曇りの予報が出ていたツインリンクもてぎですが、今日も朝から雨。しとしとパラパラと降りつつ、お昼すぎにはかなりの弱い雨。午後の公式予選は、最初に行なわれたmoto3クラスがまだ弱い雨とウェット路面、次のMotoGPクラスでは雨がやみ、レコードラインが乾き始める状態。そして最後のmoto2クラスは、路面がどんどん乾いて行って、セッション中盤以降はほぼドライ路面でのタイムアタック合戦がスタートしました。

このmoto2クラス、やはり現地で注目を集めているのが、「IDEMITSUホンダTeamアジア」の中上貴晶でしょう。2018年シーズンからのMotoGPクラス昇格を発表してからは、世界各国のメディアから取材取材の連続で、このもてぎでも、木曜からあちこちで違う国のメディアに囲まれている中上を見ることになりました。

「ステップアップを発表してからは、本当に取材取材の連続で、これまでになく注目されているな、って思います。これをプレッシャーと感じずに、楽しむつもりで対応させてもらっています」と中上。昇格の発表直後のイギリスGPでは今シーズン初優勝。これも、なんだか「見えない力」が背中を押してくれたのかも、って言ってました。

画像: マシンの白×赤と日本GP冠スポンサーのMOTUL看板がよく似合っていました^^

マシンの白×赤と日本GP冠スポンサーのMOTUL看板がよく似合っていました^^

迎えて、この日本グランプリ。これまで表彰台にも立てていない母国GPで、moto2クラスとしては最後になる日本GP。さらに、中上が歩く場所あちこちで、関係者やファンに声をかけられ、気が休まる暇はあるのかな、って心配になるくらいです。いやぁ、でもマルケスやロッシに比べたらなんでもないよね!

その中上の日本GPは、なかなかいいスタートとはいえないものでした。金曜のフリー走行1回目は13番手スタート。午後の2回目は13番手。いずれもトップタイムから2秒も遅れ、出遅れの感は否めません。明けて土曜午前のFP3では転倒まで喫し、13番手。トップとの差は1秒2まで縮まりました。

画像: 最初はレインタイヤでじっくり、スリックに替えてからスパッとタイム出しした中上 風格十分!

最初はレインタイヤでじっくり、スリックに替えてからスパッとタイム出しした中上 風格十分!

「雨とはいえ、雨の量や路面温度が結構かわって、金曜はほとんど攻められませんでしたね。特にブレーキングの安定感が決まらないので、コンディションを、見ながらセットアップを進めていこう、と思ってました。そして今日は、路面状況がウェットからドライへかわっていく中、最初はレインタイヤで走り込んでいたんですが、路面がほぼドライになってから、スリックタイヤに履き替えてアタックに出ました。路面には、まだところどころウェットパッチが残っていましたが、ポールポジションにたどり着きました! よかった、完璧です。ドライのセットアップはできているので、決勝もドライで走りたい。是が非でも、日本のファンや関係者のみなさんの前で優勝したい!」と中上。

画像: ピットレーンに戻ると、出迎えたタディ監督とグータッチ! 後藤さん、いい写真だっ!

ピットレーンに戻ると、出迎えたタディ監督とグータッチ! 後藤さん、いい写真だっ!

中上が完璧、という公式予選は、なかなかハラハラさせるものでした。予選開始は、ほぼ全員がウェットタイヤでスタートし、序盤はリーダーボードのトップにゼッケン30、つまり中上の名前がありました。

しかし、ラインドライになったと見るや、次々とピットインし、スリックタイヤに履き替えるライダーたち。その中でも、中上は黙々とレインで走り込みを続けていました。ひとり、またひとりとスリックタイヤでコースイン。リーダーボードの頂上にあった30って数字はどんどん落っこちて、10番手15番手、そして表示外のポジションへ。

「タカなにやってんだ! 早くスリックに履き替えてアタックして!」と思ったら、セッション中盤以降でしょうか、中上ついにピットイン。スリックタイヤでアタックに出ます。昨日、きょう午前までの流れでは、スリックに履き替えて、今週初めてドライ用セットで走り始めて、ようやく慣れた頃にタイムアップ……ってことにならないでくれよー、と思ったんですが、ここからタイムを出すのが早かった!

画像: 今シーズン初めての予選No.1ボード! お姉さんもお母さんも見えます^^

今シーズン初めての予選No.1ボード! お姉さんもお母さんも見えます^^

データを見ると12周目にピットに入り、2分02~03秒で周回していたレインタイヤからスリックに履き替えてすぐに1分59秒台に突入。スリック1周目が1分59秒フラット、2周目に56秒946、3周目に55秒232、4周目に57秒832を出して、残り時間ぎりぎりに54秒213を出してついにトップタイム!

中上のフィニッシュライン通過後すぐにチェッカーが振られ、うおぉポール獲ったか!と思った瞬間、アレックス・マルケスが中上のタイムを更新。53秒904でポールポジションを獲得、中上は2番手か、惜しいぃぃぃ!と思っていたら、ラストラップに入った中上は、区間ベストタイムを次々と更新! まだアタックを続けていたんです!

セクター1でベストタイム更新、セクター2はさっきよりチョイ遅れ、セクター3更新、セクター4更新と来て、マルケスのタイムを0秒128更新し、堂々とポールポジションを獲得しました!
中上のポールポジションは、これがmoto2キャリア5回目。moto2デビュー2年目の2013年、フランスGPが初ポールで、2016年のドイツGP以来、今シーズンは初、日本GPでのポールポジションもこれが初めてです。

いや、最後の最後での逆転に次ぐ逆転、カッコよかった! 誰もが夢見る母国GPでのポールポジションと優勝。「日本のコースはいつも僕に目に見えない力をくれるんです」と英語のインタビューで語っていたタカの日本での最後のmoto2レースに、全力で声援を送りましょう! 見えない力を与えましょう!

日本GP決勝、いよいよ明日!

写真/後藤 純 中村浩史 Photos/Jun GOTO

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