ドゥカティがスクランブラーシリーズを初めてイタリアでリリースしたのが1968年のこと。イタリア国内で最も愛されるバイクとなった、当時の広告写真と共に歴史を紐解いていこう。
当時の写真が物語る『スクランブラー』の価値観
元々、ダートトラックレース向けだったベースのモデルを公道用に変更したのがスクランブラーの始まり。これはイタリアではなくアメリカの話だ。ドゥカティは、スクランブラーが商業的に成功した理由はいくつかあり、その内のひとつが、競技用にも採用されていたフレームであると考えている。また、そのモデルに求められている、適しているエンジンを開発し、搭載したことが、スクランブラーの価値を生み出したともいう。
加えて、そのデザインも大きな魅力。クラシックとモダン、2つのテイストを持つ丸みを帯びたラインは優雅で、最高にファッショナブルだった。
現在のシリーズにも通じるヒストリックな3つのスクランブラー
スクランブラーはもともとアメリカ市場向けに開発されたもの。スタートは1962年で、その後、1968年まで改良が重ねられた。通称〝ナローケーススクランブラー〟だ。
その後、1968年に〝ワイドケース〟エンジンを搭載した、ある意味、〝本物〟のスクランブラーが登場した。スタートは250と350モデル。続いて1969年に450モデルが登場している。最後に最大排気量モデルが登場するのは、現行スクランブラーも同じだ。
70 年代に入ると、デスモドロミックシステムを搭載するモデルも存在したスクランブラーシリーズだったが、1974年に最後のモデルが登場し、一旦幕を降ろす。短い期間ではあったが、最終型まで常に改良が行われたシリーズだ。同年代のバイクと比較しても、決してスピードで優っていたわけではない。しかし、総合的に優れた性能と完璧なライディングポジションを実現したことで、当時、最も魅力的で愛された一台となったのである。
スクランブラー最新モデルは1100シリーズ
2015年から日本導入が開始され、スクランブラー1100シリーズの追加で全11機種となったスクランブラーシリーズ。排気量の違いはあれど、初代からの世界観は脈々と受け継がれている。
排気量が3種類あったとしても、同じ名前でこんなにもラインアップがあるオートバイがあっただろうか。世界で初めて800がミラノショーで発表されたのが2014年なので、4年間でここまでになったことになる。もちろん、プロジェクトのスタートから、骨組みとしてはこのような構想があったのだろう。それにしても、ここまでのラインアップが出来てしまうのは、ドゥカティの熱意というか、勢いというか、遊び心というか…。また、ロゴマークもそのスクランブラーが持っている個性に合わせて使い分けているところも面白い。さて、あなたはどれを選ぶ?