文:太田安治/写真:南孝幸
リアルスペック「BMW R 1300 GSアドベンチャー」の特徴

REAL SPEC
BMW R 1300 GS Adventure用フルチタンエキゾースト
価格:10月後半にアールズギアwebにて発表
カラー:チタンポリッシュ・チタンドラッグブルー
適応車種:R 1300 GS Adventure・R 1300 GS/スポーツ/ツーリング(2023年型〜)
販売元:アールズギア

REAL SPEC
BMW R 1300 GS Adventure用フルチタンエキゾースト
価格:10月後半にアールズギアwebにて発表
カラー:チタンポリッシュ・チタンドラッグブルー
適応車種:R 1300 GS Adventure・R 1300 GS/スポーツ/ツーリング(2023年型〜)
販売元:アールズギア
常用する2000〜4000回転でのパワーとレスポンスを向上
世界最強のアドベンチャーモデルとして登場したBMWのR1300GSアドベンチャー。「サイ」をイメージした個性的なデザインが目を惹く車体は装備重量284kgで、車両本体価格は333万5000円から。
一般的なライダーの感覚からすると跨がることさえ躊躇する数字が並んでいるが、BMWモトラッドジャパンの話では想定を超える売れ行きとのこと。確かに高速道路のSAや道の駅で、ツーリングを楽しむGSアドベンチャーを見かけることが増えてきた。
アールズギアの樋渡氏は代々のアドベンチャーシリーズを駆って日本中を旅しているライダーであり、「BMWクラブ・ニッポン」の代表も務めているだけに日本のライダーの使い方は熟知していて、GS乗りの要望も数多く聞いている。そこで樋渡氏もR1300GSアドベンチャーを発売と同時に購入し、ただちに日本人ライダーの使い方、平均的な体格にマッチするパーツの開発、製作に取り掛かったという。

▲GSのエンジンは2000回転程度から強力に車体を押し出す太いトルクが持ち味だが、それゆえにスロットル開け始めの反応が過敏に感じる状況がある。アールズギアの製品はエキゾーストシステム全体を見直し、素直で扱いやすい特性としている。
ライディングポジションやサイドスタンドの傾斜角を改善する小物パーツも揃っているが、なにより気になるのが世界で唯一というGS用のフルエキゾーストマフラー。アールズギアはすでにスリップオンタイプをリリースしているが、理想的なパワー/トルク特性と、疲れないスロットルレスポンスを実現するためにはエキゾーストパイプを含めたフルエキゾーストシステムとしての設計が有利。寸法や仕様を何度も細かく変更し、樋渡氏がツーリングで実走テストを繰り返して完成に至った。
R1300GSユーザーなら承知しているだろうが、市街地やツーリングで使うのは2000〜4000回転台。アールズギアの製品に共通していることだが、最も重視するのは常用回転域でのスロットル操作に対する素直な反応。高回転でのピークパワーアップは二次的なものだ。
試乗して真っ先に感じるのはゼロ発進での力強さで、280kg以上という車重を感じさせない。スロットルオフから僅かに開いていくときの加速に唐突さがなく、舗装路面に土が乗った滑りやすい路面でも安心して開けられる。
5000回転あたりまでの蹴り出し感もノーマルより強く、シフトアップのタイミングが早く(低く)なることでボクサーツインエンジンの味わいを深く堪能でき、ライダーが想定する加減速の感覚とマッチさせることで疲労も抑えられる。
▲上のグラフはノーマル車とのパワー&トルク比較。2000〜4000回転でのトルクが大きく増し、パワーカーブもより滑らかになっている。これらのデータはスロットル全開で計測されているが、開度が少ない現実的な走行条件下ではグラフ以上の違いが体感できる。
排気音はノーマルより若干硬い音質だが、音量はノーマルより静かなのでは?と思わせるほど抑えられている。これも疲労を軽減する重要な要素だ。
新型のGSはエキゾ−ストシステム全体が徹底的に軽量化されているが、オールチタン製のアールズギア製品はさらに軽く、システム全体で約6kgしかない。クランクケースに沿わせたエキゾーストパイプ、純正パニアケースを装着した際にも干渉しない形状のサイレンサーは工芸品を思わせる美しい仕上がりだ。
設計/テストは完了しているが、量産体制が整うまで時間を要するため、価格はアールズギアのWEBにて発表し、販売開始は12月中に予定されている。早く手に入れたい人は電話で予約したほうがいいだろう。
R1300GSアドベンチャー用パーツを紹介

▶ジュラルミン削り出しシフトペダル/税込価格:2万7500円
▶ツアラーステップtype 2/税込価格:3万3000円

軽量/高強度のジュラルミン材をMC旋盤によって削り出し、ブラックアルマイト仕上げとしたシフトペダル。リンク比の変更により、より扱いやすく確実なシフト操作ができる。ツアラーステップはペグ上面を18度前傾させると同時にステップの高さが8mm下がることで足首の負担を軽減してくれる。
▶セットバックライザー/税込価格:4万7850円

ハンドルをノーマルよりも24mm高く、30mm手前に位置させる。身長176cmのテスターでも疲労軽減に大きな効果を感じた。高強度なジュラルミンの削り出しで、耐候性の高いシルバーアルマイト仕上げ。ハーネス/ホース類は純正をそのまま使用できる。
▶サイドスタンドハイトブラケット/税込価格:1万4850円

純正サイドスタンドの接地部にボルトオン装着することでスタンド全長が20mm長くなり、使用時の車体傾斜角度を減らして引き起こしを楽にするアイテム。接地面積は純正比で約1.6倍に増え、軟弱な地盤でのスタンドめり込みを抑止する。
▶アンテナステー/税込価格:1万9800円

アマチュア無線用の追加アンテナを確実に固定するステー。ボディーアースにより、感度向上、ノイズ軽減にも効果あり。トップケース幅430mmまでに対応するショートタイプと、同500mmに対応するロングタイプが用意されている。
▶オリジナルシート(価格は仕様により変動)

ライダーの体格や好みに応じてクッションの厚さ/形状/素材、表皮のパターンや色までも指定できるオリジナルシート製作も受け付けている。既製品ではなく、ユーザーと相談して仕様を決めるオーダーシステムなので、気になる人は相談してみよう。
文:太田安治/写真:南孝幸