これまで巡った神社の数は1万5000社を超える神社ソムリエの佐々木優太が、バイク好きのゲストにぴったりの神社へご案内するこの連載。今回のゲストは世界的ファッションデザイナーであり、現在は自らの名を冠したバイクウエアを手掛ける荒川眞一郎さんがご登場くださいました!
まとめ:斎藤ハルコ/写真:森 浩輔
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2025年8月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

荒川眞一郎×佐々木優太 開運ツーリングトーク

画像: 「バイクウエアでは、それまでと全然違う服の作り方が衝撃でした」(荒川眞一郎) 「ご自分がデザインされた服を着て走る姿が格好良かったです!」(佐々木優太)

「バイクウエアでは、それまでと全然違う服の作り方が衝撃でした」(荒川眞一郎)
「ご自分がデザインされた服を着て走る姿が格好良かったです!」(佐々木優太)

フランスでの不思議体験を大甕神社で再び体験!?

佐々木優太(以下、佐々木) 早速ですけど、以前、荒川さんがドゥカティのMH900eに乗ってる記事を拝見したのですが、今もお持ちなんですか?

荒川眞一郎(以下、荒川) それがつい先日、手放しちゃったんですよ。

佐々木 じつは僕、地球上のバイクで一番MH900eが好きなんです。「いつか手に入れたい」と思い続けていて。

荒川 売るとき、佐々木さんに買ってもらえば良かったですね(笑)。

佐々木 今日はビューエルですが、やっぱり2気筒がお好きなんですか?

荒川 何も意識はしてないんですけど、軽いからですかね? MHの前はMVアグスタのF4に乗ってました。マッシモ・タンブリニーニのデザインがすごく憧れで。でもアグスタなんて高価で、手の届かないバイクだと思っていたんです。そしたらある日、750のF4セリエ・オロに乗る知り合いが、アグスタについてレクチャーしてくれたうえに、半年後に「いい出物あったよ」と連絡をくれたんです(笑)。これは出会ったのが運命かな、と乗り始めてからは、本当にアグスタにはハマりましたね。乗っていいし、見ていいし、デザインも素敵だし。

佐々木 タンブリーニで言えば、ドゥカティ916もそうですよね。僕、916に乗ってた時期があるんです。

荒川 あ~! いいですね。僕は以前、748に乗ってましたよ。

佐々木 イタ車が続いたのは、イタリアにシンパシーを覚えたからとかですか?

荒川 それはありますね。初めてアグスタにまたがった時に「うわ、格好いい」と思ったと同時に、女性的なフォルムだなと感じたんです。やっぱりイタリアのデザイナーは女好きなんだって(笑)。
それに、僕のもう一人大好きなイタリア人デザイナーに、レオナルド・フィオラヴァンティさんって、イタリアのピニンファリーナ社に勤めてた人がいるんですよ。フェラーリの512BBとか308GTB、365GTB/4デイトナとかをデザインした人で、本当に尊敬してるというか、僕にとってはタンブリーニさんと彼が、好きなイタリア人デザイナーの二大巨頭だったんですけど、この間、YouTubeに2時間くらいのインタビューがあがってたんです。ずっと聞いてたんですけど、あまりのいい加減さにちょっと笑っちゃいましたね(笑)。

佐々木 イタリア人らしい感じ?(笑)。

荒川 僕はフェラーリにもアグスタにも女性的なシルエットを感じてて、そこを哲学として狙ってるのかなと思ってたんですね。でもそのインタビューで軽く「あれはね、コーラの瓶のマネ」って(笑)。

画像: 荒川眞一郎×佐々木優太 開運ツーリングトーク

佐々木 あはは!(笑)荒川さんが免許取ったのはいつ頃だったんですか?

荒川 大型はパリから戻ってからですね。中免は持ってたので、パリに行く前はSRXとかに乗ってました。

佐々木 パリで車やバイクは乗らず?

