RCBモチーフのオリジナル車4号機は特別仕様の心臓

“CB1158RS”と名付けられたこの車両、ベースはそのCBからも分かるようにホンダCB-F。タジマエンジニアリングが2010年頃から送り出したカスタムパッケージ“RSシリーズ”の4号機にして2023年前半時点の最新作という1台だ。RSの名はCB-Fを元にしたホンダレーサーのRS1000に由来し、実車では外装がまずRSをモチーフとしている。また、フレームネックパイプからスイングアームピボットをつなぐように渡るサブフレームもRS1000のダブルクレードルフレームを再現するように追加されたもの。車名のCBとRSの間に入る数字がベースまたは排気量を示し、この車両では1158となっている。タジマエンジニアリングの村嶋さんに詳しく聞いていこう。

画像1: RCBモチーフのオリジナル車4号機は特別仕様の心臓

「RSシリーズは3号機を6発のCBXで作っていて、この4号機はCBとして3番目の車両になります。外装やサブフレームはRCB/RSモチーフですけど、フレームの補強や足まわりの構成は当店で作っているCB-Fカスタムと基本的には共通です」

現代の17インチタイヤを履くCBとして、エンジン下や後ろにもフレーム左右をつなぐバーを渡し、ネック部下にもプレートを追加するなどの補強手法。ふらつかず、かつ素直なハンドリングを得る目標値としてのトレール量100mm(タジマエンジニアリングでの多くの車両作例から導き出されている)を確保するショートオフセット化など、17インチ化パッケージとして確立したものが反映されていた。

サブフレームは着脱式で、これを外し、外装とヘッドライトを載せ替えてCB-Fの17インチカスタムらしいルックスにもコンバートできる設定も持っている。エンジンもCB900FやCB1100Fをベースに作ったものを積んできた。CB-F系ではCB1100Rの1062ccを2mm拡大したφ72mmボアでの1123ccが一般的な上限として知られるが、この車両は異なっていた。

画像2: RCBモチーフのオリジナル車4号機は特別仕様の心臓

「CB1158RSという車名の通り、1158ccあります。じつはCB900FをベースにRSの1号機を作るときに、“許せるギリギリまで排気量を上げてやってみよう”って田島さん(歳久さん。タジマの創業者で、’22年に逝去)と作ったエンジンなんです。ピストンはホンダXR250のφ73mm。XRはラジアルバルブ(放射状配置バルブ)なので、CBに合わせてリセスを切り直すなど加工して組んでいます。すごくパワーが出ていて、後に1号機を販売する時には900仕様で改めて作ったエンジンを載せて、この1158仕様は保管していたんです。

今回4号機の製作に当たって、オーナーさんはパワーのあるバイクの理解もありますし、CB-F現役の頃、モトクロスも走った時に田島さんの活動(モトクロスチーム運営や車両チューニング)を知っていたので当店を探したという、CB世代の方。BMWのS1000RRもかつて乗っていたということで、このエンジンを積んだんです。改めて試乗するとやっぱりパワーもある。納車する際にそのことも理解いただきました。

フロントカウルもより高速域でライダープロテクションができるように、今までより少し上げてセットしたりしています。これからはサーキット(オートポリス)も走ってセットアップを詰めていくとともに、コメントもいただいていく感じです」

エンジンも車体も走りに徹した作り。耐久性や快適性という点では、RS・1号機開発時に重ねた走行距離や、エンジンオイル量(大型タンクを設けて、総量で通常の倍を搭載したりした)などの膨大なデータもある。先に述べたようなタジマ製CB-FカスタムのデータもRSに共通だし、同じくクランク軽量化からピストンやポートの加工まで、既にフルにクリアされて多くのユーザーに受け入れられている。その上での1158cc仕様。RSパッケージに、これからどんなノウハウが加わるかも楽しみなところだ。

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デュアルヘッドライトのフロントカウルはRS1000タイプの市販品。フロントはアルミでカウルステーを製作してマウントするが、他のタジマ製RSと異なり、この4号機では少し上の位置に設定される。フロントマスター(NISSIN)やミラーなど、ハードも含めて多くの部分にホンダ純正流用も採り入れ、市販車的な雰囲気も作り込んでいる。

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この角度からはフロントカウルステーもよく見える。ステアリングステムは'08〜CBR1000RR(SC59)でフォークオフセットは45→27mmの設定。ワンオフのカーボンパネルにはスタックST200(エンジン回転計)にエースウェルACE-153多機能デジタルメーター(速度や距離など多くの情報を切り替え表示)、ヨシムラ・プログレスメーターの3つのメーターをレイアウトした。

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燃料タンクはRC30(VFR750R)用純正アルミの上半分に、CB-Fフレームに載る形状の下半分をアルミで叩き出して溶接している。タンク下に見えているY字状のパイプが、ワイドダブルクレードルを表現する追加アルミサブフレーム。7N01材製で、RCB/RSルックの表現と、補強の補助的な役割を持つ。軽量で、ボルト数本での着脱も容易だ。

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シングルシートカウルもフロント同様にRS1000タイプの市販品。ズースファスナーによってスムーズかつ素早い着脱を可能にしている。テールライトは耐久レースを多く走ったRCB/RSイメージの丸型を配置する。

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エンジンはCB900F/1100F(69mmストローク)を元に、φ73mmのXR250用ピストンを加工して組み合わせた1158cc仕様。クランクの軽量化や吸排気ポートの加工など、タジマエンジニアリングで多く施し、定評を得ているエンジン各部メニューも施されている。またCB用オリジナルジェネレーターキットも備え、発電量にも余裕が持たされている。

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キャブレターはFCRφ39mm。このカットでもY字状サブフレームの配置が分かる。ピボット部、タンク後部下、そしてヘッドパイプ上側後ろでメインフレームに締結されるのだ。

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フロントフォークはCBR1000RR(SC59)のインナーロッドを延長してインナーチューブとともにVTR1000SP-1のアウターチューブに組み合わせ、全長を確保したタジマSPL。TOKICOの4ピストンラジアルフロントキャリパーやディスクもSC59純正でアップデートされている。

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ホイールはSC59の3.50-17/6.00-17サイズで、リヤブレーキキャリパーはブレンボ2ピストン。ステッププレートやマフラーはタジマオリジナル。

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スイングアームはCB400SF(NC39)加工品。SC59など純正ベースの前後足まわりの構成はタジマ定番。リヤショックはタジマデータでセットアップされたアラゴスタを装着。ドライブチェーンはEK・ThreeDの520サイズを使う。

取材協力:タジマエンジニアリング

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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