ついにヤマハを、TZRを打倒したホンダNSR。
逃げるNSR、追うTZRのライバル関係がスタートした。

TZRに対抗したNSRのパフォーマンスは、それまでの2スト250㏄スポーツの常識を大きく越えるものだった。TZRが、誰にでも扱いやすく、街乗りでもツーリングでも親しまれたモデルだったのに対し、NSRは徹底的なスポーツバイク。TZRとは違う方向性で、新しい2ストスポーツの世界を作り上げようとしたのだろう。

画像: ついにヤマハを、TZRを打倒したホンダNSR。 逃げるNSR、追うTZRのライバル関係がスタートした。

エンジンパワーは、低回転域のトルクをあえて削ったようなピーキーさで、街乗りに必要十分とはいえ、常用回転域でのイージーさは、ハッキリ言ってTZRの方が上だった。

ただし、回転が上がるにつれてパワーが湧き出るフィーリングは、NSRの圧勝。ぐんぐんと2段ロケットのような加速をみせ、これぞ2スト、というパワーフィーリング。軽量な車体で、高回転域をキープして走る、あのフィーリングこそ、2ストの醍醐味を感じられるものだ。

ハンドリングもTZRとNSRは対極にあって、TZRがよく動くソフトなサスペンションをベースにニュートラルなハンドリングを作り上げているのに対し、NSRはカチッとした手応えで、シャープさをベースにした、上手い人が乗るほどに速いハンドリングを目指していた。

柔と剛、TZRとNSRは、まさにそんな2ストスポーツバイクの2トップだった。街中、サーキットとも、TZRとNSRが2ストスポーツの人気を2分していて、サーキットで勝つのはNSR、街中も含め、誰にでも扱えるのがTZRという評価に落ち着いたのだった。

しかし、こと「戦闘力競争」という側面では、NSRがTZRを圧倒。逃げるNSR、追うTZRというライバル関係は、モデルチェンジを重ねながら続いていくのである。

画像: 1986 HONDA NSR250R ●水冷2スト・クランクケースリードバルブV型2気筒●249㏄●45PS/9500rpm●3.6㎏-m/8500rpm ●125㎏●100/80-17・130/70-18●55万9000円■1986年10月発売

1986 HONDA NSR250R
●水冷2スト・クランクケースリードバルブV型2気筒●249㏄●45PS/9500rpm●3.6㎏-m/8500rpm
●125㎏●100/80-17・130/70-18●55万9000円■1986年10月発売

画像: 1985 YAMAHA TZR250 ●水冷2スト・クランクケースリードバルブ並列2気筒 ●249㏄●45PS/9500rpm●3.5㎏-m/9000rpm ●126㎏●100/80-17・120/80-17●54万9000円 ■1985年11月発売

1985 YAMAHA TZR250
●水冷2スト・クランクケースリードバルブ並列2気筒
●249㏄●45PS/9500rpm●3.5㎏-m/9000rpm
●126㎏●100/80-17・120/80-17●54万9000円
■1985年11月発売

TZR250の変遷

「最速の2ストローク250㏄ロードスポーツを造りたい」そんな夢を抱くGPレーサー担当のエンジニアが中心となり開発がスタート。それだけに、単なるRZ系の進化版ではなく、YZRや市販レーサーTZのDNAが注入された。レーサー譲りのアルミデルタボックスフレーム、φ39㎜と当時としては太いフロントインナーチューブ、YPVS付き軽量エンジンユニットなど走りを意識した装備となっていた。1989年に後方排気、1991年にV型エンジンへと進化し、SP、RSなどのバリエーションモデルが生まれた。

画像: 1985年11月 YAMAHA TZR250[1KT] ●水冷2スト・クランクケースリードバルブ並列2気筒 ●249㏄●45PS/9500rpm●3.5㎏-m/9000rpm ●126㎏●100/80-17・120/80-17●54万9000円 ■1985年11月発売

1985年11月 YAMAHA TZR250[1KT]
●水冷2スト・クランクケースリードバルブ並列2気筒 ●249㏄●45PS/9500rpm●3.5㎏-m/9000rpm ●126㎏●100/80-17・120/80-17●54万9000円 ■1985年11月発売

独自路線で走り抜いた80年代の熱い風たち

2ストローク250㏄のスポーツマシンが国内4メーカーから発売され、まさに時代は速さの追求と技術革新に突き進んでいた。RZがブームの火付け役なら、スズキ・ガンマは種火を確実に大きく育てたエポックメーカー。レースでの戦績が市販車の販売に大きく影響した当時、250㏄マシンでワークス活動をしていなかったスズキとカワサキは独自のコンセプトで時代と勝負して行ったのだった。

RG250Γの変遷

T20やRG250といったスズキの名車の血統がたどり着いた、2スト・レプリカ時代の先駆け的存在。ALーBOXと呼ばれる市販車初のアルミフレームに45PSを発生する水冷の並列2気筒エンジンを搭載。当時最先端のフロント16インチホイールを装備し、リアのフルフローターサスもハードな味付けだった。タコメーターの文字盤は3000rpmから始まるというあたりに、パンチのある走りを目指したことがうかがえる。

画像: 1983年3月SUZUKI RG250Γ ●水冷2スト・パワーリードバルブ並列2気筒 ●247㏄ ●45PS/8500rpm ●3.8㎏-m/8000rpm ●131㎏ ●100/90-16・100/90-18 ●46万円

1983年3月SUZUKI RG250Γ
●水冷2スト・パワーリードバルブ並列2気筒 ●247㏄
●45PS/8500rpm
●3.8㎏-m/8000rpm
●131㎏
●100/90-16・100/90-18
●46万円

画像: RZとVTの250㏄スポーツバイクの戦いに、明確にレーサーレプリカという方法論を持ち込んで割って入ったスズキ。ホンダやヤマハのように250㏄のレーシングマシンを持たなかったスズキの、大成功をおさめたイメージ戦略だった。

RZとVTの250㏄スポーツバイクの戦いに、明確にレーサーレプリカという方法論を持ち込んで割って入ったスズキ。ホンダやヤマハのように250㏄のレーシングマシンを持たなかったスズキの、大成功をおさめたイメージ戦略だった。

KR250の変遷

画像: KR250の変遷

先行3メーカーに遅れを取り、84年に発売されたカワサキ初の2ストスポーツKR250。ライバルとの差異を明確にしたのか、カワサキGPマシンゆずりのタンデム(階層配列)2気筒エンジンを採用。人気、実力とも振るわずに終わった。

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