「スポーツモード」ではピックアップが激変!
ドーハのストリートを駆け回った程度の試乗でも、スロットルワークに対するエンジンの滑らかな応答性など、その扱いやすさが一段とレベルアップしているのがよくわかる。ただし、エンジンのピックアップそのものはかなり鋭く、リニアになっている。
その応答性、パワーの立ち上がりを活かした「割り切り」だろうか、パワーモード切り換えによるそのピックアップの可変率が変わっているようだ。これまでのスーパーデュークRではライディングモード切り換えをストリートではなく、スポーツにしていても十分に穏やかな応答性で、街中でラフにスロットルを使っても何不自由なく滑らかな操作ができたのだが、この新型はピックアップが良過ぎて街中で「スポーツモード」をつかうのは気を遣う……そう感じた初めてのスーパーデュークRだ。
しかしながら、このバイクをサーキットに持ち込んだら、ソレもまた違った印象になる。
これまでのデュークよりたった1000回転、上が回るようになっており5馬力ほど強力になっている。その意味は各ギヤで引っ張った時の速度の乗り方の違いに現れていた。
ライドバイワイヤー方式のスロットルコントロールだ。言ってみれば、右のスロットルグリップはボリュームスイッチ。これをオープンエンドのギリギリまで開けた時のコシの強さや250km/h以上に速度を乗せてからの更なる加速など、力に関わる応答が一回り以上強力なのだ。
スポーツネイキッドモデルとはいえ、サーキットでそんな事を比べる必要なんて……と思うかもしれないが、初日の街中での乗りやすさにプラスして、サーキットではそんな走りまでできるぞ! どうだ、面白いだろう! と言ったスタンスがKTMの血脈。
スポーツモードだけでなく、トラックモードなど、コースでのスポーツ走行に特化して、トラクションコントロール、ローンチコントロールやウィリーコントロールまで細かくセットアップできるモードもある。日本仕様がこれをオプションにするか、標準装備にするかは今のところ不明だが、このモードはスロットル開度に直結したリニアなパワコントロールができ、使いこなせばビックリするほどホットな走りができる。
サスやエンジンなど細かいパートの積み重ねで熟成された今回の新型だ。だが、よりホットに、そして扱いやすくもなっているという点での進化はとっても大きいと感じた。