文:宮崎敬一郎/写真:南 孝幸/取材協力:日本ミシュランタイヤ
ミシュラン「ROAD W GT」タイヤ・インプレ(宮崎敬一郎)

MICHELIN
ROAD W GT
問い合わせ:日本ミシュランタイヤ
www.michelin.co.jpROAD W GT | サイズ表 |
フロント | 130/70R18 63H |
リア | 180/60R16 74H |
200/55R16 77H |
ヘビー級の巨大な車体を軽々と走らせる新タイヤ
ミシュランの最新スポーツタイヤ「ロード W GT」はゴールドウイングのような大型の重量級ツアラーを念頭に開発された耐高荷重タイヤだ。
現在リリースされているサイズから検索すると前後セットで装着できるのは、これ以外では今は無きゴールドウイングのF6B。そしてハーレーのFSLTスポーツグライドくらいだが、リアだけなら機種はさらに増える。よってゴールドウイングとは念入りなフィッティングが図られた上でのリリースなのだろう。
まず装着車のゴールドウイングの走行性能はかなり特殊だ。この巨大な大陸型ツアラーは、現行のシャシーレイアウトになってから走りを一変させた。この巨体であってもそのハンドリングタッチは重心の低さからとても軽く、運動性能もこのサイズから像像できないような機敏さを発揮する。

特にフロントまわりの頑丈さ、それに芯のあるしっかりとした車体の全体剛性のバランスはすばらしい。フルバンクからフルバンクへの切り返しを動揺なしにカッチリと決めてしまう。
フロントには既存のフォークシステムより格段に高い剛性を確保できる前向きのWウィッシュボーン式懸架のアルミ鋳造フォーク。メインフレームは強靭な極太ツインチュープでリアアームもそれに負けないくらい太いので、全長のあるこのバイクをしっかりと支えている。
しかし、この重さと、丈夫な車体によって「逃げ」が少ない分、それを支える膨大なストレスはタイヤが路面との間で全て受け止めることになる。ゴールドウイングのタイヤに課せられた要求はかなり苛酷なはずだ。

深いバンク角でも常に安定した走り
これまでサーキットを含めて様々な条件下でこのバイクを走らせてきたが、OEMタイヤに対する不満を感じたことは無かった。それはこのタイヤでも同じだが、いくつかの秀でた部分も確認できた。
それはタイヤそのものの剛性の高さだ。タンデムや重積載のチェックができなかったのが悔やまれるが、まずトレッド面のサイドに至るまでしっかりとしたコシがあることをフルバンク時に確認できた。
コーナリング中のライン変更や、微妙な加速、減速をしても車体本来の安定性を崩すことなく素直に応答する。特にリアの節度がすばらしく、粘っこさが無いのにしっとりと路面を捉えながら衝撃を吸収する。

フロント

リア

たぶん、タンデムライダーと50kgくらいの荷物を載せても良い意味でドライな応答は変わらないだろう。しかし、こんなに強度があるにもかかわらず、タイヤの跳ねが少ないように感じる。例えばライディングモードを「TOUR」にすると前後サスはダンパーイニシャルが弱くなり、非常に快適な乗り心地を極低速域から速度レンジまで実現するようになっている。
このソフトな動きになった状態で、かなり荒れた路面も走ったが、かなりペースを上げないとバタバタとした跳ねが起きないのだ。しかも深くリーンさせて、タイヤのエッジを使うようなコーナリングをしても、ラインが簡単にアウトに逃げない。
ゴールドウイングなりのリーンアングルになるが、タイヤの反発力、衝撃吸収特性はトレッドの幅広いアングルでフラット。タイヤ自体の衝撃吸収特性が上手く車体とマッチングしている。直接OEMタイヤと比べたわけではないが「落ち着きがいいな!」と感じたのはこんなときだった。
このロード W GPは高荷重耐性を上げるために軽くて丈夫なアラミド繊維のシールドが外周方向に配されているという。このような技術が威力を発揮しているのだろう。重いだけでなく、硬くて身軽で意外なほど元気よく走るゴールドウイングだ。それをスポイルしないようにトレッド面の頑丈さを始め、サイドウォールの無駄な変形を抑えた造りなど、徹底的にマッチングが図られているのだろう。

プレミアムバイクに相応しい シルキーな乗り心地
ミシュランのスポーツ・ツーリングタイヤで実証済みの「サイプテクノロジー」と「シリカコンパウンド」の採用で、ウエット路面でも高いグリップ性能を誇る。タイヤ本体の衝撃吸収特性が非常に高いので、タンデムライダーと荷物を満載しても高級車に恥じない秀逸な乗り心地を実現している。
文:宮崎敬一郎/写真:南 孝幸/取材協力:日本ミシュランタイヤ