世界最高峰のMotoGPを目指すルートが大きく変化するなか、HRCが次世代ライダーの育成体制を強化する。10代から欧州の国際レースに挑戦できる環境を整え、参戦費用の一部を支援する新たなスカラシップ制度を2027年度にスタートさせる。
まとめ:webオートバイ編集部
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10代から世界基準のレース環境へ挑戦
株式会社ホンダ・レーシング(HRC)は2026年8月19日、新たなレーシングライダー育成プログラム「Honda Racing School & Scholarship」を2027年度から開始すると発表した。
このプログラムは、二輪ロードレースの最高峰であるMotoGPをはじめ、世界のトップカテゴリーで活躍できるライダーの育成を目的としたもの。若年期から国際レースへ参戦する“海外実践型”の育成を強化し、10代のうちから世界基準の競争環境で経験を積める体制を構築する。
かつてMotoGPを目指す日本人ライダーの多くは、全日本ロードレース選手権などの国内カテゴリーで実績を重ね、世界選手権へとステップアップしていた。しかし近年では、14歳以上を対象とした「Idemitsu Moto4 Asia Cup」などのMoto4クラスを起点に、欧州の「FIM Moto3 Junior World Championship」や「Moto2 European Cup」へ進み、その後に世界選手権のMoto3、Moto2、そしてMotoGPを目指すルートが主流になりつつあり、若い時期から国際レースで実績を残すことの重要性が、これまで以上に高まっているのだ。
Moto4やMoto3 Juniorの参戦費用をHRCが支援

「Honda Racing School & Scholarship」では、主な実戦の舞台を欧州に設定。Moto4やMoto3 Juniorへの参戦に際して、その費用の一部をHRCが負担するスカラシップ制度を新設する。
海外選手権への参戦には、車両やチーム運営、移動、滞在など多額の費用が必要となる。今回の支援制度によって、才能ある若手ライダーがより早い段階から世界へ挑戦しやすくなることが期待される。
単にライディング技術を学ぶだけではなく、異なるサーキットや文化、チーム環境のなかで実戦経験を重ねられる点も重要だ。レースウイークの組み立て方や海外チームとのコミュニケーションなど、世界選手権で戦うために欠かせない能力を10代から磨くことができる。
チャントラやマリオ・アジに続く人材を育成

ソムキアット・チャントラ選手
honda.racingHRCはこれまでも、国内の「ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿(HRS)Motoクラス」に加え、アジア地域で実践型の育成プログラムを展開してきた。
その取り組みからは、2025年にMotoGPへ参戦し、現在はFIMスーパーバイク世界選手権で戦うソムキアット・チャントラや、「Idemitsu Honda Team Asia」からMoto2に参戦するマリオ・アジなど、世界選手権で活躍するライダーが誕生している。

マリオ・アジ選手
honda.racing新プログラムは、こうした育成活動をさらに発展させるものとなる。アジアで才能を発掘し、早い段階から欧州の実戦へ送り出すことで、世界のトップカテゴリーへ至る道筋をより明確にする狙いがある。
HRSが築いた育成の歴史を世界へつなぐ

HRSの歴史は、1992年に開校した「鈴鹿サーキットレーシングスクールジュニア(SRS-J)」に始まる。1993年にはカート、1995年にはフォーミュラの各クラスが加わり、二輪・四輪の世界最高峰カテゴリーで活躍するライダーやドライバーを育成してきた。2022年には現在の「ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿」へ名称を変更している。
HRC代表取締役社長の渡辺康治氏は、世界最高峰カテゴリーへ至る育成環境が大きく変化し、若い時期から国際レースを経験する重要性が高まっていると説明。そのうえで、世界トップカテゴリーで勝てるライダーを育成するため、育成の舞台をさらに広げて新たな挑戦を始めるとコメントした。
長年にわたって国内で人材を育ててきたホンダが、その育成基盤をアジア、そして欧州へと拡大する。「Honda Racing School & Scholarship」から、将来のMotoGPで勝利を争うライダーが誕生するか注目したい。
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