レポート:黒石研仁(スマートモビリティJP編集部)
※この記事はウェブサイト「スマートモビリティJP」で2025年5月17日に公開されたものを一部編集し転載しています。
法律上「半分クルマ、半分バイク」という不思議なEV
今回紹介する「eNEO(イーネオ)」シリーズは、「前輪1つ、後輪2つ」という3人乗りのEV。トゥクトゥクのような見た目が印象的で、ハイパワーモデルの「NEO-ONE(ネオワン)」と通常モデルの「NEO-Light」の2モデルをラインナップしている。

左がハイパワーモデルの「NEO-ONE」で、右が標準モデルの「NEO-Light」。
同シリーズの最大の特徴は、道路交通法では「普通自動車」に、道路運送車両法では「側車付軽二輪」に分類される不思議なモビリティである点だ。
クルマとしての要素は「普通自動車免許が必要」ということと「ヘルメット着用義務がない」ことなどが挙げられる。
一方でバイクとしての要素は「シートベルト不要」、「車検不要」、「車庫証明不要」、「サイドドアの設置不可」という点が挙げられる。
ざっくりといえば、車両の運転方法はほぼクルマ、維持費はバイクなみという、両者のいいとこ取りをしたような運用が可能だ。
原付二種 | 側車付軽二輪 | 軽自動車 | |
運転免許 | 普通自動二輪車 | 普通自動車 | 普通自動車 |
車体サイズ | 全長2.5m以下 全幅1.3m以下 全高2.0m以下 | 全長2.5m以下 全幅1.3m以下 全高2.0m以下 | 全長3.4m以下 全幅1.48m以下 全高2.0m以下 |
排気量 (エンジン車) | 50cc超~400cc | 50cc超~250cc以下 | 660cc以下 |
定格出力 (EV) | 0.6kW以下 | 1.0kW超〜20.0kW以下 | 最高出力47kW (自主規制) |
ヘルメット | 必要 | × | × |
シートベルト | × | × | 必要 |
車検 | × | × | 必要 |
車庫証明 | × | × | 保管場所を届け出 |
高速道路 | × | 通行可能 (80km/h上限) | 通行可能 |
乗車定員 | 2名 | 車検証記載人数まで | 4名 |
なお、側車付軽二輪は、道路交通法上三輪の「普通自動車」として扱われるため高速道路を走行できる(上限速度80km/h)が、3輪で走行が不安定なことから、実際に高速道路で運用するのは推奨されていない。
eNEOシリーズでは、車体スペック上の最高速度が50km/hということもあって、そもそも高速道路を利用することはできない。一般道専用のちょいのりEVとして、割り切って運用することが求められるだろう。
EVとしての実用性は「2シーターとだいたい同じ」
「NEO-ONE」と「NEO-Light」は、センターシートレイアウトの運転席が前方にあり、2人乗りのベンチシートタイプの後部座席を後方に備えた、3人乗りのEV。
運転席はシートポジションを前後に10cm程度動かせるほか、シートのリクライニングもできる。もっとも、運転操作がバイクと同様にバーハンドルで完結するタイプであるため、自動車のように厳密な「シートポジション調整」は不要だ。

「NEO-ONE」のハンドル。運転操作はすべて手元にある物理スイッチで行う方式だ。
一方、後部座席は車体に座面や背もたれが備え付けられているタイプ。車両の全幅が1mちょっと(NEO-ONE:1150mm、NEO-Light:1050mm)であるため、後部座席に体格の良い成人男性2名で乗車すると満員電車に隣同士で座っているような感じになる。
また、1本のシートベルトを共有するので、後部座席に乗る人のスペース的に日常的に3人乗りで運用するのは少々厳しいかもしれない。

後部座席のシートベルトは1本を共有するタイプ。荷物を押さえる「ひも」として使うにはぴったりだ。
一方で後部座席を荷物置き場として考えてみると、フルフラットな座面は荷物の載せやすさという点で使い勝手に優れる。1本のシートベルトを荷物固定用に使えば走行中に荷崩れするリスクを抑えることもできることも合わせて、ラゲッジスペースとして利用するなら、この大きさはメリットになる。
また、運転席足元のセンターコンソールにも小物を収納できるスペースが設けられているので、走行中に絶対落としたくないもの(財布やスマホなどの貴重品)はこちらのスペースに入れておくと良さそうだ。

ハンドルと運転席の間にあるセンタートンネルみたいなスペースにちょっとした小物を入れられる。
2シーターのクルマと同様に、「基本はひとり乗り。たまに、もうひとり乗せる」という運用がもっとも適しているのではないだろうか。
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