2025年9月5日から7日にかけて、2025年スーパーバイク世界選手権の第9戦フランスラウンドが、フランスのマニクール・サーキットで行われた。今シーズンも残すはあと4大会。開幕時点では想像ができなかった独走劇、現チャンピオンが得意のトラックでさらにスピードを上げた。

SBKの「GOAT」ジョナサン・レイが2025年限りの引退を発表

8月25日、スーパーバイク世界選手権で前人未到の6連覇を達成したジョナサン・レイが、2025年シーズン限りでフル参戦ライダーを引退すると発表した。

NBAではマイケル・ジョーダン。NFLではトム・ブレイディ。GOATはその競技における史上最高の選手を指す言葉であるが、スーパーバイク世界選手権においてこの言葉が当てはまるのはジョナサン・レイをおいて他にはいない。

北アイルランド出身のレイはBSB(ブリティッシュスーパーバイク選手権)やWorldSSP(スーパースポーツ世界選手権)を経て、2008年にホンダからSBKにデビュー。

ライバルメーカーとの性能差がありながらも優勝を果たすなど非凡な才能を示したレイは、2015年にKRT(カワサキ・レーシング・チーム)に移籍し覚醒。移籍初年度からチャンピオンを獲得すると、そこから無類の強さを見せ6連覇を達成した。

カワサキとともに歴史を作ったレイは2024年からヤマハに移籍し、今季はヤマハでの2年目のシーズンを戦っている。

また、スーパーバイクを主戦場としていたこともあり、鈴鹿8時間耐久ロードレースに出場。2012年にはF.C.C. TSRで優勝を果たし、2019年にはKawasaki Racing Team Suzuka 8Hから出場し、カワサキに26年ぶりの鈴鹿8耐優勝をもたらした。

画像: 前人未到の6連覇を達成したジョナサン・レイ。

前人未到の6連覇を達成したジョナサン・レイ。

SBKでは119回の優勝、264回の表彰台、44回のポールポジション、104回のファステストラップを獲得し、6度ワールドチャンピオンに輝いた。

そんな生きる伝説が2025年限りで降るタイムレースからの引退を発表した。現チャンピオンのトプラク・ラズガットリオグル(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)は来季MotoGPへ挑戦、そしてレイの引退と一時代の終戦を迎えるSBK。新たな才能の出現はいつになるのだろうか。

大得意のマニクールでラズガットリオグルがポールトゥウィン

画像: ライバルに一切の隙を与えなかったラズガットリオグル。

ライバルに一切の隙を与えなかったラズガットリオグル。

第9戦フランスGPの舞台であるマニクール・サーキットは晴天に恵まれた。グリッド順を決めるスーパーポールでは唯一の34秒台に入れたラズガットリオグルが獲得。2番手にタイトル争いを繰り広げているニッコロ・ブレガ(Aruba.it Racing – Ducati)、3番手にはサム・ロウズ(ELF MARC VDS RACING TEAM)が入った。このトップ3はオールタイムレコードを更新する走りを披露している。

土曜日のレース1は気温22度、路面温33度のドライコンディションのなか、21周で行われた。ポールシッターのラズガットリオグルがホールショットを奪いトップでレースを引っ張っていく。

オープニングラップのターン13ではアンドレア・イアンノーネ(TEAM PATA GO ELEVEN)とレイが絡み転倒。レイはコースに復帰するも、イアンノーネはその場でリタイアとなった。

さらに同じターン13の立ち上がりでアルバロ・バウティスタ(Aruba.it Racing – Ducati)、チャビ・ビエルへ(HONDA HRC)、ヤリ・モンテッラ(BARNI SPARK RACING TEAM)も転倒。いきなり波乱の展開となる。

オープニングラップ終了後のオーダーはラズガットリオグル、アレックス・ロウズ(BIMOTA BY KAWASAKI RACING TEAM)、サム・ロウズの順でブレガは4番手に後退していた。

出遅れたブレガだが、持ち前のスピードを駆使して5周目には2番手に浮上。しかし、トップのラズガットリオグルとの差はすでに2秒以上の差がついていた。

ラズガットリオグルはその後もファステストラップを刻み独走体制に。ラズガットリオグル、ブレガ、アレックス・ロウズのトップ3は各自単独での走行となる。

終盤に入ってもラズガットリオグルのペースが落ちることはなく、8秒もの大差を築いてトップチェッカー。得意のサーキットで10連勝を達成した。

2位にブレガ、3位にはアレックス・ロウズが入り、表彰台を獲得している。

2025 スーパーバイク世界選手権 第9戦 レース1 結果

画像: 3メーカーが表彰台を分け合ったレース1。

3メーカーが表彰台を分け合ったレース1。

画像1: resources.worldsbk.com
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強い! ラズガットリオグルがフランスラウンド完全制覇

日曜日の午前に行わたスーパーポール・レースではラズガットリオグルがレース1に続き連勝。ブレガが2位、アレックス・ロウズが3位に入賞した。

最終レース2は、気温23度、路面温度29度のドライコンディションのなか、21周で行われた。

ポールポジションからラズガットリオグルがホールショットを奪い、ブレガが2番手、アレックス・ロウズが3番手で続く。

画像: 一度も首位の座を譲らなかったラズガットリオグル。

一度も首位の座を譲らなかったラズガットリオグル。

ラズガットリオグルは周回を重ねるごとに2番手のブレガとの差を開いていき独走。トップ2はバトルがなく、注目が集まったのは3番手争いだった。

アレックス・ロウズ、ダニーロ・ペトルッチ(BARNI SPARK RACING TEAM)、レイがバトルを展開。中盤にはレイが表彰台圏内の3番手に浮上するも、11周目にはアレックス・ロウズが元チームメイトであるレイとのバトルを制し3番手の座を奪い返してみせた。

アレックス・ロウズが抜け出し、レイ、ペトルッチ、マイケル・ファン・デル・マーク(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)、ビエルヘの4台による4番手争いが勃発。今季限りでSBKを離れることが決まったファン・デル・マークがレイとペトルッチを抜き4番手に浮上する。

しかし、その背後にはバウティスタが迫り、15周目にファン・デル・マークを抜き4番手に浮上。今季は不運が続いたバウティスタだったが意地をみせた。

トップのラズガットリオグルは8秒もの大差を築きトップチェッカー。圧倒的な速さでハットトリックを達成した。

2位にブレガ、3位にはアレックス・ロウズが入り、3レースとも同じ顔ぶれが表彰台を獲得している。

次戦は9月26日から28日に行われるアラゴンラウンド。4戦連続、今シーズン5回目のハットトリックを達成したラズガットリオグルは、ブレガとの差を39ポイント差に広げた。ラズガットリオグルの強さが際立つが、ブレガは2位でのフィニッシュを続けており、まだ逆転の可能性は十分に残されている。

ラズガットリオグルがSBK最終年を有終の美で飾るのか、それともブレガが初の栄冠に輝くのか。残り3大会、目が離せない。

2025 スーパーバイク世界選手権 第9戦 スーパーポール・レース 結果

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2025 スーパーバイク世界選手権 第9戦 レース2 結果

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レポート:河村大志

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