先日行われた鈴鹿8耐2025の決勝レースで3位表彰台を獲得した「ヨシムラ SERT Motul」と、アクシデントを乗り越え33位で完走を果たした「チームスズキCNチャレンジ」。ふたつのスズキチームが見せた誇り高き挑戦と力強い走りをプレイバック!

激戦を制し2年連続の表彰台へ!困難を乗り越え、不屈の精神で8時間を走り切った

8月1日~3日に開催された「2025 FIM世界耐久選手権”コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会(以下、鈴鹿8耐)」。

灼熱の鈴鹿サーキットで繰り広げられた決勝レースは、スズキを駆る2つのチーム、「ヨシムラ SERT Motul」と「チームスズキCNチャレンジ」にとって、それぞれにドラマチックな物語が展開される舞台となりました。

公式予選で4番手の暫定タイムをマークしたヨシムラ SERT Motulは、決勝レースのグリット順を決める最終予選となるトップ10トライアルへ進出。一方でチームスズキCNチャレンジも、3人のライダー全員が2分06秒台という健闘を見せましたが、惜しくもトップ10トライアル進出は逃しました。

そして迎えた土曜日のトップ10トライアル。1人一周だけ走るタイムアタック結果で決勝のグリッドが決まるだけあって、各ライダーは燃費やタイヤマネジメントなどを気にせず本気の走りで挑みます。

ヨシムラは渥美心選手とダン・リンフット選手が順に出走。渥美選手は2分 6秒 828で、ダン選手も2分 6秒 247のタイムでしたが計時予選を超えることはできず、最終的に決勝レースは7番手のグリッドからのスタートとなりました。

しかし、世界耐久選手権(EWC)にフル参戦しているヨシムラ SERT Motulはここからが粘り強い。昨年のディフェンディングチャンピオンの誇りを胸に決勝レースに挑みます。

一方、実験的クラスとなるEXPクラス(エクスペリメンタルクラス)で決勝レースに参戦する「チームスズキCNチャレンジ」は、12番グリッドからスタート。車体のパーツの大半部分をサスティナブルアイテムで再構成し、サステナブル燃料を昨年の40%から100%に変更。改良した新エンジンでの挑戦です。

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こうして迎えた決勝当日は、連日続く35℃を超える猛暑と路面温度が65℃を超える厳しい環境下の中で始まりました。

オンタイムとなる午前11時30分、55台のマシンが一斉にスタートを切るル・マン式スタートで決勝レースがスタート。ヨシムラのスタートライダーはグレッグ・ブラック選手が担当しました。レース開始直後の1周目、グレッグ・ブラック選手が速やかにポジションを上げ、鮮やかなスタートダッシュを見せました。

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耐久性能の高いGSX-R1000Rのポテンシャルを活かし、序盤からトップ争いに顔を出し、1時間を経過した頃には6番手につける安定感のある走りを見せてくれます。

3人目のステアで走った渥美心選手は、冷静な走りで順位を確保しつつペースアップに貢献。中盤には4位へ浮上し、ピット作業も迅速かつ的確に行われ、順位を維持しました。

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一方のチームCNチャレンジは、スタートライダーを務めた津田拓也選手が好スタートを決め、レース序盤で6番手にまで浮上する活躍をみせます。

昨年はEWCクラスの並みいる強豪を相手に、サスティナブルマシンの実験的クラスでありながら総合8位という結果を残しているだけに「表彰台も夢ではない」と思わせてくれる走り。その後もトップ10圏内で安定した走りを見せ、3時間経過時点では、ついに4番手まで順位を上げるなど、好調な走りを続けました。

しかし、レースが半分を過ぎようとする頃、第2スティントを走っていたアルベルト・アレナス選手が、逆バンク手前の左コーナーで痛恨の転倒を喫してしまいます。

ライダーは無事でしたが、マシンは大きく損傷してしまいます。このアクシデントにより、チームはマシンをピットまで運び、約1時間に及ぶ修復作業を強いられることになります。

