発表直後からずっと乗りたかったホンダ・CL250にやっと乗れる! どうせなら長距離を走れるタイミングで……と先延ばしにしているうちに発売から10カ月も経っていた。そもそも泊まりがけで走ったのは、もう半年前か。CL250は気負うようなバイクではない。なのに妙に緊張しながら、東京新橋の編集部を発つ。憧れのスターゆかりの町、愛知県瀬戸市を目指した。
文・写真:西野鉄兵
※CL250のツーリング性能が気になる方は2ページ目の【レビュー】をご覧ください。
画像2: Honda CL250 総排気量:249cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:790mm 車両重量:172kg 発売日:2023年5月18日 税込価格:62万1500円 ※積載しているバッグは筆者の私物、そのほかはノーマル仕様

Honda CL250

総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:790mm
車両重量:172kg

発売日:2023年5月18日
税込価格:62万1500円

※積載しているバッグは筆者の私物、そのほかはノーマル仕様

【レビュー】ホンダ「CL250」の旅性能

画像: 【レビュー】ホンダ「CL250」の旅性能

ノーマル状態の積載性

泊まりがけでツーリングをするなら、リュックを背負うよりリアシートにバッグを積んだ方が圧倒的に楽。というわけで積載したのだが、CL250は荷掛フックの類のものがひとつも備わっていなかった。

画像1: ノーマル状態の積載性

シートを外して、シートバッグの取り付けベルトやロックストラップを通せる場所を探した。多くの車種の場合シートレールに通すことができるのだけれど、CL250はシートレールの後方部分が溶接で埋められていて隙間がない。左右2カ所、2cm程度のベルトを通す隙間を開けておいてくれたらどれだけ助かったことか。

仕方なく前方の隙間にロックストラップを通した。積載できないことはないが、荷物の位置が前目となり、本来座りたいスペースをバッグに奪われてしまう。

画像: ▲後方のベルトはできることならもっと後ろ側に装着したいけど、これが限界。

▲後方のベルトはできることならもっと後ろ側に装着したいけど、これが限界。

今回のツーリングでは、ロックストラップを使用して、防水仕様のバッグを積んだ。ロックストラップはゴムパーツ部分に柔軟性があり、座ったのちにお尻でグイグイ荷物を後方に少し追いやることができる。

またCL250のようなトラディショナルな雰囲気も持つバイクは、システマチックな四角いバイク用シートバッグより、今回積んだバッグやダッフルバッグなどを上から押さえつけて積む方がかっこいい。最近そうあらためて思った。

中身を取り出すときにすべて荷解きしないといけないから、不便だけどね。

画像2: ノーマル状態の積載性

大荷物を積みたい人は素直にリアキャリアを装着するのがおすすめ。純正品もトップケースとともに用意されている。ちょっとした荷物を頻繁に運ぶなら、サドルバッグサポート+サドルバッグもあり。マフラーと逆側の片方にサドルバッグを装着しているスクランブラーは、それはそれでかっこいいと思う。


燃費・航続可能距離・燃料計

3日間のツーリングで、総走行距離は774kmだった。高速道路の走行が9割近くになると思う。メーターに表示された平均燃費は27.7km/Lだった。

給油は3度行なった。

【実測燃費】
・1回目の給油:249.4km÷8.23L=約30.3km/L
・2回目の給油:315.5km÷11.17L=約28.2km/L
・3回目の給油:209.5km÷6.5L=約32.2km/L
※油種はレギュラー

私の体重は68kg、装具・荷物を合わせて約75kgといったところ。無駄にスロットルを開けたりせず、交通の流れに合わせて走っていた。実測燃費はいずれもセルフのスタンドで上限まで給油したつもりだが、メーターで表示された数値よりもいい結果が出た。

画像1: 燃費・航続可能距離・燃料計

1回目の給油時の燃費には12kmの渋滞の分も含まれるが、2回目よりも数値はいい。これは帰り道に、新東名で120km/h走行をしていたことによって生まれた差だと思う。3回目は新東名→東名→首都高を比較的穏やかに走った結果、燃費が延びたようだ。

2回目の給油前は、残量ぎりぎりまで粘ってみた。燃料計は目盛りが残りひとつになったのち、その状態で点滅をする。点滅したときは残量が約2.5Lなのだと、取扱説明書に記されていた。

そしてリザーブ燃料の消費量が0.1Lごと、カウントアップされはじめる。315.5km走った際、カウントアップされた数値は1.1Lだった。つまり2.5L引く1.1Lで、約1.4Lほど残っていると読み取れる。とても親切な燃料計だ。

しかしCL250の燃料タンク容量はカタログデータで12L。2回目の給油では11.1L入った。あれ、計算が合わない。燃料タンクが実質0.5Lほど多めに入るのか。私がパツパツに入れすぎてしまっていた可能性もある。

