ダカールラリーを知り尽くした男・三橋 淳が新型アフリカツインを満喫するこの連載企画。「転んでも壊れにくいバイク」を目指して製作したスペシャル・アンダーガードですが、作ってみたらちょっと気になる点がいくつか…。せっかくならトコトンこだわりたい、ということで、今回はそのワンオフ・アンダーガードの進化と改良の模様をお届けします!
いったんは完成。でもちょっと物足りない…
![画像1: いったんは完成。でもちょっと物足りない…](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/4ee47100888f91dcb4689b1bad80fadb399a9bfe_xlarge.jpg)
46ワークスで作ってもらったアンダーガードは処理が美しくて綺麗なんだが、オフロード走行における「大事な要件」が満たされていなかった。
これは私の発注ミスでもあるのだが、現在のアドベンチャーバイクのアンダーガードの多くは7mm厚の分厚いアルミを使っていて、それはそれは丈夫なのだ。が、対して46ワークスのアンダーガードは3mm。しかも取り付け方法を純正と同じラバーマウントにしたので動いてしまうのだ。フレームをガッチリ挟み込んで固定する社外品と比較すると、強固さという意味では物足りない。
![画像2: いったんは完成。でもちょっと物足りない…](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/dd33e843166e46acdcea805e7dce450b42dffcab_xlarge.jpg)
それも、車体から一番張り出して、転倒の際に地面と当たるところがペラペラのアルミなので、転んだら一撃で凹んでしまう。ステーも貧弱そのもの。
というのも、転んだらそれらのパーツが曲がることでエンジンを守るコンセプトらしいのだが、それは普段転ぶことのほとんどないオンロードバイクでは有効だけれど、転ぶことが前提と言うべきオフロードバイクでは心もとない。
![画像3: いったんは完成。でもちょっと物足りない…](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/9fdc75b631ac10fab2b6ec112c8f3c18fe6c3eee_xlarge.jpg)
それにアンダーガードがエラのように張り出していて一体感がない。そして上の方がとんがって出っ張ってるために、万一の際足が当たりそうで怖いのだ。
ということを46ワークスの中嶋志朗さんに率直にぶつけて、手直ししてもらうことにした。
まずは現状のアンダーガードに補強を入れてみる
まず、エンジンを覆っているアルミの板の下に、支えになるようなラバーパーツを取り付けることにした。これなら、万一転んでも簡単には凹まないはずだ。
![画像1: まずは現状のアンダーガードに補強を入れてみる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/5fd3c0e0522eca5842273f6f630adc914d5733b4_xlarge.jpg)
そのラバーを取り付けるのにアルミでステーを製作。
![画像2: まずは現状のアンダーガードに補強を入れてみる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/8d2b28f06effa8aaabf7b3b5997ee3abde1f8a88_xlarge.jpg)
右側がこんな感じ。
![画像3: まずは現状のアンダーガードに補強を入れてみる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/7de5e09a279e3b6390d8e9646365abcb1ff0cc81_xlarge.jpg)
左側はダイナモケースからステーを取り出すことにした。
本来なら一から作り直すべきなのだろうが、そうなると流石にお金もかかるので、そこは仕方がない。でも、46ワークスらしい美しい表面処理の仕上がりになるのはこの肉厚だから、というのもある。だから補強することで、強さと美しさ、両方を取ろうという欲張りな作戦だ。
それと、アンダーガード前方が大きく空いているため、オフロードを走ると、そこからチリトリのように石やら草やらを拾い上げてしまうので、カバーを大きくすることにした。
![画像4: まずは現状のアンダーガードに補強を入れてみる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/d99be720d6c2d165417ec9c36103a689cdce2590_xlarge.jpg)
これで余計なものが入り込むことを防げるはずだ。さらに、上部がとんがっていたアルミの板をフレームに沿わせるように伸ばして延長した。
そうして出来上がったのがこのカタチ!
![画像: そうして出来上がったのがこのカタチ!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/ec01d043603c297160250f0fb80b50a1bf931151_xlarge.jpg)
![画像: イラスト:三橋 淳画伯](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/e8693999bd5e7934c867a506a1a1411b1407e871_xlarge.jpg)
イラスト:三橋 淳画伯
どう? 最初に描いた「落書き」に近くなったと思わない?
カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?
こうして完成した「jun38cオリジナル・46ワークス製アンダーガード」! まずはいろんなアングルからそのカタチを見ていただこう。
![画像1: カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/5b8d22096a30ceb248b37d54a82a52962999607b_xlarge.jpg)
![画像2: カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/b9d823ff84913b66eb986c88c92f4ad8292e0f39_xlarge.jpg)
![画像3: カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/32c85f98463a38cab704fbeb3011ad8d5644cb34_xlarge.jpg)
![画像4: カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/8403fb9c91817d75d1226d36e2495f14e1e6d967_xlarge.jpg)
よくできてるでしょ? 前から見ると、シルエットはこんな感じだ。
![画像5: カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/eab12cbbb5c4b584b3830e74a256d4dd0d84af65_xlarge.jpg)
ちゃんとタンクよりアンダーガードの方が出っ張っているのがわかるだろうか?
これで、万一転んでもアンダーガードが先に地面に当たってくれるので、上のタンク部分の損傷が和らぐはずだ。
流石に完全に無傷、とはいかないだろうけれど、タンクが直接地面に当たるよりダメージは少ないはず。
![画像6: カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/12/20/bf57efba5a064b98895f30d301e7c3c129209cf0_xlarge.jpg)
というわけで、ラリースタイルのアンダーガード完成!
といっても、現状だとアルミ地が主張しすぎてて、ラリーというよりスチームパンクっぽい。だから、このアンダーガードを塗装するかステッカーを貼って、全体のデザインをボディとコーディネイトしたいね。
でもその前に…
果たして本当にこのアンダーガードは機能するのか???
その答えは転んでみないと分からない。転ばないに越したことはないんだけどね…。
協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
写真:三橋 淳
【次回予告】ということで、試行錯誤の末に手に入れた理想のアンダーガード。しかし、本当の性能は転んでみなきゃ分からない。でも、テストのために転ぶのはちょっと…。揺れ動く男心。しかし、そんな時に「千載一遇」のチャンスが?次回「ダルマさんが転んだ」をお楽しみに!