YZF-R1譲りのCP4エンジンを搭載するMTシリーズのフラッグシップモデル、MT-10がさらなる熟成を果たした。今回試乗した上級グレードのSPは、外装のアップデートをはじめ、オーリンズ製の電子制御サスペンションにも熟成を受け、その走りを大きく洗練させているぞ。
文:宮崎敬一郎、小松信夫、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

ヤマハ「MT-10SP ABS」インプレッション(宮崎敬一郎)

画像: YAMAHA MT-10SP ABS 総排気量:997cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:835mm 車両重量:214kg 発売日:2022年10月26日 税込価格:218万9000円

YAMAHA MT-10SP ABS

総排気量:997cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:835mm
車両重量:214kg

発売日:2022年10月26日
税込価格:218万9000円

スタイルもその走りもただものではない!

個性的なフェイスデザインで注目を集めたMT-10がモデルチェンジした。タイプは変わったが、ロボットに変身しそうな、個性的な面構えは健在。そもそもMT-10はYZF-R1のメカニズムを持つスポーツネイキッド。エンジンやフレームにはYZF-R1のDNAが濃密に注入されている。見た目の面でも「タダモノではないぞ」感を漂わせたいのだろう。

今回の新型は、エンジンの吸排気系やFIセッティンングなど、パワーや、ドライバビリティに関わるパートを大きく進化させている。最高出力は6PSアップの166PS! 強烈な走りのスパイスも健在だ。

このMT-10はストリート、峠道など一般路ユースが大前提。しかし、減速比などを大人しくロングにするのかと思っていたら、とんでもないワンパクなセッティング。低中速から使えるエンジンにした上に、そのパワーバンドを峠道でフルに使えるようにしてある。

画像1: ヤマハ「MT-10SP ABS」インプレッション(宮崎敬一郎)

仮に120km/hほどで立ち上がるコーナーがあったとしよう。YZF-R1だとローギアでも最も強力な領域は使えないが、MT-10はしっかりと回すことができるのだ。

MT-10はこのクラスのスポーツネイキッドの中でも傑出した運動性能が魅力。身軽で、よく曲がって、優れたスタビリティが武器。そんな速度レンジの峠道ならR1よりずっと速く走れる。理由はその瞬発力。タダモノではない。ちなみに、6速での120km/hは約5200回転。一方のYZF-R1は約4500回転だ。常用域に力を集約したMT-10が、どれほど強烈な瞬発力を発揮するか想像できると思う。

画像2: ヤマハ「MT-10SP ABS」インプレッション(宮崎敬一郎)

この新型のすばらしい点は、そんなパワーなのにすごく扱いやすいこと。スロットルを開けていくと、どのパワーモードでも、あるアクセル開度以上で急に力強くパワーが立ち上がる2段ロケットのようなレスポンスは旧型と同じだが、その繋がり方が滑らか。リニアに呼応して従順、格段に扱いやすくなっている。

今回試乗したSP仕様は、オーリンズの電子制御サスペンションが付いている。これも同種のサスペンションを使用するYZF-R1M同様、3種のオートとマニュアル設定が選べる。峠道でワンパクな走りをするときにはライディングモード「A」にデフォルト設定されているパワーモード1、サスはオートの1で走ったが、移動中はサス設定をより快適なオートの2や3にしたところ、まるでツーリングスポーツのような快適さ。今回は、主にそんなセッティングで東京〜富士山の往復を楽しんだ。

画像: SPではないスタンダードなMT-10は、電子制御タイプではないKYB製Φ43mmカートリッジタイプ倒立フォークとボトムリンク式モノクロスサス。税込価格:192万5000円。

SPではないスタンダードなMT-10は、電子制御タイプではないKYB製Φ43mmカートリッジタイプ倒立フォークとボトムリンク式モノクロスサス。税込価格:192万5000円。

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