あらゆるシーンで使えるエンジンの完成度(伊藤真一)
CB400SBといえば、誰もが認める400㏄スポーツネイキッドのロング&ベストセラーモデル。多くの人がその完成度の高さを絶賛する車両ですが、僕自身も以前乗った時に「本当に乗りやすいな」と感じたバイクです。現行モデルに乗るのは初めてだったので、どんな印象を受けるのか、今回は楽しみにしていました。
そもそもCB400SBって、ボリューム感もありますし、見た目が格好いいですよね。人気があるのもわかるし、個人的にも好きなルックスです。400㏄クラスの車両がめっきり少なくなってしまった今、ABSモデルが90万円越え、ETC装備付きのEパッケージだと100万円を前後という価格帯は、確かに少々高価に感じます。前号で乗った400Xとか、同じシリーズのCBR400Rとは約20万円違うわけですしね。ただ、さすがに何代ものモデルチェンジを経て熟成を重ねてきた人気車両だけに、よく出来ている。価格が高いだけのことはあるなと納得できる作りです。
まず、パワートレーンがとてもいい。ツキの良いエンジンの特性が素晴らしいですね。下の方から力強いトルクがあって、全部の回転域でよく回るし、どこでも使える。ツインエンジンだと、こうはいかないと思います。もちろん、2気筒は2気筒で重量面など特有の良さがありますし、ホンダのパワートレーンは、気筒数に関係なくよく出来ているなと、毎回感心するんですけどね。
ハイパーVテックについては、どこから効いているのかが正直わからなかったかな。400くらいの排気量だと、そこまで大きくパワーが変わらないというのもあるのでしょうが、SPECⅢの頃はもっとガツンと効きが伝わってきた気がします。おそらく現行車は、全体的にトルクが出ているから、急に効かせると危険な面もあるということで、あえてどこでバルブを切り替えているのかわからない演出にしているのでしょうね。
また、2〜5速間のギアレシオがクロスしていて気持ちがいい。1速と6速はちょっと離れていて、極低速時と高速巡航での実用性を考慮してあるようです。シフトタッチのフィーリングもいいです。
もうひとつ、エンジンブレーキの効き方も絶妙だと感じました。こういうバランスの良いエンブレは、高回転型のエンジンでは珍しいと思います。
エンジンには関しては、本当になにも文句をつけるところがありません。これだけちゃんと作ってあるなら、大勢のライダーが絶賛するのも当然だと思いましたね。取り回しもしやすいですし。SPECⅢの頃はもっとガツンと効きが伝わってきた気がします。おそらく現行車は、全体的にトルクが出てい
ただ唯一、足まわりのセッティングには少々疑問を感じました。僕はこの辺のセッティングは気になってしまう性分です。今回試乗した車両は、フロントフォークが動きすぎて、沈み込みが大きすぎる。その反面、リアサスはストロークが少ない印象で、前後の荷重バランスがフロントに寄っています。フロント荷重をかけっぱなしのような状態で、パーシャルでもフロントに舵が入っていく感覚。だから曲がる時、バイクを寝かせて曲げるよりも、ハンドルで曲げる、昔のジムカーナみたいな乗り方になります。走行中も、いつもなら「このくらいで足を擦るかな」ってとこまで寝かせているつもりなのに、今日は全然擦らなかったんですよ。自然と寝かさないで曲げる走り方になっていたようです。
この原因は最初、ボルドールならではのフロントカウルの重さによるものかな、とも思ったんですが、現行のCB1300SBではそんな印象はない。昔はレーサーレプリカなどに、こういう傾向のあるハンドリングなモデルもありましたけど、現行車で何故こういうセッティングにしたのかな? という疑問が生じて、前後のプリロードを調整したり、タイヤの空気圧(1人乗りと2人乗りの指定空気圧、両方で試乗)も改めて試してみました。
SPECIFICAYION
全長×全幅×全高 2080×725×1160㎜
ホイールベース 1410㎜
シート高 755㎜
車両重 200㎏(※ABS=203㎏、Eパッケージ=204㎏)
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 399cc
ボア×ストローク 55.0×42.0㎜
圧縮比 11.3
最高出力 53PS/10500rpm
最大トルク 3.9㎏-m/9500rpm
燃料タンク容量 18ℓ
変速機形式 6速リターン
キャスター角 25゜ 5′
トレール量 90㎜
タイヤサイズ(前・後) 120/60ZR17・160/60ZR17
ブレーキ形式(前・後) Φ296㎜ダブルディスク・ディスク
価格 85万8600円〜
標準仕様で試乗した後は、ちょっとセッティングをイジってみました