まとめ:松本正雅
ヤマハ新型「YZR-M1」の概要

YAMAHA
YZR-M1
V4エンジン搭載車
MotoGPでのライバルメーカーの多くがV4レイアウトを採用する中、長年直列4気筒エンジンで戦ってきたヤマハだが、ついにV4エンジンを搭載する新型YZR-M1を投入する。これまでの伝統と決別し、新たな挑戦に踏み切った形だ。

今回公開されたV4エンジン搭載のプロトタイプは、MotoGP第16戦・サンマリノGPに「Yamaha Factory Racing Test Team」からワイルドカード参戦するアウグスト・フェルナンデス選手のライディングで実戦投入される。
また、決勝翌日・9月15日に開催される公式テストでは「Monster Energy Yamaha MotoGP」のファビオ・クアルタラロ選手とアレックス・リンス選手もこのマシンでの走行を予定しており、開発のテンポも一層早まりそうだ。

ヤマハはこのプロジェクトを「Plan V」と名づけ、V4エンジンと新型マシン開発を並行して進めてきた。開発責任者の鷲見崇宏氏は「厳しい挑戦だが、ヤマハを再び勝利へ導くために全員が100%の力を注いでいる」とコメント。日本と欧州のエンジニアが連携し、グローバルな技術統合を進めていることを強調した。
注目のマシンだが、パワーデリバリー、シャシーバランス、空力性能を一体化させた新設計を導入。現段階では“ストレステスト”として実戦環境でのデータ収集を主眼に置くため、今回のワイルドカード参戦が決定。2026年の本格投入を見据えたプログラムは着々と進行中のようだ。
このV4プロジェクトを支えるのは、テストライダー兼ライダー・パフォーマンス・アドバイザーのアンドレア・ドビツィオーゾ氏と、公式テストライダーのアウグスト・フェルナンデス選手。ドビツィオーゾ氏は「試した瞬間からすぐに気に入った。走るたびに大きなポテンシャルを感じる」と期待のV4マシンを高評価、フェルナンデス選手も「レースするのが待ちきれない」と強い意欲を示している。
さらに、MotoGPにフル参戦するファクトリーライダーのファビオ・クアルタラロ選手、アレックス・リンス選手もテストに加わることで、実戦データとトップレベルのフィードバックを融合。マシンの完成度を一気に高める狙いだ。

新世代のV4エンジンを武器に再び王者奪還を狙うヤマハ陣営。新たな「YZR-M1」がサンマリノでどのような走りを見せるのか…世界中のMotoGPファンがその瞬間を固唾を飲んで見守ることになるだろう。