世界中で高い評価を得ている日本の4大メーカーは各国の需要に応えるさまざまなモデルを展開していますが、中には日本市場ではなかなかお目にかかれない珍しいモデルも数多く存在します。ということで、毎週火曜日に“知る人ぞ知る”激レアモデルを紹介するこの新連載。3回目はヤマハ・TW200の登場。なんと、まだ販売してる、れっきとした現行車なんですよコレが!

1990年代のストリートカスタムを牽引した1台

画像: YAMAHA TW200 販売国:アメリカ、カナダ、トリニダード・トバゴ等 総排気量:196cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:790mm 車両重量:126kg 現地価格:4999ドル ※約73万6477円 www.yamahamotorsports.com

YAMAHA
TW200
販売国:アメリカ、カナダ、トリニダード・トバゴ等

総排気量:196cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:790mm
車両重量:126kg

現地価格:4999ドル
※約73万6477円

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1987年に初代が登場したヤマハのTW。車名のTWは「トレール・ウェイ」の略称で、道なき道を走破するアドベンチャーバイクとして誕生しました。オフロードで安定したトラクションを得るための「バルーンタイヤ」と呼ばれる極太のタイヤを装着し、外観はなかなかユニークでした。

画像: YAMAHA TW200(1987)

YAMAHA
TW200(1987)

ただ、軽量・スリムな車体に組み合わされたエンジンは中低速での粘り強さが魅力の196cc空冷シングルで、高地補正装置の付いたキャブレターが採用されるなど、個性的なルックスとは裏腹に、純粋にオフロードを楽しむために開発された生粋のトレールバイクだったのです。

ところが、デビューから10年近くが過ぎた1990年代後半になると、そんなTWを取り巻く環境が大きく変わります。この頃「ストリートカスタム」と呼ばれたワイルドなスタイルのカスタム手法が爆発的に流行り、価格が安く手頃で、前後バルーンタイヤのユニークなスタイルを備えたTWは、カスタムベースとして引っ張りだこになるのです。

画像: YAMAHA TW200E(2001)

YAMAHA
TW200E(2001)

ヤマハもそんな空気を敏感に察知。丸目ヘッドライトにフロントディスクブレーキ、オンロード走行も快適な亀甲パターンのタイヤなどを採用したTW200Eを2000年に発表。同年大ヒットしたドラマ『ビューティフルライフ』に主人公の愛車としてTW200が登場すると、ブームは絶頂を迎えます。

この頃「ロンスイ(ロングスイングアーム)」「ロンホイ(ロングホイールベース)」「スカチューン(バッテリーレス化してシート下がスカスカな状態のこと)」なる呪文がバイク界を飛び交い、TWに乗るライダーを「ティーダバー」と呼んだりと、なかなかの過熱ぶりでした。

その後TWは排気量をアップしてTW225となり、2008年に排出ガス規制の影響で販売終了となるまで、手頃なストリートバイクとして根強い人気を誇るロングセラーとなったのでした。

ところがこのTW、北米を中心とした海外では「別の人生」を歩んでいたのです。

デビューから38年。個性も、魅力も、あの頃のままで

画像1: www.yamahamotorsports.com
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時は2001年。そう、日本国内では街を「ティーダバー」たちが颯爽と駆け抜け、見かけるTWの大半がロンスイのスカチューンで…という頃。国内ではTW200は丸目のストリートバイクへと変容しましたが、北米を中心に輸出されていた海外向けのTW200は頑なにその姿を変えず、ストイックなオフロードモデルとして地道に販売されていくことになります。

森林資源が豊富で、田舎の町だと楽しい林道がたくさんあったりするアメリカやカナダでは、トレールモデルは野山を駆ける楽しい相棒。ということで、軽量・コンパクトで足つきも良く、お値段も手ごろなTWは現地で超ロングセラーの道を歩み始めたのでした。

画像2: www.yamahamotorsports.com
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2000年に丸目ヘッドライトになったTW200Eとメカは基本的に同じで、エンジンも排気量をアップさせることなく196ccのまま。キャブレターが変更され、高地補正機能はなくなったほか、揮発ガスを吸着して大気中への放出を防ぐチャコールキャニスターが標準となっています。

画像3: www.yamahamotorsports.com
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フロントブレーキはTW200Eと同じφ220mmのディスク。タイヤサイズは同じなんですが、国内モデルがオンロード走行を視野に入れた新パターンを採用したのに対し、こちらはデビュー当初から一貫してブロックタイヤ。最初のコンセプト通り、オフを楽しむ生粋の1台なのであります。

画像5: www.yamahamotorsports.com
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1974年、アメリカで制定された最高速度制限法の関係で、高速道路での最高速度が55mph(約88km/h)に規制され、当時の市販車は速度計に「55」の目盛りがありました。

その後1987年には制限が緩和され、1995年には撤廃となるのですが、その頃から変わっていないTWのスピードメーターには、しっかり「55」の赤文字が刻まれています。ちなみにコレ、1987年当時のものではなく、2026年型のメーター。歴史を感じさせるひとコマです。

画像: www.yamaha-motor.ca
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ウインカーの形状がテーパー風のもの(それでもいまの基準からしたら十分デカいけれど…)に変わっていたり、マフラー出口が微妙に違ったりと、細やかな変更を受けてはいますが、基本を変えることなく38年。TW200は、北米の地で、今なおながーく愛され続けています。

ワイルドなカスタム車もカッコいいのですが、あの頃のままの姿で野山を今でも駆け巡っているTW200の姿を見ると、なんだかノビノビしていて、幸せそうに見えるのは気のせいでしょうか。
まとめ:松本正雅

ヤマハ「TW200」の主なスペック・価格

全長×全幅×全高2090×820×1120mm
ホイールベース1325mm
最低地上高265mm
シート高790mm
車両重量126kg
エンジン形式空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
総排気量196cc
ボア×ストローク67×55.7mm
圧縮比9.5
最高出力NA
最大トルク10.1ft-lb(1.4kgf・m)/7000rpm
燃料タンク容量7L
変速機形式5速リターン
ブレーキ形式(前・後)φ220mmシングルディスク・ドラム
タイヤサイズ(前・後)130/80-18・180/80-14
乗車定員2人
現地価格4999ドル(※約73万6477円)

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