Lツインエンジンをこれでもかとアピールし、マッシブなボディをより一層強大に演出するドゥカティが提案するクルーザー「Xディアベル」。ロー＆ロングのドラッガースタイルから繰り出すパフォーマンスは一体どんな世界に道いてくれるのか？
極端にショート化されたシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンド、そしてロー＆ロングを強調する片持ちスイングアームとデザインに凝ったホイール、なによりマッシブさに厚みを持たせるエンジンを抱えるボディ等々、全てをバランスさせ圧倒的な個性を放っている。誰もが納得のマッスルバイクは、ドラッガースタイルを確立しているものの、乗車してみるとなにやらイメージとのギャップに困惑してしまう。
というのも、ライディングポジションがことのほかゆったりしており、それこそずばりクルーザーなのである。初めからド加速に構えるライディングポジションではなく、幅広いハンドルにフォワードコントロールといった組み合わせで、ドッカリゆったり流すのに丁度良い雰囲気なのだ。
ドゥカティは、クルーザーとしての位置づけでXディアベル（試乗したのは「S」）を開発したという。今までの概念とは異なるアプローチのクルーザーという認識を持つべきである！ と、街道を流して思ったものだが、そもそもクルーザーというカテゴライズ自体非常にあやふやなものだったと、改めて思い知らされた。基本的にフェアリングや装飾や装備を充実させ、長距離巡航を見据えたものというイメージが強かったので、つい。
まず走り出して最もインパクトがあったのが、低回転域から沸き上がるトルクの塊を生むエンジンももちろんだが、それ以上にホールド性に富んだシートである。「座るシート」ではなく「包みささえるシート」なのだ。幅の広いハンドルと、フォワードコントロールのフットペグの組み合わせは、お世辞でもドラッグスタートコントロールを想定したポジションではないので、強力な加速Gを受ける身体をシート一点でホールドするといった具合なのだ。無論、ドラッグスタートをすること自体ナンセンスなのかもしれないが、特異なシートに身を預けてみたらその真意に触れてみたいというもの。
後編は、6月２８日！
ひと目でXディアベルSだと分かる、個性的なデザインのフロントマスクが特徴。日中の完全な可視性を保証するDRL（デイタイム・ランニング・ライト）は日本仕様には採用されていない。
ワイルドさの中に美しさも漂わせるボディラインの中で、大きな存在感を感じさせるのが流麗なティアドロップデザインの燃料タンク。容量18Lで実用的な航続距離も確保。
ワイルドさの中に美しさも漂わせるボディラインの中で、大きな存在感を感じさせるのが流麗なティアドロップデザインの燃料タンク。容量18Lで実用的な航続距離も確保。
テスタストレッタDVTエンジンは、単にスーパーバイク譲りの強力なパワーを発揮するだけでなく、可変バルブ機構の採用や大排気量化で扱いやすさも確保。Xディアベルの美しいスタイル実現のため、側面に配置されていたウォーターポンプ位置もVバンク間に変更された。
X DIAVEL S
価格：2,740,000円（税込）
■エンジン：水冷4ストロークL型2気筒DOHC4バルブ ■ボア× ストローク（排気量）：106×71.5mm（1262cc）■最高出力：152ps/9500rpm ■最大トルク：12.8kgm/5000rpm ■ミッション：6速リターン ■全長× 全幅×全高：N.A×N.A×N.Amm ■ホイールベース：1615mm ■シート高：755mm ■車両重量：247kg ■燃料タンク容量：18L■タイヤ前･後：120/70ZR17・240/45ZR17 ■価格：274万円〜278万円
撮影／柴田直行 解説／小松信夫 文／編集部
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