高速道路走行なら、250km~300kmを目安に給油を心がければ、まず燃料切れをおこすことはないだろう。今回もっとも燃費がよかった32km/Lの走行を続ければ、ワンタンクで384kmも走れることになる。

ちなみにWMTCモード値の燃料消費率は、34.9km/L。交通量の少ない一般道を50~60km/h、もしくは高速道路でも70~80km/hあたりをキープすれば、今回の計測値よりも伸びるのだろう。


画像2: 燃費・航続可能距離・燃料計

快適な巡航速度と120km/h走行について

今回のツーリングでは、首都高でも東名でも新東名でも、空いているときは制限の上限まで速度を上げることを心がけていた。

もっとも心地よかったのは90~100km/h。エンジンが無理をしている感じがいっさいなく、安心して走れた。新東名での120km/h走行は、出だしは体感的にややつらかった。慣れてくると続けられないこともない。

110km/hを超えると手まで振動がはっきりと伝わってくる。おそらく最高速は140km/h以上出るので、120km/h巡航でも余裕はあるはずなのだが、まあまあふり絞っている感じがして、気持ち的に疲れるのだ。

また105km/h程度のペースで走るクルマを抜くのも少し大変で、その都度抜くか後ろに付くか迷った。


画像: 快適な巡航速度と120km/h走行について

ライディングポジション・シートの座り心地・レブル250とのちがい

シートは乗った瞬間に、ちょっと硬い、というか薄い? と感じたのだが、長時間を走ることで蓄積されるつらさやお尻の痛さはまるでなく、不思議な感覚だった。なので座り心地に文句はない。

ただ今回のツーリングでは、積載の関係で前目に座ることになったのは、ちょっときつかった。つねにお尻とバッグが押しあっている状態だったので、普通に乗れたらうんと快適だったはずだ。

身長175cm・体重68kgの私の場合、ライディングポジションはジャストフィットと思えるもの。もともとレブル250も大好きだが、レブルで長距離を走ると「もっとポジションの自由度が高ければ楽なのになあ」とはいつも思っていた。その願いをまさに実現してくれたのがCL250だった。

レブル250の場合は、ちょっとお尻をずらすためにステップに立ち上がるのも難しい。CL250はダートの走行を想定しているだけあって、スタンディングのしやすさも特長。走行時にリフレッシュがしやすい。

またレブル250と比較すると、足まわりのちがいも大きい。高速走行をしている際に、橋のつなぎ目などちょっとした段差の捉え方がだいぶ異なる。

レブルだと「あ、段差があるな」と気づいて構えるような場面で、CL250では意識さえせずに済む。1日の走行距離や走行時間が延びるほど、この差は大きく感じるだろう。

画像: ▲足つき性も問題なし。かかとが高いブーツなら両足べたつきだった。スニーカーだと少し浮く。

▲足つき性も問題なし。かかとが高いブーツなら両足べたつきだった。スニーカーだと少し浮く。

画像: ▲一点気になったのは、足をついた際に、スネとふくらはぎの間をステップにぶつけやすいこと。跨った状態で前に押し進むと、脚が痛む。このステップ×スネ問題はスクランブラー系の車種では、あるあるな気がする。ちなみにステップ位置をずらすCL用のブラケットはデイトナから販売されている。

▲一点気になったのは、足をついた際に、スネとふくらはぎの間をステップにぶつけやすいこと。跨った状態で前に押し進むと、脚が痛む。このステップ×スネ問題はスクランブラー系の車種では、あるあるな気がする。ちなみにステップ位置をずらすCL用のブラケットはデイトナから販売されている。

今回はダート走行をしていないが、ちょっとした砂利道や土の路面もCL250なら誰でもひょいひょい走れるはず。

軽くてハンドルの切れ角があり、ライポジの自由度も高い。高速道路も250ccの中では得意な方で、ダートもいけちゃう。燃費だっていいし、航続距離も充分すぎるほど。積載問題を各々の望むかたちで上手くクリアできれば、最高の250cc旅バイクとなるはず!

文・写真:西野鉄兵

画像: ライディングポジション・シートの座り心地・レブル250とのちがい

【諸元】ホンダ「CL250」の主なスペック・製造国・価格

全長×全幅×全高2175×830×1135mm
ホイールベース1485mm
最低地上高165mm
シート高790mm
車両重量172kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量249cc
ボア×ストローク76.0×55.0mm
圧縮比10.7
最高出力18kW(24PS)/8500rpm
最大トルク23N・m(2.3kgf・m)/6250rpm
燃料タンク容量12L
変速機形式6速リターン
キャスター角27゜00′
トレール量108mm
タイヤサイズ(前・後)110/80R19M/C 59H・150/70R17M/C 69H
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
乗車定員2人
燃料消費率 WMTCモード値34.9km/L(クラス2-2)1人乗車時
製造国タイ
メーカー希望小売価格62万1500円(消費税10%込)

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