2023年10月22日、2023 MotoGP世界選手権第16戦オーストラリアGPがフィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットで行われた。前戦インドネシアで無念のノーポイントに終わったランキング2位の佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)。第16戦オーストラリアでは雨と強風に見舞われた難しいコンディションの中でのレースとなったが、流れを変える重要な一戦となった。

佐々木歩夢が前戦の鬱憤を晴らすラップでポールポジション獲得

画像: ライバル勢が苦戦する中、他を寄せ付けないラップをみせた佐々木。

ライバル勢が苦戦する中、他を寄せ付けないラップをみせた佐々木。

土曜日の午前13時15分から開始された予選Q1は曇り空の中で行われた。Q1には山中琉聖(Gaviota GASGAS Aspar Team)と古里太陽(Honda Team Asia)が出走、佐々木と鳥羽海渡(SIC58 Squadra Corse)はすでにQ2進出を決めている。

鳥羽は初日のフリー走行で他社のラップを妨害してしまい最後尾スタートと決勝中のロングラップペナルティが確定している。

Q1では山中とふるさとが共に調子が良くQ2進出圏内の上位4位に位置しながらセッションを進めていく。

山中は2番手を確保する中、古里はラストアタックを終えた時点で4番手につけていた。しかし、後方では各車最後のアタックでタイムを更新しており、最終的に古里はQ1を7番手で終え敗退となってしまった。

Q1トップはランキング3位につけるダニエル・オルガド(Red Bull KTM Tech3)、2番手に山中、3番手にフィリッポ・ファリオリ(Red Bull KTM Tech3)、4番手にはラストアタックの4コーナーでバランスを崩しながらもQ2進出圏内に飛び込んだイバン・オルトラ(Angeluss MTA Team)が入り、この4名がQ2に駒を進めている。

ポールポジションが決まる予選Q2では佐々木が速さをみせた。セッション序盤はチームメイトであるコリン・ベイアー(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)を引っ張るなどチームプレイを行いながらも1分36秒654を記録しトップに立つ。

セッション残り3分の時点で母国凱旋となるジョエル・ケルソ(CFMOTO Racing PruestelGP)が佐々木のタイムに迫る1分36秒742をマークし2番手に。佐々木はその直後に1分36秒539までタイムを詰めトップの座を堅守する。

母国でポールポジション獲得を狙うケルソはラストアタックで全体ベストを記録しながら周回。しかし後半セクターでタイムを詰めることができず佐々木のトップタイムを上回ることができなかった。

その他のライバル勢も佐々木のタイムを塗り替えるものは現れずセッションが終了。佐々木のポールポジションが確定した。2番手はケルソ、3番手はステファノ・ネパ(Angeluss MTA Team)が3番手につけ初のフロントロー獲得となった

その他の日本勢は鳥羽は14番手、山中は17番手でQ2を終えている。また、ランキング首位のジャウマ・マシア(Leopard Racing)は予選13番手と低迷。ランキング3位のダビド・アロンソ(Gaviota GASGAS Aspar Team)が8番手、オルガドが11番手と佐々木以外のタイトルコンテンダーが軒並み中団に沈むという結果となった。

インドネシアでは無念のノーポイントに終わり、トップのマシアに16ポイントの差をつけたれた佐々木。今季初優勝、そしてランキングトップ浮上を目指し決勝に臨む。

画像: 佐々木に続いたのは母国戦となるケルソ。ネパは自身初の予選3番手となり、決勝では初のフロントローからのスタートを切る。

佐々木に続いたのは母国戦となるケルソ。ネパは自身初の予選3番手となり、決勝では初のフロントローからのスタートを切る。

悪コンディションの中、佐々木が2位表彰台を獲得!

朝から雨と強風に見舞われ、難しいコンディションとなった決勝レース。サイティングラップでも4名の転倒者が続出するほどコンディションは最悪の状況である。その中にはランキング3位のオルガドも含まれていた。

フロントカウルを全損させるほどの転倒を喫したオルガドはメカニックの素早い修復により決勝レースに間に合うも、不安の残るスタートとなってしまった。

21周のレースはポールシッターの佐々木がホールショットを奪うも、エイドリアン・フェルナンデス(Leopard Racing)が2周目のホームストレートでトップに立ち逃げにかかる。

佐々木は無理をすることなく4番手で周回を重ねるが、レース中盤になるとペースアップ。母国戦で気合の入るケルソに数周にわたり押さえ込まれるも、トップ4が接近戦となる。

2位を走行するデニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)が、残り7周でコントロールを失いかけ失速、その隙に前に出た佐々木が2番手に浮上。オンジュは4番手に後退してしまう。

残り5周、トップを守り続けていたフェルナンデスがターン11でまさかの転倒。2番手を走っていた佐々木が自動的にトップに浮上する。また、フェルナンデスはすぐに再スタートを切ることができた。これまでのマージンもあり、フェルナンデスは5番手でコースに復帰している。

3位ケルソを突き放したトップ2は残り3周から優勝争いを展開。テール・トゥ・ノーズ状態でファイナルラップに突入した。

佐々木はオーバーテイクポイントであるターン4でもオンジュを抑え込むことに成功するも、ターン10でオンジュが佐々木のインに飛び込み、土壇場でトップに浮上。そのままトップを守り抜いたオンジュがトップチェッカーで受けた。

画像: 優勝を挙げたことにより、再びチャンピオン争いに加わることになったオンジュ。

優勝を挙げたことにより、再びチャンピオン争いに加わることになったオンジュ。

今季初優勝とはならなかったものの、確実にポイントを重ねた佐々木。ランキング首位のマシアが8位、オルガドが13位、アロンソがリタイアとライバル勢が上位でのフィニッシュを果たせなかったこともあり、佐々木はポイントランキングでトップのマシアに対し僅か4ポイント差とした。

その他日本人ライダーは、古里が7位、山中が15位でポイントを獲得、鳥羽は17位で完走を果たしている。

2023 Moto3 第16戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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