まとめ:斎藤ハルコ/写真:森 浩輔
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2025年8月号に掲載したものを一部編集して公開しています。
今回のゲストはファッションデザイナー・荒川眞一郎さん

今回のゲスト
荒川眞一郎(あらかわしんいちろう)さん
1966年群馬県生まれ。1992年にパリのスタジオ・ベルソーを卒業。1993年、自身のブランド「シンイチロウ アラカワ(SHINICHIRO ARAKAWA)」を立ち上げ、パリコレクションに初参加。1995年には東京でもコレクションを発表。バイク好きで知られ、2007年からモーターサイクルウエアのラインをスタートした。現在は銀座にショップ「GINZA 6A」(予約制)、軽井沢に「Canarino SHINICHIRO ARAKAWA」(営業日は公式HPで要確認)を構える。
荒川眞一郎さんの愛車を紹介

ビューエル
XB9S
購入から3年目というXB9Sライトニングはビューエル25周年記念限定プレート付き。以前はXB12Sライトニングにも乗っていたそうで、「作り手の情熱を感じるバイクが好きです」とのこと。
XB9Sは燃料タンクを兼ねたメインフレーム、スケルトンのタンクカバー、限定カラーのメーター、特徴的な形状のスイングアームなどお気に入りポイントが満載だそうです。




細部もSHINICHIRO ARAKAWAです

ライダーの必需品とも言えるニットキャップ。水玉模様は「SA」の点字です。

バイクでコーヒー豆をピックアップする際に便利なショルダーベルト付きの防水コットンバッグ。

荒川さん自身が愛用しているSHOEIのEX-ZERO専用デカールも販売中。

ブレンボのオイルタンク「S15A/B」に適合するオリジナルタンクキャップ。

シートのブランドロゴはオーダーによるオリジナルで残念ながら非売品。

荒川眞一郎さんの目標&お悩み
目標:バイクウエアのユーザーに貢献したい
お悩み:もう少し余裕のある自分の時間を作れるようになるといいな

神社ソムリエ・佐々木優太/参拝した神社は1万5000社以上、受けた御朱印は4400を超える。ラジオパーソナリティーやテレビMCとして活躍し、神社にまつわる執筆や講演もしています。愛車はハーレーダビッドソン・XL1200NS。月に1回ペースで「佐々木優太の開運!ほぼトーク&ライブ」開催中。愛車はハーレーダビッドソン・XL1200NS。
YouTubeチャンネル:神社ソムリエのあやかりチャンネル
バイクファッションを手掛けるパリコレデザイナーが登場!
僕、佐々木優太が、全国の神社を参拝して得た知識や経験を活かした〝神社ソムリエ〟として、ゲストの人柄や願い、目標に合わせた神社へとご案内しているこの連載。今回のゲストはファッションデザイナーの荒川眞一郎さんです!
20代にして自らブランドを立ち上げ、パリコレにも参加した世界的デザイナーの荒川さんは、1997年にHondaとのコラボレーションによるコレクションを発表したことをきっかけに、ライディングウエアを手がけるようになりました。
現在はモーターサイクルウエアブランドとしての「アラカワシンイチロウ」を展開しながら、世界耐久選手権に参戦中の「TSR(テクニカル・スポーツ・レーシング)」とのコラボレーショングッズや、出身地である群馬県桐生市の総合鞄専門店で、ランドセルの大人気ブランド「モギカバン」とのコラボモデルなどを発表しており、いずれも人気となっています。
そして当然ながら、荒川さん自身がバイク好き。現在の愛車ビューエルも個性派ブランドですが、これまでのバイク歴もかなりユニークです。
その中には僕の“人生で最も憧れたバイク”であるドゥカティ・MH900eも含まれていたので、ついつい僕も興奮してしまいましたが(笑)、荒川さんのデザイナーとしての美学も感じるバイクトークをお聞きできたので、そちらもお楽しみください!
ツーリングの目的地は茨城県の大甕神社

