犬と暮らすライダーは、愛犬と行ける範囲が歩ける距離で止まりがちだ。バイクには犬の居場所がなく、かといって車を出すほどでもない。そんな隙間に役立つのがウィズの「Doggie_Lite」だ。約15kgまでの犬を専用のキャビンに乗せて走れる特定小型原付で、16歳以上なら免許不要。一度の充電で約55km走り、価格は24万2000円だ。

文: 石川順一
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犬と行ける範囲が、歩ける距離で止まっていた

朝夕の散歩は、いつも同じ道を回って帰ってくる。川沿いの広い公園まで足を延ばせば犬は喜ぶとわかっていても、往復を考えると引き返す角は決まってしまう。ガレージにはバイクがあるのに、犬と出かける日には出番がない。動物病院やトリミングの日は車を出す。ただ、数kmの用事のたびに車を動かし、駐車場を探すのは大げさに感じる。この先、免許を返す日のことも頭をよぎる。欲しいのは、犬を乗せて、散歩の延長のような気軽さで少し先まで行ける乗り物だろう。そんな希望を形にした一台が、ウィズの特定小型原付「Doggie_Lite」だ。

画像: ハンドルとサドルの間のキャビンに柴犬が座る「Doggie_Lite」

ハンドルとサドルの間のキャビンに柴犬が座る「Doggie_Lite」

柴犬が真ん中に座り、飼い主は箱をまたいで走る

Doggie_Liteでは、車体の中心にキャリーケースを備える。ハンドルとサドルのあいだ、ふつうのスクーターなら足を置くあたりに、フレームで囲んだ箱型のキャビンが据えられているのだ。犬はそこに座り、縁から顔を出して前を見る。乗り手はすぐ後ろのサドルから、犬の背中を見下ろすことができるのだ。

キャビンは側面のパネルが手前に開き、犬はそこから出入りする。パネルで覆われているとはいえ、走行中は飛び出してしまわないか心配に思うかも知れない。そのあたりの心配は無用。車体にはリードが付属するので、犬をつないでから走り出せる。道路交通法のうえでペットは荷物の扱いになるので、違反の心配もない。

画像: キャビンは側面のパネルが開き、犬はそこから出入りする

キャビンは側面のパネルが開き、犬はそこから出入りする

バッテリーはキャビンの床下、モーターは後輪にある。重い部品が低い位置に集まっているから、犬が上に乗っても重心が高くなりにくい。エンジンを持たないので、その音や振動を犬が感じて興奮したり、不安に思うこともない。

乗車姿勢は、スクーターともバイクとも少し違う。サドルに腰を下ろし、足はキャビンの両脇から下に出たステップに載せる。ひざはキャビンを左右から挟む位置にくる。犬を抱えるように走るといったところだ。

実のところ、ペットを乗せられる特定小型原付の選択肢は、ほかにもある。Sun Emperorの「LBIRD」がそのひとつだ。あちらは四輪なので、赤信号で停止しても足を出さなくてよく、標準で付くセンターバッグにペットを約10kgまで乗せられる。停車のたびに車体を支えるのが気がかりで、犬が10kgに収まるなら、そちらも候補になる。一方で、小型犬でも大きめの個体なら話は変わってくる。Doggie_Liteに乗せられる犬の重量は約15kgまでと、小型犬の中でも大きい柴犬だって十分収容可能なのだ。

免許を返しても、交代で家族も乗れる

特定小型原付は免許を問わず、16歳になっていれば乗れる。この先免許を返納しても愛犬との外出を続けられるし、免許を持たない家族が動物病院へ連れて行く日にも出番がある。乗車定員は1名なので、家族で使うなら交代で乗ることになる。車道での最高速度は20km/hと原付と比べると心もとないが、シニアカーの6km/hよりは遥かに実用的だ。交通量の多い通りでは、歩道走行モードを選ぶことだってできる。自転車も通れると標識で示された歩道なら、早歩きほどの6km/hで歩行者に合わせて進めるため、安心だ。

