馬力、足まわり、今回の試乗を経た結論は…

フルパワー仕様の178馬力に比べて、国内仕様は123馬力。当時の排ガス規制と騒音規制に対応するためとはいえ、55馬力のダウンはガッカリ、なんて声も多かったですね。

そもそも、よく皆さん「馬力が足りない」って言いますけど、国内仕様の123馬力を全部使いきって走れる一般ライダーがいたら、大したものです(笑)。こんな言い方は怒られるかもしれないけど、たとえ腕に自信がある人でも、一般ライダーなら、120馬力も150馬力もまず変わらないですよ。実際は50馬力も使えてない人がほとんどかな。それだけのパワーは、日本の公道では絶対に活かしきれるものじゃないですから。

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もちろん、ハイスペックなマシンが欲しい気持ちは、自分自身にもあります。レプリカ世代だから、カウル付きがどうしても好きだしね。しかもホンダの旗艦モデルで、このスタイルはCBRにしかない。だからフルパワー仕様の魅力はよく分かります。でも、「国内仕様は123馬力しかないからダサい」って意見には、「じゃあ、本当に使い切れるの?」とは言いたくなりますね(笑)。

2012年のモデルチェンジで変わった、足まわりの話もしましょう。フロントはショーワのBPFが採用されてますが、じつはJSB仕様だと、BPFはセッティングで苦労したんですね。でも市販車だと、乗り心地も良いし、ストローク感もあって、いいサスペンションだと思いました。道路の減速帯を走っても段差の突き上げが気にならなかったですから。

リアはユニットプロリンクサスペンションですが、街中でも安定したトラクションが出ます。登場した当初は、「接地感がわかりにくい」という評価もありましたけど、それは最初だけ。タイヤとのマッチングも含めて、サスのセッティングも随分変わって、接地感が伝わりやすくなりました。それにユニットプロリンクの車輌は、ハイサイドしづらいという利点もあるんですよ。リバウンドストロークが結構あるし、伸び側スピードがある程度遅いこともあり、急にリアが伸びようとしないんです。

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だからタイヤが滑っても横に滑るだけで、ハイサイドしない。ユニットプロリンクは、先にCBR600RRに採用されましたよね。当時、600でSUGOを走った際、3コーナーで真横を向いたことがありましたが、無事に戻れましたよ(笑)。

各部の熟成で接地感がわかりやすくなったこともあり、足周りはすごくしなやかです。自分にはちょっと安定指向だったので、リアのイニシャルを2段階掛けてみたら、想像以上に効果が出て驚きました。リアを上げたりするのは、今まで公道用市販車ではしなかったけど、このCBRに関しては有効な気がします。2段階だと、ちょっと掛け過ぎかもしれないかな。

こうして改めて乗っても、本当に乗りやすいオートバイだと思う。全メーカーのSSモデルの中でも、取っ付きやすさは一番でしょうね。ただ、トラクションコントロールがなかったり、電子制御はあまり入ってない。逆の見方をすれば、付いてなくてもちゃんと走れるバイクだからですが、そこに物足りなさを感じる人がいるのも確かですよね。

次世代モデルの発表がいつになるのか、残念ながら自分も知りません。でも、個人的な願望を言えば、スーパースポーツなんだけどツーリングもできる、乗りやすいモデルになってたら嬉しいかな。ホンダのフラッグシップだし、速さも重要だけど、性能を引き出したうえで扱いやすい、そんな車輌として登場したら嬉しいですね。

PHOTO:松川忍

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