というのも、ここまで鈴鹿8耐4連覇を果たしているヤマハファクトリーレーシング、そして昨年のサプライズだったジョナサン・レイ招聘に続き、今年はワークスチームでの参戦をブチ上げたカワサキレーシングチームがチーム体制を発表したのに対し、まだHRCの体制は発表されていないのです。これは、ヨシムラスズキもしかり、ですね。

テスト初日、TeamHRCのマシンCBR1000RR-Wで走行したのは、全日本選手権で現在ランキングトップを走る高橋 巧と、ホンダMotoGPマシンの開発ライダーであるステファン・ブラドル。2日目にはここにMoto2ライダーの長島哲太が加わりました。
高橋の好調、マシンのポテンシャルアップと同時に、TeamHRCが誰を起用してくるのかに注目が集まっているだけに、まずはここにブラドルと哲太を持って来たか、という感じです。
ブラドルは昨年、この事前テストの段階で負傷して本選出場はならず、秋吉耕佑と組んだ長島は、本選でもいいタイムを出していましたから、高橋+ブラドル+長島というトリオは充分実現しそうなチームです。
さらにHRCには、WSBKを走っているレオン・キャミアと清成龍一という手駒もありますから、イッキにチーム編成の幅が広がった感じ。キャミアと清成は、モリワキホンダからの参戦も可能性があると思います。

画像: 全日本4連勝で鈴鹿8耐に臨む高橋 巧 ペアライダーは誰に?

全日本4連勝で鈴鹿8耐に臨む高橋 巧 ペアライダーは誰に?

画像: MotoGPテストライダーのステファン・ブラドル 昨年は負傷で本選出場できませんでした

MotoGPテストライダーのステファン・ブラドル 昨年は負傷で本選出場できませんでした

画像: MotoGPイタリアGPから帰国、すぐに鈴鹿へやってきた長島哲太 ツナギもMoto2のままです

MotoGPイタリアGPから帰国、すぐに鈴鹿へやってきた長島哲太 ツナギもMoto2のままです

実はこの時期、レプソルホンダのホルヘ・ロレンソが来日している!という情報があったのですが、これはMotoGPマシンに関するミーティングをHRCと行なうのが目的で、残念ながら鈴鹿登場はなし。しかし、この時期にわざわざ日本まで来る必要があるの~?と疑っちゃいますね。ひょっとしてテスト明けに鈴鹿占有でホルヘがCBRで鈴鹿を走ったりして……。いやいや、こんなファンタジーはひとまず置いときましょう。
他のホンダ系チームの情報は、モリワキホンダで出場予定の高橋裕紀に、全日本ロードレース・菅生大会のST600クラスで優勝した小山知良が加入。秋吉の所属するチームMotoUPホンダには、全日本選手権のレギュラー、羽田太河に加えて山口辰也が加入。全日本JSB1000の注目株、水野 涼が所属するハルクプロホンダのテスト参加はありませんでした。

画像: 全日本では開幕2連勝のあと、高橋に4連勝を許した中須賀 「昨年までのマシンの高バランスをいったん崩して2019年鈴鹿8耐仕様のマシンを作っているから、ちょっと全日本で上手くいっていないんです」(中須賀)

全日本では開幕2連勝のあと、高橋に4連勝を許した中須賀 「昨年までのマシンの高バランスをいったん崩して2019年鈴鹿8耐仕様のマシンを作っているから、ちょっと全日本で上手くいっていないんです」(中須賀)

TECH21カラーのYZF-R1での参戦、さらに中須賀克行+アレックス・ロウズ+マイケル・ファン・デル・マークでの出場を発表したヤマハファクトリーレーシングは、2日間のテストの両日とも総合トップタイムをマーク。ただし、ロウズとvd・マークは今週末にWSBKスペイン大会を控えていることもあって不参加で、中須賀と野左根航汰が走行。マシンのセットアップを行なっています。

画像: レイのまわりにはワークスチームKRTのWSBKスタッフたち 今年のカワサキは昨年以上に本気!

レイのまわりにはワークスチームKRTのWSBKスタッフたち 今年のカワサキは昨年以上に本気!

