ハーレーの中ではスポーティさがウリのスポーツスターファミリー。新型フォーティーエイトは前後サスペンションやブレーキを強化し、走りを一層レベルアップ。ストリートを流すときや、ワインディングでますます軽快感を強めている。早速試乗チェックしてみよう。

画像: ハーレーダビッドソン フォーティーエイト(XL1200X)

1ランク上の機敏さとスポーティさに進化!

 フォーティーエイトの走りが機敏になった。直進安定性が強く、キッカケを与えなければ旋回を始めないという独特のハンドリングはそのままだが、より軽快感が増し、1ランク上のスポーティさを実現。1200エンジンを積むスポーツスターファミリーの人気者が、16年式では足まわりやシートなどを一新し、運動性能にも磨きをかけたのだ。
 これはユーザーからの要望を受けてのもので、従来型では大きな段差を乗り越えた際に突き上げを食らったり、ゴツゴツしたサスペンションの動きで乗り心地が悪いなど、ローダウン化された前後サスゆえのウィークポイントがあった。
 そうした不満点を解消しようと、新型ではまずフリーピストン式だったフロントフォークをカートリッジタイプにグレードアップさせ、さらにインナーチューブ径をφ39→49mmへと他のスポーツスターよりも太いものとしている。
 
 カートリッジ式フォークの利点は、ストロークするスピードに応じてダンピング特性をコントロールできる点にある。これの採用で、新型は動き始めの低速時はしなやかで乗り心地が良く、高速では踏ん張りが効き揺り返しもないサスとなった。
 リアサスも36mmの大径ピストンと低粘度オイルを採用した「プレミアムライドエマルジョンショック」へと進化し、応答性と路面追従性を向上。プリロードアジャスターは従来も備えていたが、新型では飛躍的に進化し調整しやすくなっている。
 新作のアルミキャストホイールもバネ下重量の軽減に貢献し、軽快なハンドリングを生み出すのに一役買っている。スポーク付け根のアルミ処理をハイライトにするなど、まるでリプレイスホイールのような精悍なルックスに仕上がり、「太く力強いフロントエンド」という同車の理想が、ついに完成型に達した印象だ。

 フロントブレーキもφ292mmソリッドディスクを300mmの2ピース式にグレードアップし、ABSもついに標準装備。センサーを剥き出しにせず隠すマウント方式は美観にこだわるハーレーの「お家芸」で、ホイールまわりをスッキリとさせているのもカスタムファンの心をガッチリと掴むはずだ。
 ミニマムスタイルのソロシートもクッションがソフトになったことが跨った途端にわかるもので、足着き性を犠牲にすることなく、前後サスとの相乗効果によるツーリングでの疲労軽減を実現。マフラーも新デザインのヒートガードが与えられ、ラウンド型エアクリーナーやタンクエンブレムともども、フォーティーエイトが生まれ変わったことをアピールしている。
 気軽に乗れるフレンドリーさに走りの鋭さが加わった新型フォーティーエイト。2016年もハーレー人気ナンバー1という主役の座を渡さない構えだ。

画像: 全身をブラックアウトさせたダークカスタムモデルの代表格ともいえるフォーティーエイト。新型では70年代をイメージしたグラフィックと、伝統の重みを感じさせるバー&シールドのバッヂを燃料タンクに新採用した。

全身をブラックアウトさせたダークカスタムモデルの代表格ともいえるフォーティーエイト。新型では70年代をイメージしたグラフィックと、伝統の重みを感じさせるバー&シールドのバッヂを燃料タンクに新採用した。

画像: クロームを排し、ブラックアウトされたエンジンは伝統の空冷OHV45度Vツイン。力強いトルクを低回転域から発揮し、クラッチを繋いだところからスルスルと車体を押し出す。

クロームを排し、ブラックアウトされたエンジンは伝統の空冷OHV45度Vツイン。力強いトルクを低回転域から発揮し、クラッチを繋いだところからスルスルと車体を押し出す。

