まとめ:斎藤ハルコ/写真:井上 演
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2026年1月号に掲載したものを一部編集して公開しています。
三好礼子×佐々木優太 開運ツーリングトーク

「表に出たい欲はゼロだけど表現したい欲はあるの」(三好礼子)
「礼子さんの背中が格好良くて生き様を感じました」(佐々木優太)
生まれた時からもう旅に出たかったんです
佐々木優太(以下、佐々木) いただいた事前アンケートを拝見してビックリしたのが、礼子さんの日々がやりたいことに溢れてて、忙しいことでした。現在の目標が「昨年引っ越した古民家の庭の果樹の手入れをもっとしたい」、「夫婦で運営しているペレファ・カフェをもっと居心地が良くなるように手入れをしたい」、「昨年できていたランニングと筋トレが今年は全然できていないので、日々のトレーニングをもっとしたい」と複数あって、しかもすべてが「もっとちゃんとやりたい!」という内容じゃないですか。「カフェ・家・庭・その他もろもろ、どれも完璧にやろうとするとほぼ睡眠時間ゼロ。どれもがやることが多くて、一人の量ではないのは分かっているんですが、やりたいの」とも書かれていましたが、この「でもやりたいの」という気持ちが、これまで礼子さんがいろんなチャレンジをとことん追求してきた原動力なんだろうなと、そのバイタリティに感動したんです。実際に経験してきたことの厚みが半端じゃないので、礼子さんのお言葉は説得力がすごくって。
三好礼子(以下、三好) なんか本当にいろんなことをさせてもらって、こんな面白い人生ないなって思うよね。全部やらせてもらってきたの。自分じゃ何も動いてなくて、ぼーっとしてると仕事がやってくるというか(笑)。でも好きなものが全部仕事になったって幸せだよね。
佐々木 それは今も変わらずですか?
三好 変わらずですね。なんかね、不思議といろんな縁がつながるんですよ。スキューバダイビングを始めたらダイビングのすごい人とつながるし、トレイルランを始めたら山のすごい人とつながるし。だからなんて言うんだろう、私自身は表に出たいとか、有名になりたいとかって気持ちはゼロなのよ。まったくのゼロ!でも表現はしたいの。自分が見たもの、経験したものをみんなに伝えたい病ではあって、生まれてからずっとそうなの。
佐々木 礼子さんがバイクに乗り始めたのは16歳の時と聞きましたが、高校生の頃にはもう何かしたいという思いがあって、バイクに乗り始めたんですか?
三好 そうそう。高校生の時っていうか、生まれた時から旅がしたくて。
佐々木 生まれた時から!?

三好 そうなの。1歳の時から一人で町をウロウロしてて、隣の家のおばちゃんに連れて帰られたりしてて。おかしいよね(笑)。でもその頃にはもう好奇心があったし、1歳ぐらいから、覚えておこうと思ったらそのシーンを覚えてたの。小学1、2年の頃には、道端にある大きな石を見て「大きくなったら見え方が変わってしまうから、今この時の大きさを覚えておこう」とか思ったんだよね。その頃からもう世界一周にも興味があったし、自転車に乗り始めたら行動範囲も広がったし。高校の時とかも、友達と自転車でどっか行くと距離が半端なくて、100km、200kmって走っちゃうんですよ。やっぱり、距離が長いのが好きなんだよねぇ……。なんだかわかんないけど、それが面白いと思うの。その後バイクに出会うと、一気にまた移動距離が伸びていくんだけど、それも面白かったよね。
佐々木 さすがです。その後、本当に礼子さんはバイクで世界中を走られて、2010年から始めたトレイルランニングでも世界中を走ったわけですもんね。あらゆる場所を走った後、ライダーの集まる場所として「ペレファ・カフェ」をオープンされたのが2015年。やっぱりバイク乗りのお客さんが多いんですか?
三好 そうじゃない人もいるけど、9割5分はライダーかな。たまに通りがかりの人がGoogleマップを見て来た、とかもあるけど。面白いのが、話すとどこかで縁がつながるんですよ。来る人がいろんな場所から来るから、「あ、そこ住んでました」ってことが多くて、何県の人が来ても「そこ住んでました」「そこに住んでました」みたいな話になる(笑)。
佐々木 ペレファ・カフェがバイクが共通言語のコミュニティになってますね。
三好 そうね。だから私の店ではあるんだけど、みんなが勝手にうちを交差点に人の縁を繋いでいってくれるというか。ここが日本の中心かしらと思うくらい、西からも東からもお客さんが来てくれるんですよ(笑)。松本の前に静岡の朝霧高原でカフェをやってた時は、横浜方面が多くて、関東や名古屋までくらいの人は来るけど、偏りがあったかな。でも本当にご縁ってあって、今日佐々木さんに会えたのも縁じゃない? 私、自分なりに神社に詳しいと思ってたけど、佐々木さんのお話は知らないことばかりで、本当に面白くて。さすが神社ソムリエ!
佐々木 ありがとうございます。でもカフェにそれだけいろんな場所からいろんな人が来るのは、やっぱり礼子さんの周りに人が集まるってことだと思います。

三好 若い頃は自分がいろんな場所を回って、いろんな人に会うイメージだったけど、今はカフェにいながらにして、いろんな人が来てくれて会えるから面白いよね。この間も、トレイルランの訓練をやってた頃の女の子の仲間が来てくれたんですよ。なんか「あの人どうしてるかな?」ってふと思い出す時って、急にその人がお店に来てくれたりして大体会えるんです。変な話なんだけど、シンクロニシティーというか、世の中ってそういうふうになってるのかなと思いますね。私、最初にパリダカに出た時も偶然の出会いがきっかけだったんです。ミスター・バイクの編集部で会ったんだけど、日本一周中の1年に1回寄っただけの編集部で、私にパリダカを教えてくれた横田紀一郎さんがいたんですよ。「こんなに面白いレースがあるんだ。それをこれから日本に知らせたいんだよ」って言われてね、それを聞いて私は「それは出たいわ」って思っちゃったんですよ。そっから実際に出るまで10年かかるんだけど、その日に会えたのはやっぱすごいなと思うし、今でも横田さんとはつき合いがあるしね。そういう出会いって、偶然だけではないなって思うんですよ。
佐々木 その話とつながるかはわかんないですけど、僕が今日の礼子さんとの出会いで衝撃だったのは、「礼子さんの背中がマジで格好いい」ってことで。世界中を走った人だからなのか、そういう生き方をした人だからそうなのか、僕にはどちらからわからないけど、バイク乗りって、その人のすべてが背中に出るんだなっていうのを今日すごく感じました。

三好 私が今日走りながら思ってたことは、入道雲の形がモクモクモクモク変わってくから、それがもう面白くて仕方なかったのね。結局、私は自然が好きなんですよ。自然を見てるだけで、地球を何周もしちゃうみたいなところがあって。しかも最近忙しくてあまりバイクに乗れなかったから、こんなに気持ちのいい日に乗れたことが本当に嬉しくてさ。走り出して1分後には「なんて気持ちいいんだ!」って叫んじゃってたよね(笑)。
佐々木 その気持ちが見てて伝わってきましたし、また礼子さんのバイクの扱いがめちゃくちゃ上手いし、速いしで、僕が景色を見てる間に、気づいたら見えなくなってたりするんですよ(笑)。とにかく背中から漂うものが全部格好良くて、そこに圧倒された一日でした。
まとめ:斎藤ハルコ/写真:井上 演
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2026年1月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

