文:太田安治/写真:松川 忍、南孝幸
リアルスペック「CB1000ホーネット用フルエキゾーストマフラー」テスト&レポート

REAL SPEC
CB1000ホーネット用フルエキゾーストマフラー
税込価格:32万4500円 (チタンポリッシュ)/33万円 (チタンドラッグブルー)
適応車種:CB1000HORNET/SP(2025年型〜)
販売元:アールズギア
俊敏さが魅力のホーネットに街乗り、ツーリングでの扱いやすさをプラス
アールズギア代表の樋渡氏はかってワークスチームのレーシングライダーとしてGPレーサーの開発にも深く関わった。そこで学んだのは最高出力のように数値で判断する「量」ではなく、ライダーがコントロールしやすいエンジンの過渡特性、不安なく攻め込めるハンドリングといった「質」の重要さだという。
その考えは自らが開発を行う同社の製品に反映され、単なる機能部品ではなく、オートバイの魅力を底上げするカスタマイズパーツとしての造形と仕上げに活かされている。
例えば今回試乗したCB1000ホーネットSPの場合、ピークパワーの向上は3PS程度だという。世界耐久選手権のトップチーム、F.C.C.TSRホンダフランスに協力してCBR1000RR-Rのレース用フルエキゾーストシステムを提供しているアールズギアにとって、さらにピークパワーを上げることは難しくないはずだが、樋渡氏は「公道で良さを感じられなければ意味がない」と言い切る。
ホーネット/SPに搭載されているエンジンはどちらもCBR1000RR(SC77型)用をベースとしてストリート向けに仕様変更したもの。両車を比較試乗した印象では、スタンダードのホーネットはSPよりも低回転域でスムーズに反応する反面、トップエンドに向かう回転上昇フィールはSPよりもおとなしい。

スタンダード仕様のCB1000ホーネット。
逆の言い方をすると、排気バルブを備えたSPは高回転域でパワーが出ている分、低回転域では力強さを感じにくい。交互に乗り比べて判る程度の差なのだが、違いがあることは間違いない。
だが、リアルスペックマフラーを装着したSPは2000回転あたりからの力が分厚くなり、アイドリング回転から何事もないように発進できて3000回転以下でシフトアップしてもスムーズさを失わない。
公道での試乗なので高回転域のパワーアップは感じ取れなかったが、ピークで3PSアップなのだから、排気バルブを備えなくても性能的に犠牲になった部分はないはず。しかもフルチタン製だけにエキゾーストシステムの総重量は3.8kgと、純正より7kg以上軽いのだ。
加えてシリンダー/クランクケースに沿わせたエキゾーストパイプレイアウトと溶接の美しさ、澄んだ排気音も所有感を引き上げてくれる大事な「質」の部分。どの部分を見てもアールズギアのクラフトマンシップを強く感じさせる。

約8kgの軽量化で運動性能も向上。直列4気筒らしい連続音が耳に心地よく響く。もちろんJMCA・政府認証マフラーなので車検もこのままでOK。

写真の製品は「チタンドラッグブルー」。焼き色を着けず、チタン素材本来の色を活かした「チタンポリッシュ」も用意されている

シリンダーからクランクケースまでに美しく沿わせたエキゾーストパイプと、車体に沿わせたサイレンサーの美しさがアールズギア製品らしい。

エキパイの管長と4→2→1の集合方式でサブチャンバーや排気バルブに頼ることなく低回転トルクとパワーをバランス良く引き上げている。

アルミ削り出し製法でなければ不可能な造形美と高い精度が特徴のライディングステップは発売に向けて開発中。
\GB350C用もラインナップ/
ワイバンクラシック スリップオンマフラー

WYVERN CLASSIC
GB350C スリップオンマフラー
税込価格:7万9200円
適応車種: GB350C(2024年型〜)
販売元:アールズギア
手軽に装着できるスリップオンマフラーにGB350C用が登場
低回転域でのトルクアップを重視した設計により、発進加速の力強さ、低回転域走行での粘りを強化。サイレンサーはステンレス製で重量は2.4kg(純正は4.3kg)。エンドに向けて絞り込んだトラディショナルデザインがGB350にマッチしている。スリップオンタイプなのでDIY交換も簡単だ。

文:太田安治/写真:松川 忍、南孝幸