以下、文:丸山淳大/モデル:mii/写真:関野 温
秘技5.「ハンドルグリップ」を簡単に挿入する方法


バイクのグリップ交換は、基本的には古いものを外して、新しいグリップを装着するだけなので、自分で作業に挑戦してみるのもオススメ。ここではグリップ交換のコツをお伝えしたい。
エアコンプレッサーがあるなら、グリップとハンドルの隙間にエアを吹き込むことでクリアランスが生まれてスムーズに脱着できる。
コンプレッサーがない場合はパーツクリーナーを利用すると、グリップを挿入しやすくなる。

コンプレッサーは様々な作業に役立つのでひとつ持っておくと良い。100V電源の小さいタンクのものでも十分役立つ。グリップの交換に使うエアガンは先の細いタイプが良い。

グリップの隙間にエアガンのノズルを差し込んで圧縮エアを吹き込んだ状態でグリップを脱着する。上手くいけば力を使わずにスムーズに交換できる。再使用しないなら古いグリップは切ってしまうのが楽だ。

グリップ挿入時にはグリップボンドを必ず使用する。ボンドが粘ってグリップを入れづらい時は、グリップ内にパーツクリーナーを一瞬吹いて、揮発する前に素早くハンドルに挿入すると良い。
秘技6.「ビニールテープ」 を狭い箇所に巻く方法

配線を絶縁補修できるビニールテープだが、何本か並んだ配線のうち一本だけに巻き付けたい時に、ビニールテープが配線と配線の間を通らずにうまく巻けないことがある。
そんな時は配線の隙間を通るくらいのボルトにビニールテープを何周か巻いて、ミニビニールテープを作り、それで配線に巻けば良い。今まで隙間がなくて巻くことができなかった配線もしっかり簡単にビニールテープで絶縁処理できるぞ!

作業に使用するのは手近なボルトとビニールテープだけ。誰でも持っているようなもので、作業効率や配線処理の仕上がりが爆上がりするので、ぜひとも覚えておきたい。

カプラーと配線ビニールカバーに挟まれ、露出部分がわずかな配線。このうち1本だけにビニールテープを巻きたい場合、ビニールのカバーを切開してしまう作業者は少なくない。

5mmくらいのボルトを用意し、首下のネジ部分にビニールテープを巻き付ける。ビニールテープは古くなると粘着部が溶けてベタベタするので、なるべく新しいものを使いたい。

ビニールテープの芯は通らなかった隙間もボルトなら簡単に通る。ビニールテープを巻きたい配線だけを確実に絶縁できるし、純正の配線カバーを切ったりせずに済む。
秘技7.「パーツクリーナー」 でエンジン不調を診断

特にキャブレターの多気筒では、キャブやプラグの不調で、1気筒だけ死んでいる(爆発していない)というトラブルはありがちだ。
その際、どの気筒が燃焼していないかを判断するのに便利なのがパーツクリーナーである。同じくキャブレター車で、エアクリーナー以外の場所から空気を吸って不調に陥る二次エアのチェックにもパーツクリーナーが使える。汚れを落とす以外にも何かと便利なのだ。

オイルの汚れやブレーキダストの洗浄に使うパーツクリーナー。DIYでメンテをするなら必ず1本は持っているはずだ。これがエンジンの不調診断に役立つのだ。

アイドリング時にマフラーのエキパイに一瞬パーツクリーナーを噴射。燃えていない気筒のエキパイでは明らかにパーツクリーナーの揮発が遅いので、不良気筒を判断できる。

エンジンをアイドリングさせた状態で、マニホールド近辺にパーツクリーナーを噴射。その時にエンジン回転が乱れれば、二次エアを吸い込んでいると判断できる。
秘技8.「スプレーの噴射角度」 を変更する方法

スプレーは缶を立てた状態の時が最も噴射が安定する。ただ、チェーンクリーナーなどはノズルを下に向けて使うため、どうしても缶が斜めになってしまいがちだ。
そこでオススメなのが、スプレーのノズル先端に別のスプレーのヘッド部分を装着する方法だ。スプレーの噴射角度を90度に変えられるので、缶を立てた状態でスプレーを噴射できるし、チェーンの奥にもアクセスしやすい。チェーンメンテが捗るぞ!

スプレーノズル先端に別のスプレーヘッドを装着。これだけで使い勝手が向上する。ノズル径が合わないとうまく装着できないので、同じ種類のスプレーヘッドを用意する。

スプレーノズル先端に別のスプレーヘッドを装着。これだけで使い勝手が向上する。ノズル径が合わないとうまく装着できないので、同じ種類のスプレーヘッドを用意する。
秘技9.「木工ボンド」でサビを取る

使用したのは緑のボトルの速乾タイプだ。
クロームメッキ部分に浮き出たサビの除去に使える意外なものが木工ボンドだ。木工ボンドの成分である「酢酸」はサビ落としに有効であり、それと共に備わった接着力が効果を発揮するのである。
方法はいたって簡単で木工ボンドをやや厚めにサビ部分に塗るだけ。
あとはボンドが乾いて透明になるまで放置し、完全に乾いたらボンドを剥がすだけだ。ボンドと一緒にサビが剥がれる様子に驚愕するはずだ!

メッキの部品の見えない裏側はメッキが薄かったり、下地の鉄が荒れてたりして、サビが発生しやすい。それほど根が深くない赤い点サビで実験してみることにした。

木工ボンドを適度な厚さで平らに塗布する。粘度が高いので垂れることなく、塗りやすい。ここから乾燥するまで放置する。厚塗りした方が皮膜が厚くなるので剥がしやすい。

乾燥したボンドを剥がすとある程度サビが除去できた。強力なサビ落としには敵わないが、メッキの艶を保ちつつサビを手軽に落とすには有効なのではないだろうか。
文:丸山淳大/モデル:mii/写真:関野 温