画像: 犬を前に乗せて走る。ひざはキャビンの両脇にくる

犬を前に乗せて走る。ひざはキャビンの両脇にくる

同じ車体には、原付一種の「Doggie」も用意されている。寸法も重量も、24万2000円の価格も変わらない。こちらは免許とヘルメットが必須で歩道は走れないかわりに、法定速度の30km/hまで出せる。値段が同じなのだから、免許をいつまで持つつもりかで選べばいい。

シートは675mmまで下がり、バッテリーは部屋で充電できる

犬を乗せたまま止まるときに、頼りになるのが足つきだ。シート高は675mmから770mmの範囲で調整でき、いちばん下げれば原付一種のスクーターと同等。車両重量も約40kgと、70kg前後ある原付一種のスクーターに比べれば半分程度だ。15kgの犬を乗せていても、信号待ちで身じろぎされたときに車体を支えやすい。

画像: 全長1330mm、車両重量は約40kg。シート高は675mmから調整できる

全長1330mm、車両重量は約40kg。シート高は675mmから調整できる

坂も苦にしない。上れるのは15度までで、勾配にすると約27%になる。大型の立体駐車場の車路に認められている上限が17%だから、それより急な坂まで上れる計算だ。高台に住んでいても候補にできる。

充電の手間もかからない。5.2kgのバッテリーは車体から取り外せるので、車体は玄関先に置いたまま、バッテリーだけ部屋に持ち込んで家庭用コンセントにつなげばいい。満充電までは7.5時間だから、寝る前につないでおけば朝には走り出せる。一度の充電で走れるのは約55km。公園と動物病院を合わせて1日8kmほど走っても、充電は週に1回ほどで済む。

24万2000円で犬の席ごと手に入る

価格は24万2000円。乗り出す前に要るのは、住んでいる市区町村でのナンバー取得と、自賠責保険の契約だ。持ってからかかる税金は軽自動車税で、年2000円が標準の税率になる。電気代も気にならない。0.75kWhのバッテリーを空から満たしても、1kWhあたり31円という電力料金の目安なら約23円に収まる。

買う前に確かめたいのは、愛犬がキャビンにおとなしく座っていられるかどうかだろう。取扱店は22都道府県に51店あり、バイク店だけでなくペットショップも名を連ねる。犬を連れての試乗もできるので、試乗車があるかを問い合わせてから訪ねよう。

散歩の続きを少し遠くまで

いつもの角で引き返していた散歩が、川沿いの公園まで延びる。動物病院の日に車を出さなくてよくなる。Doggie_Liteが広げてくれるのは、愛犬と行ける範囲だ。その範囲は、免許を返したあとも狭まらない。犬と暮らす親が免許を手放すときに、勧める一台にもなる。まずは愛犬を連れて取扱店を訪ね、キャビンに座った顔を見てみるといい。

画像: 車体色はライトグレー、ライトピンク、ライトブルーの3色

車体色はライトグレー、ライトピンク、ライトブルーの3色

ウィズ Doggie_Lite 主要諸元

・区分:特定小型原動機付自転車(歩道走行モードあり)
・運転免許:不要(16歳以上)
・乗車定員:1名
・全長×全幅×全高:1330mm×590mm×980mm(折りたたみ時の全高720mm)
・シート高:675〜770mm
・車両重量:約40kg
・耐荷重:100kg
・想定する犬の体重:約15kg
・最高速度:20km/h(歩道走行モード6km/h)
・定格出力:600W(最大出力800W)
・登坂性能:15度(満充電時)
・航続距離:約55km
・バッテリー:リチウムイオン 48V・15.6Ah(重量5.2kg、着脱式)
・充電時間:7.5時間(家庭用100V)
・タイヤ:前後2.75-8 チューブレス
・ブレーキ:前後ディスクブレーキ
・サスペンション:前後に装備
・車体色:ライトブルー、ライトピンク、ライトグレー
・性能等確認:適合(型式DG600T、確認番号0174)
・価格(税込):24万2000円(自賠責保険・諸経費は別)

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