2023年9月10日、2023 MotoGP世界選手権第12戦サンマリノGPがイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われた。ヨーロッパラウンドも最後となる第12戦はチャンピオン争いに大きな変化をもたらした1戦と言える。ここまで2勝を挙げているルーキーのダビド・アロンソ(Gaviota GASGAS Aspar Team)が3勝目を挙げチャンピオン争いに割って入ったのだ。

初日から好調のJ.マシアがポールポジション獲得!フロントローには佐々木と鳥羽が並ぶ

画像: 初日総合トップだったマシアが佐々木、鳥羽と抑えポールポジションを獲得。

初日総合トップだったマシアが佐々木、鳥羽と抑えポールポジションを獲得。

今大会では日本勢全員がQ2から出走。一方、ランキング首位に立ってるダニエル・オルガド(Red Bull KTM Tech3)がQ1からの出走となった。佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)やジャウマ・マシア(Leopard Racing)などチャンピオン争いを繰り広げているライバル達に遅れをとる訳にはいかないオルガド。選手権をリードしている意地を見せ、Q1をトップでQ2に駒を進めた。

2位のリカルド・ロッシ(SIC58 Squadra Corse)、3位のジョエル・ケルソ(CFMOTO Racing PruestelGP)、4位のダビデ・ムニョス(BOE Motorsports)の上位4名がQ2進出を決めている。

続けて行なわれたQ2では、セッション開始直後に佐々木ターン13で転倒。佐々木は自力でピットへと戻り、その後コース復帰を果たしている。

まずトップタイムを出したのは1分42秒002のディオゴ・モレイラ(MT Helmets - MSI)。そこにマシア、デニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)とランキング上位勢が続き、鳥羽海渡(SIC58 Squadra Corse)も4番手と好位置につける。

各車ラストアタックに備えピットインする中、佐々木が単独でアタック開始。1回目のアタックでは8番手に入ると、連続アタックを敢行。さらにタイムを詰め6番手まで上がってきた。

佐々木が巻き返しを図る中、トップタイムをマークしたのはQ2序盤から上位につけていた鳥羽。1分41秒900の暫定トップタイムを記録した。その後佐々木が鳥羽のタイムを更新すると、マシアがさらに佐々木のタイムを上回る1分41秒638を記録。これでマシアのポールポジションが確定した。

タイトルコンテンダーである佐々木に加え、好調の鳥羽もトップ3に食い込み日本人ライダー2名がフロントローを獲得。そのほかの日本勢は古里太陽(Honda Team Asia)が14番手、山中琉聖(Gaviota GASGAS Aspar Team)が15番手、鈴木竜生(Leopard Racing)が16番手で予選を終えている。

画像: Q2で転倒があった佐々木だが2番グリッドを獲得。鳥羽も3番グリッドを獲得し、今季初めて日本勢がフロントローで2名並んだ。

Q2で転倒があった佐々木だが2番グリッドを獲得。鳥羽も3番グリッドを獲得し、今季初めて日本勢がフロントローで2名並んだ。

ルーキーらしからぬ勝負強さでアロンソが今季3勝目を挙げる

20周で行われた決勝はポールシッターのマシアがホールショットを奪いレースをリード。スタート直後からハイペースで逃げるマシアは3周目には早くも1秒ものギャップを築く。

モレイラ、佐々木、オンジュ、アロンソ、ムニョスの4台で行われた2位争いがマシアの独走を助けることになると思われた。しかし、ペースのあるオンジュが4周目にセカンドグループのトップに立ったことで2位集団の混戦模様が解消、隊列は縦長になった。

その後も速いペースで走るオンジュがマシアを射程距離内に捉えたが、8周目の8コーナーでミスし3位に後退。オンジュは後続との差を広げていたが、このミスにより佐々木やムニョスといった4位を争うライダーたちの接近を許してしまう。しかし、4位につけていた佐々木のペースが上がらず、ムニョスとアロンソが先行。佐々木はセカンドグループでのバトルを強いられることになった。

一方、2位を走るオンジュが11周目にマシアをオーバーテイク。優勝争いはオンジュ、マシア、ムニョス、そしてアロンソの4台に絞られたが、最終盤にはムニョスが遅れ、3台でのバトルとなった。オンジュ、マシア、アロンソの順でファイナルラップに突入。

3位につけるアロンソは優勝を狙うべく前半セクションでマシアを攻略し2位に浮上する。14コーナーでマシアに仕掛けられるも、オンジュとマシアがブレーキングでクリップにつけずアロンソがイン側から2台をオーバテイク。アロンソは残りのコーナーでもマシアとオンジュを抑え込みトップでチェッカーを受けた。

勝負所を理解しており、冷静な判断のもと優勝をさらったアロンソ。ルーキーらしからぬレース運びで今季3勝目、チャンピオンシップ争いにおいても獲得ポイントを140にまで伸ばし、ランキング5位につけている。

画像: Moto3クラスで長いキャリアを誇るマシアとオンジュを従えて優勝したアロンソ。驚異の17歳だ。

Moto3クラスで長いキャリアを誇るマシアとオンジュを従えて優勝したアロンソ。驚異の17歳だ。

2位にマシア、3位にはオンジュが入り表彰台を獲得。佐々木は7位、そしてランキングトップのオルガドが16位でノーポイントに終わり、年間ランキングはこれまで以上に予断の許さない様相を呈してきた。

第12戦終了時のランキングはオルガド161点、佐々木が157点、マシア149点、オンジュ144点、アロンソ140点でトップのオルガドと5位アロンソとの差は21。つまり1回の優勝で逆転できるポイント差にまで縮まったことになる。

次戦からはヨーロッパを離れ、アジア・パシフィックラウンドに突入。ランキング2位につける佐々木にとっては母国戦となる日本GPも控えている。上位5名の中で唯一優勝がないだけに、アジアでのレース、特に日本で今季初優勝が期待される。次戦は初開催となるインドのブッダ・インターナショナル・サーキットが舞台だ。

その他の日本人ライダーは鳥羽が6位、古里が11位、山中が14位、鈴木が15位となり、日本人ライダー全員が前線に続きポイントを獲得している。

2023 Moto3 第12戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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