画像: テスト用ツナギで登場のレイ ウィンターテスト用なんでしょう、あちこちに「冬」って感じが…

テスト用ツナギで登場のレイ ウィンターテスト用なんでしょう、あちこちに「冬」って感じが…

画像: 2日目に転倒を喫したハスラム 実はホンダ時代に鈴鹿8耐優勝経験あり

2日目に転倒を喫したハスラム 実はホンダ時代に鈴鹿8耐優勝経験あり

しかし、同じく週末にWSBKヘレス大会を控えているはずのジョナサン・レイとレオン・ハスラムは、カワサキレーシングチームのテストに参加! トリオ3人目のトプラック・ラズガトリオグルは不参加ですが、まずは昨年もチームを組んだレイとハスラムの2人でマシンのシェイクダウン。実は初日にレイが、2日目にハスラムが転んだんですが、大きなダメージはなし。ふたりはすぐにヨーロッパに戻り、WSBKヘレス大会に臨みます。

画像: ヨシムラは2009年以来、加賀山個人としては2007年以来の8耐優勝へ

ヨシムラは2009年以来、加賀山個人としては2007年以来の8耐優勝へ

画像: MotoMapのGSX-Rは、今年はなんとピレリタイヤ!

MotoMapのGSX-Rは、今年はなんとピレリタイヤ!

画像: オレンジのマシンにブルーのツナギはエスパルスドリームレーシング+今野由寛です

オレンジのマシンにブルーのツナギはエスパルスドリームレーシング+今野由寛です

HRCと同じく、いまだライダーラインアップを発表していないヨシムラスズキは、全日本選手権を戦う加賀山就臣と渡辺一樹が走行。ここは、おそらく3人目にスズキMotoGPのテストライダー、シルバン・ギュントーリが加わってのチームとなるでしょう。昨年、ヨシムラからエントリーしたブラッドリ・レイは? 津田拓也は全日本選手権でダンロップタイヤを使用するからヨシムラでの8耐はなし? そんな疑問も、正式発表を待ちましょう。
ほかスズキ系チームは、テスト2日目にエスパルスドリームレーシングピットに、モトマップサプライの今野由寛が登場。あれ?そのモトマップは?というと、こちらは青木宣篤を軸に、もう鈴鹿8耐ですっかりおなじみになったオーストラリアン、ジョシュ・ウォーターズとイギリススーパーバイクのライダー、昨年はモリワキから参戦の予定も負傷で実現しなかったダン・リンフットがトリオを組んで「MotoMap S.W.A.T.」(=Suzuki Waters Aoki Team)として参戦する、との発表がありました。マシンはGSX-R1000R、参戦クラスは昨年同様にSST(スーパーストック)で、タイヤはピレリを使用します。

画像: 山口辰也やテルルMotoUPレーシングへ 秋吉+山口+羽田=落ち着くトリオです

山口辰也やテルルMotoUPレーシングへ 秋吉+山口+羽田=落ち着くトリオです

画像: 全日本はTeamグリーンで走る岩戸亮介はRS-ITOH加入が有力

全日本はTeamグリーンで走る岩戸亮介はRS-ITOH加入が有力

他にも、すでにチーム体制を発表したチームは
■Team桜井ホンダ
マシン:ホンダCBR1000RR-SP2 参戦:EWCクラス
ライダー:伊藤真一/濱原颯道/作本輝介
■Team Baby Face Titanium Power Racing
マシン:ヤマハYZF-R1
ライダー:津田一磨/藤田拓哉
■ARMY♡GIRL Team TJC&MF Kawasaki
マシン:カワサキZX-10RR
ライダー:奥田教介/伊藤和輝/芦名秀美
■TONE RT SYNCEDGE4413 
マシン:BMW S1000RR 参戦:SSTクラス
星野知也/渥美 心/石塚 健

鈴鹿8耐への出場をかけた「トライアウト」の最後の機会である鈴鹿サンデーロードレースが6月8~9日に予定されているため、ここで本選出場可能なチームが確定し、主催者推薦を含め、第一次エントリーリストもこのあたりで発表されることになりそうです。詳報はまた!

※鈴鹿8耐出場予定チームのみなさんへ
鈴鹿8耐出場が決定したら、ぜひぜひ、この「Webオートバイ」に一報ください。ニュース掲載で、参戦計画やプロモーションのお手伝い、致します! 写真やチーム体制リリースなどを「AUTOBY」または「RacingAUTOBY」フェイスブックページへのメッセンジャーへ、または「autoby@motormagazine.co.jp」へ、または担当・中村浩史の連絡先をご存知の関係者の皆さんは直接連絡いただければオッケーですよ~!

取材・写真/後藤 純 文責/中村浩史

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