ファットボーイはこれまで、ダークカスタムのファットボーイローをバリエーションモデルに持ち二枚看板としてきたが、2016年モデルでは最上級機種として「S」が仲間入り。1801ccエンジンの実力を早速チェックしてみよう。
CVOの最強エンジンはさすがにダイナミック!
1990年のデビュー以来、四半世紀にわたってラインアップに名を連ねてきたベストセラーモデル、ファットボーイ。2010年モデルからはローダウンサスを用いて足着き性を向上し、全身をブラックアウトするダークカスタム仕様のファットボーイローも加わって2本立てとしてきたが、2016年式ではその上級仕様となる「S」シリーズが新たに加わり3兄弟となった。
S最大の魅力はなんと言っても「ツインカム110B」と名付けられる排気量1801ccの空冷Vツインの搭載だ。ハーレーのレース部門が開発した「スクリーミンイーグル」のチューンアップキットによって110キュービックインチにボアアップされ、吸気系も見直された空冷Vツインは、これまで受注生産によるCVOモデルにしか採用されてこなかったが、この最強エンジンがついに通常モデルにも積まれることとなった。
その違いは油圧クラッチを繋いだ途端にわかり、低回転域からとにかく力強い。実は、ファットボーイやファットボーイローも、2016年式で排気量を1584ccから1689cc(ツインカム96B→103B)へと拡大し、よりいっそうトルクフルなパワーユニットへと進化しているのだが、Sのツインカム110B(1801cc)は別格と言うべきレベルで、鋭いスロットルレスポンスによるダイレクト感、加速の鋭さ、不等間隔爆発の味わい深さ際立つ鼓動感、乗り手に伝わってくる感覚はすべてにおいてひとまわり大きくダイナミックだ。
このハイパワーユニットの恩恵は、フェアリングやサドルケースなどを持たないシンプルなファットボーイだからこそよりダイレクトに感じられ、重戦車が突き進むような豪快な走りがより屈強なものとなった。
そのルックスから分かる通り、ベースモデルはファットボーイローだが、Sではブラックパーツを更に多用し、ダークカスタムを極めているのも特徴となっている。ローではフロントフォークのダウンチューブやエンジンカバー、サイレンサーなどにサテンシルバーを使っているが、Sではとことんブラックパーツで身を引き締め、より精悍なスタイルを演出している。
さらに、ソフテイルファミリーでは初となる電子制御式のクルーズコントロールを導入し、クルージング性能も高めているのも見逃せない。トップギア、6速での100km/h巡航は2200rpmに満たない回転数でこなせるので、高速道路を延々と走るのは他のFLモデル同様に得意なところだ。
排気量の大きさにモノを言わせ、堂々たるライディングフォルムで風を切り裂くように突き進めば、たくましい車体とVツインの鼓動にたちまち酔いしれることだろう。まさしく最強ファットボーイの誕生だ!
撮影:関野温
■ハーレーダビッドソン ファットボーイS(FLSTFBS)の基本情報、スペック
寸法・重量
全長/全幅/全高mm 2385/990/1095
ホイールベースmm 1630
最低地上高mm 125
シート高mm 670
トレールmm 147
レイク 度 31.6
車両重量 kg 333
エンジン・性能
種類 空冷4ストV型2気筒
弁形式 OHV2バルブ
内径×行程mm 101.6×111.1
総排気量cc 1801
圧縮比 9.2
最高出力kW/rpm NA
最大トルクN・m/rpm 127(13.0kg-m)/3500
燃料供給方式 電子制御燃料噴射
点火/始動方式 フルトランジスタ/セル
燃料タンク容量L 18.9
サスペンション
前 テレスコピック
後 スイングアーム
ブレーキ
前 ディスク
後 ディスク
タイヤ
前 140/75R17
後 200/55R17
価格
標準現金価格 259万円(ビビッドブラック)/262万5000円(モノトーン)
問い合わせ先 ハーレーダビッドソンジャパン(0800-080-8080)