ここで紹介するマシンは、今だに地方のおじいちゃんやおばあちゃんが野良仕事で使っていたりするシャリィをベースに、ローライダー等で定番となっているエアサスを前後に搭載し、着地スタイル(スタンド無しで自立する)をメイク。
エアサス以外にもフレームのネック、シート下をカットすることで、純正の車体とは比べ物にならないぐらい低く仕上げられている。フレーム内、シート下にガソリンタンクを配置するシャリィだけにフレームのチョップに合わせガソリンタンクも薄くチョップされていたりと、見えない部分にまでかなり手が加えられている。
1枚目が走行時で、2枚目が空気を抜いた着地状態。そもそもの車体が低いので上下しても大きな変化はないが、写真のリアタイヤに被されるフェンダーに注視してもらえればどれだけ上下しているかわかるだろう。エアを全部抜いた時にはエキパイが地面に設置し、スタンド無しで停車が可能となっている。
作動しなければ見た目ではエアサスとはわからない。左右のフロントフォークに繋がるホース、メカニカルなリアサスがエアサスの証。
エアサス化において必須となるコンプレッサーはキャブの後部、シート下に用意されるガソリンタンク下に小型の物を配し、シート下に電磁弁を装着。ただでさえ狭く、純正の配線を通すのも不便なシャリィにも関わらず、エアサス用の様々なパーツ、配線が見事に収納されている。
純正に比べ配線は少し多めとなっているが、ホースの長さやスッキリとした取り回しでゴチャゴチャせずに上手くまとめた。ハンドルを固定するボルトをうまく使いステーを装着し、エアサスのON/OFFスイッチが取り付けられている。
あまりにもローダウンした車体の場合、通常のサイドスタンドだと意味がなく、スタンド自体を廃してしまうユーザーもいるが、Kerryさんの車体では純正のセンタースタンドを加工し、なんとも可愛らしい仕上がりに。
エアサス以外にも車体の各部にもカスタムが施されており、ヘッドライトのフチにはローライダーカスタムの中でも人気となっている彫金、エングレービングが施される。ヘッドライトはレプリカではなく、本物のマーシャルをベースにレンズカットし装着。
純正はドラムブレーキだが、フロント・リア共にディスク化済み。フロントに至ってはWディスク仕様となっており、ディスクローターもチーム名「4st CREW」のロゴを入れたワンオフ品だ。
純正ではフレーム内に収められるキャブレターだが、ビッグキャブにしたことで、フレームから飛び出すように装着。キャブ自体はガンコート仕上げにすることで、性能だけでなく、魅せるカスタムパーツとしても両立させた。エンジンからオイルクーラーへと繋がるオイルラインもゴムやメッシュではなく、ステンレスでワンオフ。
リアホイールは人気&定番のワイド化されているので、極太な見た目に。リアフェンダーもホイールに合わせてワイド化済み。言われなければ気づかれない部分までしっかりと手が加えられている。
チェーンを1つ1つ溶接して作り上げられたリアキャリア。キャリアという野暮ったいイメージのパーツを魅せるカスタムパーツの1つとした作り上げ、「LOWRIDER」というコンセプトを追求。
文・写真:山ノ井敦司