パニガーレにも似たLEDヘッドライト、クチバシのような形状のノーズ、大型スクリーンといった要素を組み合わせ、機能とスポーティさを合体させた個性的フロントマスク。IMUでコントロールされるLEDコーナーリングライトも新装備。
アップライトな乗車姿勢で、ひと昔前でいうところのデュアルパーパスモデルのポジショニングという認識で問題はないと思う。ただし、オフロードモデルから派生したモデルではなく、ディティールをチェックすればその素性がロードモデルであることが解るはずだ。無論、バリバリにオフロードの走破性を追求したモデルではないが、なぜかその佇まいに不整路へのアクセスも厭わないタフネスさを予感させる。
また目を引くのは、シリーズ通してムルチストラーダ最大の特徴ともいえるフロントマスク。ジャンルに捕われない、ドゥカティの独創のコンポジションで強力な個性となる。まずはそのフロントマスクがもたらす効果をピックアップしたいと思う。
他にはない大きなファイスマスクは、ハイウエイに繰り出してすぐにその効能を実感することが出来るだろう。立ちの強い乗車姿勢であっても、走行風をシャットアウトし、快適な空間造りにより長時間のクルージングも可能としてくれる。オフロードモデルからすると多少仰々しいサイズのフェアリングとなるが、効果を考えるとジャストサイズなのかもしれないと納得する。立ち気味の乗車姿勢をフォローするフェアリング効果としてはパーフェクトに近く、そのパフォーマンスはクルーザーレベルといっても過言ではない。ほど良き走行風に当たりたければ、手動の可変スクリーンでアジャストすれば良く、気分に合わせてライディングを楽しむエッセンスを加える事もできる懐の深さがある。
続いてはロードでのキャラクターについて。最初に触れた様にロードモデルのコンポジションで、疑いの余地のないフィット性をみせ、ハイレンジでの走行やクイックリーでトリッキーなレイアウトの道も大好物! スーパースポーツモデルと比較するつもりはないが、落ち着きの中にあるシャープな応答性は、鍛え上げられた足まわりに、永きに渡って導き出された車体バランスが成せる美技といえる。
後編は7月20日!
左ハンドルのスイッチボックスには、パワーモードなど各種の電子制御デバイスの設定やモード選択を行うためのスイッチを装備。標準装備のクルーズコントロールもここから設定。
タンデムシートも余裕あるサイズ。長距離走行でも快適。2種類の表皮を組み合わせ、赤いステッチを配して高級感を感じさせる仕上げだ。グラブバーはパニアケースマウントにもなる。
ストロークの長いザックス製の倒立フロントフォークで、Sにはセミアクティブサスであるスカイフックが標準装備されている。ブレーキ周りはブレンボ製のM50モノブロックキャリパーに、ボッシュ製コーナーリングABSを組み合わせたものだ。
パニガーレにも似たLEDヘッドライト、クチバシのような形状のノーズ、大型スクリーンといった要素を組み合わせ、機能とスポーティさを合体させた個性的フロントマスク。IMUでコントロールされるLEDコーナーリングライトも新装備。
MULTISTRADA 1260 S
価格:2,625,000円(税込)
■エンジン:水冷4ストロークL型2気筒DOHC4バルブ ■ボア× ストローク(排気量):106×71.5mm(1262cc)■最高出力:158ps/9500rpm ■最大トルク:13.2kgm/7500rpm ■ミッション:6速リターン ■全長× 全幅×全高:N.A×N.A×N.Amm ■ホイールベース:1585mm ■シート高:825-845mm(可変式) ■車両重量:235kg■燃料タンク容量:20L ■タイヤ前・後:120/70ZR17・190/55ZR17 ■価格:262万5000円~266万5000円
撮影/柴田直行 解説/小松信夫 文/編集部
GOGGLE2018年8月号
モーターマガジン社
体裁:A4変型・平綴じ
販売価格:1,200円(税込)