大甕神社
おおみかじんじゃ
茨城県日立市大みか町6-16-1
紀元前660年創建とされる織物の神と星神を祀る神社
本殿が約5億年前のカンブリア紀の地層の上に建つことでも知られる大甕神社。主祭神に織物の神様タケハヅチノミコト、地主神に星の神様ミカホジカガセオをお祀りしています。
タケハヅチノミコトは、武神で知られる鹿取・鹿島の神でも征服できなかったミカボシカガセオを宿魂石(しゅくこんせき)に封じ、この地を平定したと伝えられています。国道6号沿いの参道から大鳥居をくぐると鳳凰が羽ばたくような形の荘厳な神門があり、写真は特別にその神門前で撮影させていただきました。

\ 荒川慎一郎さんだから /
おすすめの3つの理由
1.主祭神のタケハヅチノミコトは織物の神様
→バイクウエアを手掛ける荒川さんにピッタリ
2.磐座に鎮まる地主神は地域のヒーロー星神様
→星神様と布の神様の最強御神徳にあやかる
3.笑っているように見える拝殿の彫刻「笑龍」
→笑う龍の姿が余裕のある自分時間につながる
封じた神様と封じられた神様の二柱をお祀りする最強神社
今回、荒川さんをご案内したのは茨城県日立市に鎮座する大甕神社です。創建は紀元前に遡るとされる古社であり、大ヒット映画『君の名は。』のスピンオフ小説にも登場した神社でもあるので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
ご案内したいちばんの理由は、織物の神様が主祭神なので、さまざまな布を扱う服飾デザイナーの荒川さんにピッタリだということ。ですが、もちろんそれだけではありません。
大甕神社は日本神話でも有数の武神でも征服できなかった星の神様と、その星の神を布、魂を岩に封じ込めた織物の神という、異なる意味で最強の二柱をお祀りしている神社なことから、「バイクウエアのユーザーに貢献したい」という荒川さんの目標への強い御神徳が期待できるのではないかと考えたのでした。

また、一般的なファッションブランドに比べて小規模生産のバイクウエアブランドは、コストも手間暇もかかることから、「もう少し余裕のある自分の時間が欲しい」とおっしゃっていた荒川さん。拝殿に刻まれた珍しい“笑う龍”の彫刻にあやかり、明るい気分になっていただこう! という狙いもありました。
さらには関東平野が終わり、阿武隈山地の始まりという、地層学的なターニングポイントに建つ神社にご案内することが良き転機となり、今回の参拝がお仕事にも、荒川さんご自身にもさらなる発展につながればと考えたのです。
★参拝ではココに注目!
1.勇猛果敢で知られた神様が鎮まる磐座

拝殿の後方にそびえる岩山全体が、星の神様ミカボシカガセオの荒魂を封じ込めたとされる「宿魂石」。
その頂上に建つ織物の神様タケハヅチノミコトをお祀りしている本殿に参拝に上がるには、“鎖場”のある岩山の参道を登らなくてはいけないので、靴選びにはご注意。
さらに境内には、日本神話で有数の武神達にも屈しなかったミカボシカガセオを地域のヒーローとして称える甕星香々背男社もあり、他では見られない五芒星が彫られた珍しい神額を見ることができます。


2.拝殿の笑龍をお見逃しなく

昭和8年に造営された拝殿には、彫刻師・後藤桂仙による彫刻が施されています。特に屋根の中央部分に掘られた龍は、正面から見るとまるで笑っているように見えるうえに、笑龍=昇竜と読みが同じであることから縁起が良いと人気を集めています。

3.古事記に登場する長鳴鶏(ながなきどり)

太陽の神様・アマテラスオオミカミが岩屋に隠れ、世界が闇に包まれたという「天岩戸(あめのいわと)」伝説。古事記で知られる神話に登場する「長鳴鶏(ながなきどり)」として有名な天然記念物の鶏、東天紅(とうてんこう)が境内で大切に飼育されています。

4.悪縁を断ち切る“境界石”


じつは「縁切りスポット」としても有名な大甕神社。境内にある「境界石」に縁切りの御札を貼り、石の下側にある穴をくぐると悪い縁を断ち切り、開運を祈願することができます。
境界石の名は、神社が鎮座する土地が関東平野と阿武隈山地の境界であることに由来しています。
大甕神社の御朱印

大甕神社が頒布している通常の御朱印は「大甕神社」と書かれたものと、金文字で「天甕星」と書かれた2種類(上写真)。
荒川さんは織物の神様をお祀りする神社らしい麻で奉製された災難除守(下写真)も受けていました。麻は祓いの神事に使用される神社に縁の深い素材でもあります。