荒川 メトロが便利なので乗り物が必要なくて。パリ全体が世田谷区ぐらいの広さなので、ちょっとしたとこなら歩いた方が速いんです。そもそもパリでは仕事場に篭ってずっとミシンで縫ってたから、フランスにいたけど、どこにいるのかわかんないような生活してたんですよ。

佐々木 フランス滞在中に、ファッションショーの最高峰と言われるパリコレで発表したり、ホンダとのコラボレーションをされていたと。10年ってすごいですよね。お仕事の軸足をバイクウエアに移したのは、どうしてだったんですか?

荒川 やっぱりファッションやってるといろいろあって、良いことも悪いこともあったんですよ。会社が大きくなっていくとスタッフも増えて、売れないと会社を維持できないし、どんどん自分で何を作ってるのかわかなくなってきて、自分の中で納得いかなくなってきた。そんな頃にたまたまクシタニさんとコラボする話があって、「僕はシルエットが細いバイクウエアを作りたいんですよ」って提案をしたら、やりましょうと。
その時にバイクウエアづくりのノウハウを教えてもらいました。今まで作ってた洋服とは全然違う作り方だったんですよ。それまでは、どこかのアトリエで綺麗なモデルに着せて「う~ん」とか考えながらフィッティングしてたのが、もう針が刺さったままのウエアを着て高速道路を走って、「ここがちょっと課題だね」「風ですごいバタつきあるね」って感じで落とし込んでいく作り方に変わって。それがめちゃめちゃ衝撃的で面白かったんです。

佐々木 その時の経験が、現在のウエアづくりにも活かされてるわけですね。

荒川 そういえば今日、大甕神社でフランスにいた時のことを思い出したんですよ。当時は僕、宗教は関係なく、日曜日に近所の教会に行ったりしてたんです。

佐々木 クリスチャンなわけではなく?

荒川 ないです。教会の祭壇はマリア様かキリストの像が必ずあるんですけど、そのマリア像が笑ってこっちを見てると感じる時は、自分がすごく充実してる時なんですよ。ものづくりをちゃんとしてて、純粋に服を作ってる状態だとちゃんと目が合う。でも何か邪念があって、自分に疑心暗鬼の時は、全然目が合わないんですよね。だから教会で、マリア像が笑ってこっちを見てるかどうかを、自分の状態のバロメーターにしていました。

佐々木 まさに今日ご案内した大甕神社の「笑龍」じゃないですか! どうでした? 今日の龍は笑ってましたか?

荒川 めっちゃ笑ってました(笑)。今の自分はいい感じってことですかね?

佐々木 ってことだと思います!

荒川 良かった。今日は佐々木さんから本当に知らない神社の話ばかり聞けて、テレビの『ブラタモリ』みたいでした。

佐々木 嬉しいです。僕は今日、ご自分でデザインした服を身にまとって、ビューエルに乗る荒川さんの姿がめちゃくちゃ格好良くて感動してました。将来、自分が荒川さんの年齢になった時に、今の荒川さんのようなイケオジになりたいなと思いましたもん。なれるよう頑張ります!

今回の食事処はこちら

画像: 麺’s Bar MOG 茨城県日立市大みか町1-1-1 大みか中央ビル101

麺’s Bar MOG

茨城県日立市大みか町1-1-1 大みか中央ビル101

もちもちの自家製麺を使った種類豊富な絶品油そばが楽しめます!

僕が大甕神社へ参拝に上がる際は必ず立ち寄りたいと思っているほど、お気に入りの油そば専門店です。今回のオーダーは、あっさりしてるのに食べごたえは抜群の「ゆず塩そば」(税込890円)。

よく混ぜて、薬味として玉ねぎのみじん切りを山盛り入れるのが僕の好みです。残りが少なくなったら、ご飯を入れても、割りスープを入れるのもおすすめ。

バイクはお店裏手の駐車場スペースに停めさせてもらうことになるので、ひとことご相談すると安心です。

画像13: 世界的なファッションデザイナー・荒川眞一郎さんとゆくバイク旅【神社ソムリエ・佐々木優太の開運ツーリング】
画像14: 世界的なファッションデザイナー・荒川眞一郎さんとゆくバイク旅【神社ソムリエ・佐々木優太の開運ツーリング】

まとめ:斎藤ハルコ/写真:森 浩輔
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2025年8月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

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