しかし、このチームの強みは、社内公募で集まった社員たちによる団結力にあります。普段は二輪車開発に携わる社員たちが、協力して懸命にマシンを修復しました。

メカニック、スタッフを含むチーム全員がマシンの修復に全力を注ぎ、かつてない困難にもめげず、約1時間の懸命な作業の末にマシンは再始動!チーム全員が拍手で送り出すシーンには、まさに“人の力”が結晶した瞬間でした。

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一方のヨシムラ SERT Motulは、その後もトップ集団に食らいつき、安定したペースで周回を重ね、上位争いを繰り広げていました。

しかし、第2スティントでマシンを引き継いだダン・リンフット選手に試練が訪れます。スティント開始直後、S字コーナーでわずかなミスから転倒を喫してしまったのです。

幸いマシンに大きなダメージはなく、すぐに再スタートを切りましたが、約40秒のタイムロスは順位を大きく後退させることとなりました。

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誰もが苦しい展開を予想しましたが、その後も集中力を切らしませんでした。ライダーたちは、その後は一切のミスなく、猛暑の中でハイペースな走りを披露します。

ヨシムラのライダーたちの速さに加え、素早いピット作業とミスのないオペレーションが功を奏し、チームは着実に順位を回復。レース中盤には再びトップ3に返り咲き、表彰台の可能性が見えてきました。

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しかし、レース終盤、ヘアピンで発生した他チームの転倒によりセーフティーカーが導入されると、それまで開いていたタイム差が一気に縮まり3位争いは熾烈なものに。昨年のバトルを彷彿とさせるテール・トゥ・ノーズの激戦が繰り広げられます。

残り1時間を切った頃には再びクラッシュが発生し、2度目のセーフティーカーが導入されるという波乱の展開。これにより、チーム間のギャップが再び変わり、ピットインのタイミングも相まって、ヨシムラ SERT Motulは3番手に浮上しました。

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そして、最後のスティントを担当したダン・リンフット選手は、序盤の転倒を挽回するかのように攻めの走りを披露。

日が沈むサーキットを駆け抜け、見事に3位でフィニッシュラインを通過しました。序盤の転倒から見事にリカバリーを果たし、2年連続の表彰台獲得という快挙を成し遂げたのです。

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また、チームスズキCNチャレンジはレース復帰後も懸命の走りをみせ、新しいエンジンや環境配慮部品の性能を証明する走りをみせてくれました。

今大会は転倒トラブルにつき、順位を大幅に上げることは叶いませんでしたが、その熱い走りはチームスタッフに大きな力を与えてくれました。

最終的には185周を走り切り、33位で完走。最後のライダーを務めた津田選手も、諦めない不屈の精神をみせ、最後まで走り切ってチェッカーを受けました。レース終了後に「トラブルがチームをひとつにまとめ、経験が宝になった」と鈴木社長も語り、順位以上の価値をこの挑戦に見出しました。

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鈴鹿の灼熱の8時間、2025年の鈴鹿8耐は単なる耐久レースではなく、未来と伝統が交錯する特別な舞台でした。ヨシムラ SERT Motulは確かな戦略とチーム力で2年連続の表彰台へ。その強靭さと安定感は、まさに“耐える力”の象徴でした。

一方のチームスズキCNチャレンジは、環境という視点を積極的に取り入れ、“走りながら考える革新”を体現。転倒・修復というドラマを乗り越えた完走は、レース以上の感動と意義をもたらしました。

(下に続きます)

この夏の鈴鹿はただのレースではなく、スズキが目指す未来と伝統が響き合った一大ステージでした。ヨシムラはさらなる高みを目指して、チームスズキCNチャレンジは環境技術の先導役として、来年以降にも期待が高まります。

真夏の日差しが照りつける中、両チームが見せた挑戦と絆、そして誇り高い走り……そのすべてが、観る者の胸に深く刻まれました。

次戦の第4戦EWC 2025はいよいよ最終戦です。9月20-21日にフランス/ポールリカールサーキットで開催されるボルドール24時間ですべてが決まります。

最終戦にも注目! そして!

スズキが大暴れしてくれるとレースは格段に面白くなる! 改めて、そう感じさせてくれた最高の鈴鹿8耐でした!

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