画像: 他のスポーツスターとの差別化がなされていなかったエキゾーストシステムだったが、新型では専用装備となる3本スリットの入ったニューヒートガードが標準装備された。

他のスポーツスターとの差別化がなされていなかったエキゾーストシステムだったが、新型では専用装備となる3本スリットの入ったニューヒートガードが標準装備された。

画像: 他のスポーツスターよりも10mm太いφ49mmカートリッジ式フォークを新採用し、フォークブレースとトリプルクランプも専用装備となって、フロントエンドをますます強調。

他のスポーツスターよりも10mm太いφ49mmカートリッジ式フォークを新採用し、フォークブレースとトリプルクランプも専用装備となって、フロントエンドをますます強調。

画像: 2016年式のスポーツスター1200シリーズはABSを全車搭載。ローターも292mmソリッドディスクをセミフローティング式へとグレードアップし、タッチと制動力を向上している。

2016年式のスポーツスター1200シリーズはABSを全車搭載。ローターも292mmソリッドディスクをセミフローティング式へとグレードアップし、タッチと制動力を向上している。

画像: リアショックもエマルジョンタイプとなり、応答性と路面追従性を向上。ロープロファイルによる足着き性の良さと精悍さはそのままに、衝撃をしっかり吸収してくれる。

リアショックもエマルジョンタイプとなり、応答性と路面追従性を向上。ロープロファイルによる足着き性の良さと精悍さはそのままに、衝撃をしっかり吸収してくれる。

画像: フォーティーエイトのネーミングは、1948年式に用いられたこのタンクシルエットに由来する。新型ではグラフィックを一新し、バー&シールドのエンブレムバッチを装着。

フォーティーエイトのネーミングは、1948年式に用いられたこのタンクシルエットに由来する。新型ではグラフィックを一新し、バー&シールドのエンブレムバッチを装着。

画像: シンプルな単眼メーターだが、必要な機能は完備される。液晶画面ではギア段数やエンジン回転数のほか、時計や航続距離、トリップ、オドメーターも切り換え表示可能だ。

シンプルな単眼メーターだが、必要な機能は完備される。液晶画面ではギア段数やエンジン回転数のほか、時計や航続距離、トリップ、オドメーターも切り換え表示可能だ。

画像: ミニマムなソロスタイルはそのままに、何本もの横筋の入った表皮を用いて内部構造を一新。跨った瞬間に気づくほど座り心地は柔らかく、乗り心地の向上を図っている。

ミニマムなソロスタイルはそのままに、何本もの横筋の入った表皮を用いて内部構造を一新。跨った瞬間に気づくほど座り心地は柔らかく、乗り心地の向上を図っている。

撮影:松川忍、関野温

ハーレーダビッドソン フォーティーエイト(XL1200X)の基本情報、スペック
寸法・重量
全長/全幅/全高mm 2160/845/1085
ホイールベースmm 1495
最低地上高mm 110
シート高mm 710
トレールmm 135
レイク 度 30.2
車両重量 kg 252
エンジン・性能
種類 空冷4ストV型2気筒
弁形式 OHV2バルブ
内径×行程mm 88.9×96.8
総排気量cc 1201
圧縮比 10.0
最高出力kW/rpm NA
最大トルクN・m/rpm 87(8.87kg-m)/3500
燃料供給方式 電子制御燃料噴射
点火/始動方式 フルトランジスタ/セル
燃料タンク容量L 7.9
サスペンション
前 テレスコピック
後 スイングアーム
ブレーキ
前 ディスク
後 ディスク
タイヤ
前 130/90B16
後 150/80B16
価格
標準現金価格 150万円(ビビッドブラック)/152万2000円(モノトーン)/154万4000円(ハードキャンディーカスタム)
問い合わせ先 ハーレーダビッドソンジャパン(0800-080-8080)

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