チームCB’sチューニングの先見にして集大成の現役車

紫色に塗られたフレームや各部パーツ。その紫を主にして、CB1100RDパターンを和柄でアレンジしたカラーリング。市本ホンダ/チームCB’sによる車両と誰でも分かる1台だ。

「ついに乗り始めた車両です。元々は’97年に宗一郎(市本さんの息子さん)用にって作って1歳の誕生日に渡して、もう26年(笑)」。製作者の市本正治さん(故人)は、’23年4月の時点でこう教えてくれた。そう、この項でも少し前に製作直後の姿を紹介した車両そのものだ(※前回掲載はこちらから!)。製作時とほぼ変わらないまま四半世紀の時を超え、問題なくというか今作ったかのように快走する。

画像1: チームCB’sチューニングの先見にして集大成の現役車

「さすがに製作から時間が経ってるのでメインハーネスは交換しています。ほかの部分は時間なりの整備を施して、同時にアップデートを加えています。フロントフォークはオーバーホールするついでにアウターチューブをパープルアルマイト(以前はゴールド)、リヤショックも今のもの、ナイトロン特注に換わりました。

フレームもパウダーコートして、オーナーがゴールド好きなのでホイールをそのゴールドにめっき塗装。ブレーキディスクのインナーやフローティングピンも新しくしています。あと電気系i

はさっきのハーネスのほかに、アイスワイヤやアイスヒューズ(ともに抵抗を減らしてスムーズ化する)なども追加しています」

画像2: チームCB’sチューニングの先見にして集大成の現役車

市本さんの言うオーバーホールとアップデートの内容。よく聞くと、サスとブレーキの作動を高めること。それに耐候性や耐食性を高める表面処理的な塗装が主体で、ディメンションやスペック的な内容は製作当初からそのまま、変わっていない。

前後18インチのCB1100Rを17インチホイール化して下がる車高に対して、ヘッドパイプの低いスーパースポーツ用の短いフロントフォークを使っても車高を確保するウイングタイプステム。大きくワイド化したリヤタイヤ適合のチェーンラインオフセットなど、今17インチCB-F/Rで必要なメニューがもう25年以上も前に作られていて、それは今もまったく色褪せていない。

「よくあの頃に作れたね(笑)。コストもかかったけど、当時の自分に“今も立派に走ってるよ”って教えてあげたいくらい」とも市本さんは言うが、そうしたノウハウを早くから築き、CB-F/Rでどうパッケージ化するかも分かっていたからこそ。CB’sのアイコンにしてトップグレードと言えるこのCB1100R。市本さんは惜しくもこの話を聞いた少し後の’23年5月に亡くなったが、この車両の作り込みとアップデートの内容は、今こそCB-F/Rの見本にしたい。いや、ぜひしてほしい。

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Detailed Description 詳細説明

画像1: Detailed Description 詳細説明

ベースは'83CB1100RD。ミラーは製作時の純正品(カウルマウント)からカーボンヘッドタイプに換えて低めの位置にハンドルマウント化した。フロントマスターはブレンボCNC、クラッチホルダーはコーケン製。

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ステムはウイリー特注のアルミビレットで、スーパーバイクレース用の短い倒立フォークと17インチ化に対して車高とバンク角を確保するべく、上下方向に50mmオフセットしたウイングデザイン。ハンドルバーはコワース。メーターはカーボンワンオフパネルにウルトラタコメーター/デジタルスピードメーター、デイトナ製温度計(油温を表示)をセットする。

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燃料タンクはCB1100R純正のアルミ。タンク上には“CB's 1139R Soichiro Special Produced by M.Ichimoto”と、市本正治さんが宗一郎さんのために作ったスペシャルという当時の表記がそのまま残る。

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燃料タンク以外の外装はTeam CB'sオリジナルのCB1100Rレプリカキット。CB'sのイメージカラーであるパープルを使いつつCB1100RC/RDパターンを生かした和柄Specialペイントが、ソーメモリーによって製作当時に施された。

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エンジンはJEφ72.5mm鍛造ピストンで1139cc化され、RSC(レーシング・サービス・センター)ハイカムやステンレスビックバルブを組みポート研磨、クランクフルバランスも行って大幅にパワーを引き上げている。オイルクーラーのカラーやキャブレタースピゴットなどもパープル仕様でまとめている。フレームも各部補強、パープルでパウダーコート仕上げしている。

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キャブレターはFCRφ39mm+バクダンキット。電装はTGナカガワHIRに、市本ホンダでも勧めていたICE WIRE/ICE Key/ICE AID/ICE FUSEを組み、メインハーネスもICE化して低抵抗化などの効果を得たフルICE仕様だ。

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フロントフォークはレース用のオーリンズ倒立で、ホイールはZX-7RRレースキットのマルケジーニ5本スポーク3.75-17/6.25-17サイズ。フロントブレーキはブレンボ・モノブロックキャリパー+ブレンボレーシングディスク。インナーが当初のゴールドからパープルに、フローティングピンがパープルからゴールドに換えられた。

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リヤブレーキはZX-7RRレースキットディスクにブレンボCNC・4Pキャリパー。排気系はCB'sオリジナルのメガホンで形状は同じだが、当初のステンレスからチタンに素材が変わっている。

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リヤショックは当初オーリンズ・フルアジャスタブルだったが、現在はナイトロン特注品に変更。スイングアームは当初からのウイリー特注・耐久仕様スイングアームで、パープルカラーのスタンドフックが追加された。ドライブチェーンはEK ThreeDで520サイズにコンバートされている。ステップはBEET製の他モデル用だ。

取材協力:市本ホンダ(Team CB's)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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