今となってはなかなか見ることが難しくなった貴重な「スズキの歴代バイク」を紹介する連載企画。 そんなスズキの歴代バイクを振り返りながら、もし「今のバイクに例えるなら…?」と、編集部 岩瀬が独断と偏見で選んでみたいと思います。今回は衝撃的なデザインが特徴の「GSX400X インパルス」です。

GSX400X IMPULSE(1986年)

「ネーミング通りの『衝撃=インパルス』を与えたデザインは刀のデザイナー/ハンス・ムート氏によるものだった!」

画像1: GSX400X IMPULSE(1986年)

GSX400X IMPULSE(1986年)

GSシリーズから進化し、スズキ・4ストロークスポーツモデルの代表的な存在となった“GSXシリーズ”は、1975年頃の免許制度変更の影響を受けて、中型排気量となる400ccクラスの「GSX400F(1981年)」を登場させました。

さらに翌年の1982年には、“衝撃”や“推進力”を意味する「IMPULSE(インパルス)」のネーミングがついた「インパルス GSX400FS」が登場。排気効率に優れたサイクロンタイプの4 in to 1マフラーの採用や、世界初となる減衰力左右同時リモコン調整装置付のリアサスペンションを装備するなど、スポーツ性を一段と高めたマシンへと進化していきました。

そんなインパルス GSX400FSが登場した1982年頃と言えば、国内でカウルを装着したバイクの販売が認められ始めたこともあり、RG250Γ(1983年)などのフルカウル化されたバイクが次々に登場し、レーサーレプリカブームの幕開けとなった時代。

一方で、後に裸を意味する“ネイキッド”と呼ばれるようになったカウルを持たないロードスポーツの人気もどんどん高まり、いわゆる本格的なバイクブームが到来しました。

画像2: GSX400X IMPULSE(1986年)

そんな中「まったく新しいスポーツモデルを作る」というコンセプトのもと、1986年に登場したのが“2代目インパルス”と呼ばれる「GSX400X IMPULSE」です。

当時の日本の流行発信地となっていた東京・六本木をイメージし「日本の若者のライフスタイルをイメージした」としてデザインされたのは、あの“ケルンの衝撃”として讃えられた「GSX1100S KATANA(1981年)」のデザイナー「ハンス・ムート」氏。

ヘッドライトまで繋がった赤いメインフレームが目を引く大胆奇抜なルックスは、まさに“フレームが主役”とも言えるデザインで、タンクサイドからヘッドライトマウントにトラス風ラインを設け、フレーム自体も東京タワーを連想させる朱色に塗装。シングルシート風ツインシートや、リムとスポークのみレッドに塗装するといったそれまでにない衝撃的なデザインで登場しました。

フルカウル装備のレーサーレプリカ人気が高まる中で「単にレプリカからカウルを外すのがネイキッド、といった流れにはしたくなかった」として、スズキが新ジャンルに挑戦した意欲作として、“インパルス”という名称通りの衝撃をバイク好きのライダー達に与えました。

画像3: GSX400X IMPULSE(1986年)

あまりにも奇抜なルックスで登場したこともあり、デザインばかりに目が行きがちですが、マシン性能も世界に“衝撃”を与えるほど画期的なものでした。

まずは、スズキ独自の「SATCS」と呼ばれる冷却方式を採用した400ccの「空・水・油冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジン」を搭載していたこと。

「SATCS(Suzuki Advanced Three Way Cooling System=スズキ・アドバンスド・スリーウェイ・クーリング・システム)」とは、シリンダーヘッドをラジエター水で冷やす「水冷」に加え、シリンダーブロックにフィンを設けて走行風で冷却する「空冷」、ピストン内にオイルジェットを設けてエンジンオイルで冷却するスズキ独自の「油冷」と、本来なら異なる3つの冷却方式をひとつのエンジンで搭載するという、新冷却方式を採用していました。

この水油空冷方式のエンジンはレーサーレプリカモデル「GSX-R(1986年)」にも採用。このGSX400X IMPULSEの最高出力は59PS/12000rpm、最大トルクは3.8kgm/10500rpmを発揮し、エンジンパワーは当時のクラス上限域まで高めていました。

さらに燃焼室もスズキ独自の2渦流燃焼方式「TSCC」を採用したことでハイレスポンスと良好な燃費性能を両立しつつ、400ccの4気筒エンジンを搭載していても乾燥重量は153kgとしていました。

他にも、新設計した鉄製角パイプ製ワイドフレームを採用し、前後17インチホイールの採用に加えて後輪の接地性と路面追従性に優れた新機構「E-フルフローターサスペンション」の採用、燃料タンクを低くセットして745mmという低いシート高に設定するなど、各部にわたり先進技術を盛り込んでいました。

GSX400X IMPULSEの高性能システムは、スズキ・ロードスポーツの代名詞になった現在のGSXシリーズの礎を築いたモデルのひとつとして、現在に受け継がれています。

最近のスズキのバイクに例えるならどんな車種?

さて、ここからはあくまでもスズキのバイク編集部 岩瀬の個人的な主観で「現在のバイク」に置き換えてみる妄想企画です。

スズキのスポーツバイクの代名詞となった“GSXシリーズ”は、その後レーシングスタイルのマシンは「GSX-Rシリーズ」、ストリート&ネイキッドスタイルのマシンは「GSX-Sシリーズ」へ区分されています。

今回は排気量は異なりますが最新のミドルクラスGSXシリーズである「GSX-8S」と比較してみたいと思います。

画像: GSX-8S(マットブラックメタリックNo.2)車両価格:112万2000円10%消費税込み)

GSX-8S(マットブラックメタリックNo.2)車両価格:112万2000円10%消費税込み)

新設計となる排気量775ccの並列2気筒DOHCエンジンを搭載し、270度クランクの不等間隔爆発と2気筒らしいパルス感が味わえるミドルクラスのオンロードスポーツモデルとして新登場。

2023年3月に発売されたVストローム800DEとエンジンやフレームを共通のものとしながらも、400ccクラス並のコンパクトな車体に最高出力80PS / 8,500rpmのパワフルなエンジンを搭載。そのうえで車両重量は202kgという軽さを実現しています。

一度見たら忘れられないデザインと、無駄をそぎ落としたスタイリッシュな車体、最新のスズキインテリジェントライドシステム「S.I.R.S.」を搭載し、1番アクティブな「Aモード」ではトラクションコントロールをOFFにすると、フロントタイヤが軽々と浮いてしまうほどのパワフルさが楽しめるストリートファイターモデルです。

(下に続きます)

GSX-8Sは「マットブラックメタリックNo.2」とシックな「ットソードシルバーメタリック/マットブラックメタリックNo.2」、スズキらしいブルーで彩られた「パールコズミックブルー/グラススパークルブラック」がラインアップされ、全3色展開になっています。

現代のバイクでGSX400X IMPULSEのようなバイクに乗るなら「GSX-8S」がピッタリではないでしょうか?

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